健康

Health care

いのちまで人まかせにしないために

『便秘 LES CONSTIPATIONS』 Vol.1

2022.08.06

医学研究に膨大な資金が投入され、医療技術、公衆衛生は格段に進歩し、18,000種類もの医薬品が流通する日本。

しかし、なぜなのでしょうか?

病人は増えつづけています。

 

昭和の初期に、今日のこの「パラドックス」を予見していたのが、西医学健康法の創始者・西勝造です。

世界的に著名な研究者たちは1900年代の初めには既に、ヒポクラテスの箴言「万病は腸にはじまる」を科学的に明らかにしています。

そして彼らは、今日においてもその原因が不明とされる「ガン」の根本原因が、「便秘」であることをも究明しています。

 

西勝造は、これらの研究者の論文などを多数引用し『便秘 LES CONSTIPATIONS』(昭和48年9月10日 初版発行)と題した著作にまとめ、警鐘を鳴らしていたのです。

 

しかしどういうわけか、近年の医療において、「便秘はありふれた日常」のように扱われています。

便秘の予防や改善に警鐘を鳴らす「専門家」はわずかとなり、残念ながら今日、わたしたちが「便秘」に関する文献すら目にする機会はあまりありません。

そして、生活習慣病は、増え続けることになったわけです。

つきましては、西勝造の『便秘 LES CONSTIPATIONS』から一部を抜粋し、数回に分けて掲載していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

ちなみに西勝造の著作は、世界中から収集した科学論文だらけです。

73,000件以上の文献を研究した人物ですから、当然かもしれませんが。

世界広しといえど、これほどの論文や書物を頭に叩き込んだ人は、他にいないのではないでしょうか。

 

以下、『便秘 LES CONSTIPATIONS』本文より抜粋

 

ピエール・デルベ(Pierre Delbet)氏が〝 マグネシウムの含有地は健康地である 〞“Vivez sainement sur des terres à magnésium”と発表して、ここに数年、そしてそれ以来この問題は、幾多の学者、臨床家によって研究され、実証され、そして、いよいよ確実性を現わしてきた。

それは果たして何故であろうか。

私は固く信じて疑わない。

それは「便秘しない」からであり「消化管の炎症が治される」 からであり「体内外組織の均斉と調和が得られる」からである。

他方においてロビネー(Robinet)氏の発表した〝 癌の地質学的証明 〞“La preuvegéographique du cancer”と題する論文は、土壌中に含有されるマグネシウムと、癌の発生数とにつき、極めて興味深い研究を、われわれに与えている。

 

 

次にデルベ氏の記述を抄訳してみよう…。

 

地質学者ロビネー博士は、二つの地図を作り、その一つを地質図とし、他の一つを癌発生図となし、これを相互に対比することによって、その所説を立証する方法をとったのである。

地質図においては、土壌中のマグネシウム含有量の多寡に応じて各土地を色別し、癌発生図においては、各種の癌による死亡率に応じて各土地を色別している。

 

『西勝造著作集 便秘』より

 

ロビネー氏はこの両図を作成するにあたり、マグネシウムの含有量については地質調査所の書類に準拠し、癌の死亡率に関しては公刊統計によったものである。

従ってロビネー氏の用いた証拠資料は確固たるもので、決して、単に大体の傾向を示すに止るといったものではなかった。

なぜなら、地質学者は癌という見地から地質図を作成していなかったからである。

もっとも彼らとても、いつかは、これを作成するであろうが、しかし今日までのところでは、いまだこれを作ってはいないのである。

統計学者も、地質という見地から癌の死亡表を作成してはいない。

もしも統計が全く不正確でないならば─事実不正確ではないが─マグネシウムの作用が未知であったとしても、その作用を示すために統計を故意に柾(ま)げることはできなかったであろう。

ロビネー氏は、人口五千人以下の村落を対象とした。

それは、村落や小さな集団においては、相当大きな都市よりも、土地の産物を直接的に利用し、外部からの輸入によらず、自給自足をもって生活しているからであるという。

ロビネー氏が苦心を重ねて作成した二枚の地図を並べてみるとき、われわれは対比の顕著なことに一惣するほかはない。

ロビネー氏は、マグネシウムを豊富に含む土地と癌の少ない地方とを同じ色合をもって示し、マグネシウムの少ない士地と癌の多い地方とを他の同一の色彩をもって示している。

このような仕事は、かなり困難を伴うものであるが、しかし、いずれにしても、マグネシウムの豊富なところでは癌は稀有であり、これと反対に、癌の多いところではマグネシウムが寡少なることは疑いをいれない。

ロビネー氏は、このようにして、癌疾患に対して、マグネシウムの欠如が、どのような働きをなすかを地質学的に立証したのである。

 

 

私の提唱しようとする学説の価値は、他の方面からも裏書されている。

それはイタリアのカルロ・マルキ(Carlo Marchi)氏によって提示された。

すなわちマグネシウムを欠乏させる現実的原因の一つとしては、原塩および食塩の問題があるのであるが、マルキ氏はこの塩の問題について研究を行なったのであった。

イタリアにおいては、塩は政府によって管理されているのでいかなる地方に個々の塩坑が分布しているかは、容易にこれを知ることができるわけである(今日までのところイタリアにおいては、マグネシウムを塩から摘出してはいない)。

諸処の塩坑におけるマグネシウムの含有量には、はなはだしい差異がある。

マルキ氏は先ず、次のような事実を摘示している。

ヴォルテラ(Volterra)の塩坑で働いている坑夫や、その地方に居住している人々の中には、癌で死亡するものの、はなはだ多いことが知られている。

他方においてカリアリ(Cagliari)の塩坑に働き、その附近に居住している人々の中には一名の癌罹病者も見出されない。

さて、ヴォルテラの岩塩中にはマグネシウムが含有されていないが、カリアリの岩中には、0.25%のマグネシウムが含まれているのである。

マルキ氏はさらに進んで、これら諸所の岩塩坑から産出される岩塩の供給を受けている各地方につき、癌に因る死亡率を調べた結果、次のような一般的な結論に到達した。

すなわち、

〝 料理用食塩に含有しているマグネシウムの寡少な地方においては、癌が最も多い 〞

“ Là où est moindre la quantité de magnésium introduite avec le sel de cuisine, la fréquence du cancer est plus grande.”

 

ラヴェンヌ(Ravenne)、シェンヌ(Sienne)、ピス(Pise)、およびグロセット(Grosseto)には、マグネシウムが欠如する岩塩を産出する塩坑があるが、これらの地方においては、   癌の死亡率は、人口1000人あたり55ないし96人の割合である。

これに反し、バリ(Bari)、フォッギア(Foggia)、およびカリアリ(Cagliari)地方は、マグネシウムの豊富な塩坑をもっているが、癌の死亡率は、人口1000人あたり14ないし19人にすぎない。

 

Cagliari, Sardinia, Italy cityscape from above in the morning.

 

したがって、私はロビネー氏ならびにカルロ・マルキ氏の研究に基づき、いちおう、結論として次の如く述べておきたい。

すなわちマグネシウム塩、ことにハロゲン塩を多量に用うれば、癌の死亡率を著しく減少させることができるということである。

“Je suis donc autorisé, tant par les travaux du Dr Robinet que par ceux de M. Carlo Marchi, à conclure encore une fois que l’usage très large des sels de magnésium, et particuliérement des sels halogénnes, diminuerait dans une notable proportion le nombre des cancers.”

Professeur Pierre Delbet, membre de l’Académie de médecine.[1~12]

 

以上のようなデルベ氏の記述によって見れば、マグネシウムが癌腫の予防および治療にとって不可欠のものであることは、すでに疑いをいれる余地がないといえよう。

しかもそれは、マグネシウムが「便秘を防ぎ」、「消化管の炎症を治し」、また「体内外組織の均斉と調和を確保する」からであることも、すでに長きにわたって詳述した本論の論旨をよく味わってみれば、自から明らかなところであろう。

 

では「癌腫の問題」に対する現代一般医家の態度は、果してどのようなものであろうか?

一般の定説といえば、結局「癌腫の原因は、未だ不明」 という所に帰着している。

もっとも、二、三癌腫の病原体について発表している向きもあったが、しかし、これらのものとて、いずれも後に至って、誤謬(ごびゅう)であったことが検証されている有様である。

かように原因が不明では、それに応じて確固たる治療方針も立つはずのないことは、   けだし、当然の帰結といわなければならぬであろう。

その予防法としては、ただ局部的刺激の反復をなるべく避け、かつ一般的摂生や衛生法などを守るべきことが挙げられるにとどまり、またその治療法としては、なるべく早期に発見して外科手術を行なうか、あるいは癌腫の発生個所によってはレントゲン照射法を適用するか、いずれかによるより他、別に方法はないとされているのである。

 

しかしながら、われわれは果してこのような状態に満足してよいであろうか?

また現在、われわれの知識は、果して、かような程度にしか進んでいないのであろうか?

これに対して、私は、即座に「否!」 と答えたい。

それというのも、本論によって、すでに詳細に論じた通り「慢性腸麻痺」と「便秘」 こそが、「癌腫」 の根本原因であることが、すでに、全く論議の余地がないほどに明らかにされているからであり、さらにまた、次に逐次引証するように、英、米、独、仏の諸大家も、すでに「便秘」と「癌腫」との間に横たわる密接不離の因果関係を発見し、さらに進んで、一定部位の便秘が、一定身体部分の癌腫と関連し、しかもその間に、多少とも力学的の相互関係すら存在することに想到しつつあるくらいだからである。

いまだ一般的には不明とされている癌腫の原因が、かくも平凡なる所にあったということこそ、おそらくは、これを不明たらしめた所以(ゆえん)の一つであろう。

そしてまた一般に「便秘」なる言葉が、多少とも長時日にわたる「秘結」の意味に理解されていたことも、確かにその一因をなしていたに相違ない。

しかるに今や「慢性下痢」こそは、実に便秘の一形態にほかならず、また便秘こそ実に下痢の原因をなすものにほかならぬことが、明らかにされた。

ここにおいてわれわれは、次のことを確信してよいであろう。

すなわち、便秘なるものは、意外なほど広く一般世人の間に侵淫(しんいん)しており、しかもそれが実に万病の原因をなすのみならず、さらにまた「恐るべき癌腫の原因」でもあると。

 

To be contenued

 


Reference

Pierre Delbet

1889 年に医学博士号を取得し、1909 年にパリで臨床外科の教授になりました。1921 年に、彼はアカデミー ド メディシンのメンバーになりました。

Delbet は、塩化マグネシウムの支持者として知られています。第一次世界大戦中、デルベットは、従来の防腐剤のように組織を損傷せずに傷を洗浄できる解決策を探していました。1915年、彼は塩化マグネシウムが防腐剤として働くだけでなく、身体組織に無害であることを発見しました. 偶然にも、彼は塩化マグネシウム溶液を経口または静脈内に摂取すると、他の病気の治療薬になるように見えることを発見しました. デルベットはまた、マグネシウムが白血球の効率に有益であると信じており、それについて彼の論文「Politique Préventive du Cancer」で説明しています。

ジャン=フランソワ=オーギュスト・ル・デントゥ( 1841-1926) などと共に、彼は多巻のTraité de chirurgie clinique et opératoire (1901 以降) の共同発行者でした。

(1)Delbet. Rôle du Magnésium dans les Phénoménes Biologiques. Monde Méd No.759. 1929.

(2) Delbet etc. Vieillissement et Magnésium. Bull. Acad. de Méd. No.10.1930.

(3) Delbet etc. Action des Sels Halogénes de Magnésium sur le pH. Urinaire. Bull. A cad. De Méd. No.104. 1930.

(4) Delbet etc. Sels Halogénes de Magnésium et Cancérisation Experimentale. Bull. A cad. de Méd. No.12.1931.

(5)Delbet. De l’Elimination du l’Elimination du Magnésium par le Bile. Bull. Acad. de Méd. No.21. 1931.

(6) Robinet. Terrains Magn. et Cancer. Bull. de l’lnstitut Pasteur. No.23. 1930.

(7)Fodêré. Contre-indication du Cl2Mg. Bull. Acad. de Méd. No.41. 1930.

(8)Dufour. Traitement du Cancer par le Chlorine de Magnésium et la Diap hormine. B ull. Soc. Méd. de Hôpitatux de Paris. No. 4. 1931.

(9)Jovillier. Le Magnésium et la Vie. Bull. Soc. de Chimie Biol. No.6.1930.

(10) Dupuy de Frenelle. Le Traitement Méd. Postopératoire de Cancereux. Bull. gén érale de herapie No.8. 1931. Consacré an Magn. Prog. Méd. No.3. 1931.

(11) Chiray. Magn. et Cancer. Bull. l’Institut Pasteur.No.141. 1930.

(12) 飯塚直彦。仏国における癌腫予防の一傾向。治療学雑誌、第2巻、第11号。昭和7年11月。

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