人体
Human body
大自然の叡智の結晶・人体
Human body
大自然の叡智の結晶・人体
2022.09.30
“ Autophagy: A Scientific Discussion of the Ancient Sacred Ritual of Fasting ”
オートファジーを発現させるポイントは、以下のとおりです。
① 日々の食事内容を、「良質な脂質」と野菜を中心とした「ケトジェニックダイエット」を取り入れた「和食」や「地中海食」にする。
②1日16時間の間欠断食(1日2食)を習慣にする。
最後に物を食べてからおよそ12時間後に、肝臓や筋肉に蓄えられていたグルコース(ブドウ糖)が完全に消費され、身体は脂肪を分解して「ケトン体」をエネルギーにするよう代謝のスイッチ(メタボリック・スイッチ)が切り替わります(ケトン体代謝=ケトーシス)。
これで身体は「飢餓状態」になったと判断し、オートファジーが発現します。
③ 細胞の不要となったタンパク質などの有害物質が廃棄され、最終的に腸に送られます。
この時、ケトーシスによって脂肪細胞に蓄積していた食品添加物や農薬、医薬品、ダイオキシンなどの環境ホルモンといった有害な化学合成物資が溶け出し、胆管を通じて腸に運ばれます。
④ 毎日のスムーズな排泄(デトックス)によって体外に排出され、あなたの身体は細胞レベルで蘇り、体型も変化していきます。
さて、「健康的な脂質」についてのお話しの前に、連載2回目の本稿では、医学会で注目されている重要な物質について、解説させていただきます。
弊社の書籍『Unshakeable Life “揺るぎない人生”』にも度々登場する「IGF-1」‼
ちょっと専門的な用語ですが、「長生きできるかどうか、外見を若々しく保ち、元気に生きられるかどうか」に大きく関わる物質です。
IGF-1は主に肝臓で内分泌ホルモンとして産生される、インスリンに類似した分子構造を持つホルモンです。
小児の成長に重要な役割を果たし、成人においても同化作用(生物が、体外から取り入れた物質をその必要な成分に変化させる働き)を有し、ソマトメジンC(somatomedin C)とも呼ばれます。
IGF-1の産生は成長ホルモンによって刺激され、栄養不良、成長ホルモンに対する非感受性、成長ホルモン受容体の欠損、またはSHP2やSTAT5Bなどの成長ホルモン受容体の下流シグナル伝達経路の機能不全などによって阻害されます。
IGF-1値は低すぎても高すぎても、何らかの病気で死ぬリスクが高まります。
その一方で、IGF-1は成長を促すため、身体の回復には欠かせません。
しかし、この同じメカニズムによって、がん細胞も増えていくのです。
したがって、IGF-1を一定レベルに抑えつつ、体内で細胞の成長が促されるという適切なバランスに保つことが重要になります。
ちょっと、厄介な存在ですね。
わかりやすい例を挙げると、思春期に女性の乳房が膨らむのは、このIGF-1の働きによるものなのです。
通常、思春期に正常な発達を促すためのIGF-1の血中濃度は1ミリリットル当たり100ナノグラムから600ナノグラムといわれています。
しかし思春期以降、正常値のレベルは同30ナノグラムから200ナノグラムとなり、成長期に身体が必要としていたレベルよりはるかに低くなります。
ところが、現代人の成人の多くは、偏った食生活の影響でIGF-1値が健康に悪影響を及ぼすほど高くなっています。
これは、「動物性タンパク質」と「精製された糖質」の摂りすぎが原因であることが解明されています。
前述の通り、IGF-1は成長ホルモンが肝臓を刺激して産生されますが、それは「インスリンが分泌されているとき」だけです。
成長ホルモン値とインスリン値の両方が高いとき(ピザやチーズバーガーなど、タンパク質と糖質の多い食事を摂った後など)、IGF-1レベルが上がり、体内組織の成長を促す反応も増加します。
一方、(断食時又は糖質制限など)成長ホルモン値が高く、インスリン値が低いときは、IGF-1レベルは上がらず、健康上のメリットがいくつも得られます。
まず、オートファジーが刺激され、使い古されて有害な影響を与えかねないタンパク質や細胞の残骸を一掃できます。
同時に、空腹状態の身体は成長ホルモンの分泌を促し、真新しい細胞や組織をつくるように指示が出されます。
身体を古いものから新しいものへと絶えずリノベーションすることで、健康強度は高められるわけです。
以下に、IGF-1の長所と短所をまとめましたので、見ていきましょう。
このように、IGF-1にはさまざまな長所がありますが、致命的な短所もあります。
そのため医学会ではこの謎を「IGF-1パラドックス」と呼んでいます。
若く、成長の過程にあるときや、妊娠中や授乳中などの特定の状況下では、IGF-1をオンにしておく必要があります。
しかし、歳をとる(中年以降)につれて細胞の老化とDNAの突然変異が蓄積することによって、がんになるリスクが高まり始めた頃は、IGF-1シグナルを抑制していくことが賢明といえます。
IGF-1を減らしてオートファジーを促すには、「精製された糖質」と「動物性タンパク質」が多い現代の食事習慣を改善する必要があります。
動物性タンパク質を多く含む食事が、がんの発症リスクを高める理由は、生物学的に説明できます。
それには、IGF-1が関係しています。
食事によって大量のタンパク質が体内に取り込まれると、肝臓はそのタンパク質を利用して生産的な活動を行うために、IGF-1を分泌して細胞に指示を出します。
たとえば、こんな風に…。
「さあ、成長期に入ったぞ!エンジンを始動して、増殖を始めろ!燃料となるタンパク質はふんだんにあるから、心配するな!」
これで身体は、成長モードに入るわけですが、一方で「がん細胞」も成長させてしまうのです。
ヒポクラテスは、こう言っていましたよね⁉︎
人の身体の中には、医者がいる。
私たちがすべきは、ただその医者の仕事を手伝うことだけだ。
誰もが持つ自然治癒力こそが、健康になるための最大な力だ。
食べ物は薬であり、薬とは食べ物のことである。
だが、病気のときに食べれば、それは病気に餌をやることになる。
まさに医食同源。
最新の科学は、2000年以上も前の「健康理論」を実証しているのです。
古来伝わる「薬」とは、医薬品などではなくて「食べ物」のことなのです。
本連載のVolume 3(次回)では、「脂質の基礎知識・健康的な脂質とは何か?」について、ご紹介をしていきます。
良質な脂質が、あなたの美と健康の鍵を握っているのです。
Continued in VOLUME 3
https://minus-chokaz.jp/human_body/1877/