健康
Health care
いのちまで人まかせにしないために
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いのちまで人まかせにしないために
2024.03.01
〝排便の頻度が少ない人ほど、認知症のリスクが高くなるとの研究結果〞を、国立がん研究センターなどが4万人余りを追跡した調査(疫学調査)をまとめ、欧州の専門誌(Elsevier Ltd on behalf of The Royal Society for Public Health)に発表しています。[1]
研究チームは「認知症の患者に便秘が多いという報告」に着目し、2000年と2003年に秋田と長野、茨城、高知、沖縄のいずれかの県に住む50~79歳の男性1万9396人と女性2万2859人を対象に、普段の便通の頻度と便の状態を尋ね、その後、この集団を2016年まで追跡して、要介護の認定情報から認知症を発症した割合を調べました。
すると、男性の1889人(9.7%)、女性の2865人(11.7%)が認知症と診断されていたのです。
このデータから排便の回数と認知症との関係を分析したところ、週3回未満の男性では、毎日1回排便がある男性より認知症のリスクが約1.8倍高かった。
同じように、女性も約1.3倍高く、排便の頻度が少ない人ほど認知症のリスクが高くなる傾向が見られました。
また便の状態で分析すると、便が硬い人ほど認知症のリスクが高いという結果が得られました。
「特に硬い便」と回答した人では、「普通の便」と答えた人に比べて、男性で約2.2倍、女性で約1.8倍高くなっていたのです。
実は「バナナ状の便」が理想的だというのは、空想にすぎず、科学的根拠はないのです。
バナナ状の便というのは、硬便の一歩手前で、腸内に滞留している時間も長く、腐敗発酵も進んだ状態です。
したがって、酸性腐敗便となって、その腐敗産物である細菌毒素が多く産生されていると推測されます。
これまでの研究では、「腸内細菌を介した腸の働きと、認知症との関係を示す報告」があります。
研究チームのメンバーで、国立がん研究センターがん対策研究所コホート研究部長の沢田典絵(のりえ)氏は、
〝便が腸にとどまる時間が長くなると腸内細菌の働きに影響して、それが全身性の炎症や「酸化ストレス」を引き起こし、認知症のリスクを高めている可能性がある〞と指摘しています。
この研究は観察研究ですから、なぜ排便回数が少ないと認知症のリスクが高まるのか?についての因果関係は明らかにされていません。
しかし前述の沢田氏のコメントで示唆されている通り「全身性の炎症や酸化ストレス」、つまり「酸性腐敗便」による悪害であることに疑いの余地はないでしょう。
さて、今や国民病とも言える認知症ですが、これを実際に臨床現場で確認し、日々その治療に尽力されている先生がいらっしゃいます。
喜多村顕一先生は東京都内(港区)の医療機関で、リハビリ科の室長を務めておられます。
また喜多村先生は、臨床の実体験から得た知見をわかり易くまとめ、情報発信もされています。
これらのコンテンツは、認知症を現実的なものとしておられる方やご家族の貴重な知識となるものです。
今回、幸運にもご縁をいただき、その臨場感あふれる知見を寄稿していただきました。
今回を含め3回に分けて連載させていただきますので、是非皆様の参考としていただければと思います。
弊社のメルマガは、国内外の約1万3000人の方々へ配信させていただいております。
微力ながら、少しでも多くの困っている方、または予防医療を心掛けている方々の手助けになればと思っております。
前述の通り、上記の国立がん研究センターによる報告は疫学調査(相関関係)によるものですから、そのメカニズム(因果関係)に言及したものではありません。
では何故、便秘が認知症を悪化させるのか?
ここからは喜多村先生に、その因果関係について、具体的な臨床における知見と併せて解説をお願いしましょう。
喜多村顕一|プロフィール
理学療法士、調理師
総合病院や脳神経内科・認知症専門クリニックに勤務後、現在は都内病院(港区)のリハビリ科室長を勤める。
10代からの持病であった尋常性乾癬や胃腸虚弱が西式健康法や甲田療法の実践によって改善した経験や、漢方薬局から受けた指導をもとに夫婦で取り組んだ食事療法によって、わずか1ヶ月足らずで子宝に恵まれた経験などを通じ「自分の身体は自分が食べた物からできている」「医食同源」ということを実感。
その後、もともと趣味であった料理で自身や家族の「身体にとって本当に美味しいもの」を目指すことが高じて調理師免許を取得。
「真実はシンプルである」という信念を持ちつつ、これまでの病院やクリニックでの経験も併せて、心身両面に対するより全人的なリハビリの追求をライフワークにしている。
目次
前回は、睡眠の質を上げることは認知症の予防と改善につながるため、認知症疾患に対する治療の第一歩は、生活習慣の改善や投薬治療を通じて、いかに夜間しっかり寝てもらうかになる、ということをお話ししました。
しかし、認知症の予防と改善にとって、実は「睡眠」と同じくらい大切なことがもう一つあります。
それが「排便」です。
当院では、認知症疾患の治療の第一歩は「睡眠」と「排便」を整えることだと皆さんにお伝えしています。
それだけ「便秘」を症状に持つ認知症患者さんが多く、さらに「便秘」によって症状を悪化させてしまっている患者さんが多いということなのですが、これまでも「排便」の重要性については何度かお話ししてまいりました。
しかし、認知症患者さんにとって「排便」を整えることがいかに大事なのかということについて、しっかり認識できている方は医療従事者も含めて、まだまだ非常に少ないという印象があります。
そのため今回からは再び、認知症を伴う神経変性疾患の治療にとって「排便」を整えることがどれだけ大切であるのか、ということについてお話ししていこうと思います。
よく「便秘は美容や健康の大敵だ」などといわれますが、認知症にとって「便秘」はまさしく大敵です。
なぜなら「便秘」があると、ほぼ確実に症状が悪化したり、症状が波を打ってしまうからです。
逆に「便秘」が解消されただけで、困った症状が落ち着いてきたり、一気に改善されることもあります。
そのため当院では、診察時には毎回必ず「便秘」をしていないかどうかを確認し、もし患者さんが「便秘」をしていたら、その治療を最優先にしています。
認知症治療において「便秘」に対しては細心の注意を払っていく必要があるからなのですが、ではそもそも、どのような状態になると「便秘」というのでしょうか。
実はしっかりした「便秘」の定義というものは確立されていないのですが、日本内科学会では「3日以上排便がない状態、または毎日排便があっても残便感がある状態」だとしています。
また、慢性便秘症診療ガイドライン2017では「本来体外へ排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。
つまり、3日以上排便がない場合、もしくは十分な排便量がない場合が「便秘」だといえるのでしょう。
しかし当院での臨床経験を踏まえていえば、認知症患者さんにとって3日というのは長すぎです。
1日排便がないだけで、身体の動きが悪くなったり、覚醒度が落ちてボーっとしたり、幻覚・妄想が前景化してしまうような患者さんが非常に多いからです。
当院では、患者さんやご家族に「2日出なければイエローカード、3日出なければレッドカード」とお伝えしています。
そして、もし便が3日出ていなかったら、浣腸や座薬を使ってでもすぐに「排便」させるようお願いしているのが現状です。
当院で目指しているのは「できれば毎日、少なくても1日おきの排便習慣」になります。
そして、この望ましい排便習慣を、投薬治療はもちろん、生活習慣の改善指導や、サプリメントの併用をお勧めしたりして目指していくのです。
当院の認知症の初診外来では、患者さんに「便秘」の有無について必ず問診します。
すると「2~3日出ないのは当たり前で、1週間出ない時もある」「下剤を飲んでもなかなか出ない」「若い時から便秘がちだった」という方が実に多いのです。
では、どのくらいの割合で認知症患者さんは「便秘」の症状を持っているのでしょうか。
今回、実際に2020年4月から9月までの半年間に、認知症の疑いで当院を受診されたすべての初診患者さん98人について調べてみました。
すると、何と61人が「便秘」の症状を持っていたことが分かりました。
これは全体の約6割にあたります。
2016年度国民生活基礎調査によれば、日本人の「便秘」の有訴者率は2~5%程度だとされています。
また、「便秘」の有訴者率は年齢とともに増加し、40歳代と50歳代では1~4%、60歳代では2~5%、70歳代では6~9%、80歳以上では11%程度とされています。(「慢性便秘症の診断と治療」より)
今回調査対象にした当院の認知症初診患者さんの年齢は46歳から97歳で、年齢層は幅広くなっていますが、中心になっているのは70歳代と80歳代でした。
上記したように、一般的な日本人における70歳代と80歳代の「便秘」の有訴者率は10%前後です。
すると、患者さんの年齢別にみても、当院の認知症初診患者さんが「便秘」の症状を持っている割合は、一般的な日本人の割合に比べて少なくとも6倍以上になっていることが分かりました。
このことから、やはり「認知症になると『便秘』になりやすい」もしくは「そもそも『便秘』の人が認知症になりやすい」ということがいえるのではないかと思われました。
前回は、「便秘」があると認知症症状が悪化したり、波を打ってしまうため、「排便」を整えることが認知症治療の第一歩になるというお話をしました。
また、当院を受診される認知症患者さんの半分以上が「便秘」の症状を持っており、当院では本人やご家族に「2日出なければイエローカード、3日出なければレッドカード」とお伝えして治療を進めているというお話もしました。
今回はその続きになります。
では「便秘」になると、認知症のどのような症状が悪化しやすいのでしょうか。
答えは簡単です。
身体的にも精神的にも「すべて」の症状が悪化しやすくなります。
そればかりではありません。
普段から出現している症状が悪化しやすくなるのはもちろんですが、それまで見られなかったような症状も新たに引き出してしまうこともあるのです。
それでも、確かに「便秘」によって悪化しやすく、前景化しやすい症状というのもいくつかあります。
そのため、明らかにそのような症状が悪化したり、出現してきたような場合には、逆に「本当に便秘はしていませんか?」「便はしっかりとたくさん出ていますか?」などと確かめたりするほどです。
それでは以下に「便秘」によって悪化したり、前景化しやすい症状をいくつか挙げてみます。
・覚醒度が落ちやすくなり「意識の変容」が目立つようになる
※「意識の変容」とは、覚醒度が波打ち、ボーっとしている時とはっきりしている時が入れ替わる症状のこと。
ひどい時には呼びかけにも反応しなくなって、一点を見つめて固まっていたり、失神してしまうこともある。
覚醒度が入れ替わるスパンは、数秒~数分の時もあれば、数日~週単位の時もある。
レビー小体型認知症の中核症状の1つとされているが、臨床的には多くの認知症疾患に合併している印象がある。
最近では「てんかん」との関連性も強く疑われている。
・「パーキンソニズム症状」が増強する
※「パーキンソニズム症状」とは、パーキンソン病関連疾患(パーキンソン病、レビー小体型認知症)や大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、多系統萎縮症などの神経変性疾患、正常圧水頭症、脳血管障害、一部の薬の副作用などで出現しやすい症状のことで、加齢によっても出現しやすくなるが、ほとんどの認知症疾患に合併している。
具体的な症状としては、安静時振戦(手足の震え)、固縮(手足や体幹筋群のこわばり)、姿勢反射障害(バランス不良)、無動・動作緩慢(動作が鈍くなる・寝返りしない)、小刻み・すり足歩行、すくみ足(歩きはじめの一歩や目的地に近づくと足が出なくなる)、斜め徴候(座位や立位で身体が傾く)、自律神経障害(体温・血圧調整不良、便秘)、思考緩慢などがある。
・思考が混乱しやすくなる
・妄想や幻覚が出現しやすくなる
・不機嫌になり、怒りっぽくなる
・落ち着かなくなって、多動になる
「便秘」になると覚醒度が落ちて、身体の動きも悪くなる
「便秘」になると、認知症のあらゆる症状が悪化しやすくなりますが、その中でも上記したような症状をよく経験します。
中でもとりわけ出現しやすいのが、「覚醒度が低下したり、波を打つ(=「意識の変容」)」というものです。
このような「意識の変容」の顕著化は、「便秘になるとほぼ必発する」と言ってもいいほどです。
覚醒度が低下すると、ボーっとして反応が悪くなったり、無気力で無動になったり、ウトウトして傾眠がちになったりしますが、逆にソワソワして落ち着かなくなったり、多動になることもあります。
とにかくボーっとしてしまうので、認知・思考・判断力が低下して混乱しやすくなるとともに、身体の動きも鈍くなったりして、言動のすべてがいつもよりおかしくなってしまうのです。
そしてさらに、その他の認知症症状を引き出してしまったり、増強させてしまう原因になったりします。
つまり、ここに挙げた妄想、幻覚、易怒性、不隠、多動といったその他の症状も、覚醒度が落ちたり、変動したりすることで出現しやすくなるのです。
もう一つ「便秘」によって引き起こされやすいのが「パーキンソン症状」の増悪です。
「パーキンソニズム症状」が増悪すると、身体が強張って動きが鈍くなったり、小刻み歩行やすくみ足も増強したりするとともに、姿勢反射障害も増強してバランスが悪くなるので、非常に転びやすくなります。
もともと何とか自分で起きて、ギリギリ歩けていたというような人では、いよいよ一人で動くのが難しくなってしまい寝たきりになってしまうこともあります。
また、「斜め徴候」があって普段から座位や立位姿勢が傾いているような人では、身体の傾きが強くなって姿勢保持が困難になることもありますし、もともと嚥下機能が低下しているような人では、さらに飲み込みが悪くなって「流涎(りゅうぜん=よだれが垂れること;嚥下に問題のない人は、常時分泌される唾液を飲み込むことができるがそれが難しくなるため)」が顕著化することもあります。
ちなみに「意識の変容」と「パーキンソニズム症状」が共に顕著化した典型的な例が、起きているのか眠っているのか分からないまま、身体がずっと傾いたままの姿勢で固まっているというものです。
そのような状態が急に見られるようになった場合には、身体の中で「何かが起こっている」ことは間違いないと言えます。
基本的に認知症を呈するような神経変性疾患は、急激に進行することはありません。
急激に症状が悪化することは稀であり、大抵は年単位、月単位でゆっくり進行していきます。
そのため急激に認知症症状が悪化したような場合には、脳梗塞や癌、肺炎といった認知症疾患とは別の、何かしらの身体的・精神的要因が原因になっていることがほとんどであり、その原因として最も多いのが実は「便秘」なのです。
「便秘」というのは、それだけ認知症の症状を悪化させやすいものなんだということを、みなさんには是非知っておいてもらいたいのです。
前回は、「便秘」によって悪化しやすい症状についてご紹介しました。
特に、覚醒度が低下しやすくなったり、覚醒度が波を打つ「意識の変容」が顕著化しやすくなることや「パーキンソニズム症状」が増悪しやすくなることについてお話ししました。
今回はその続きになります。
腸は「第二の脳」ともいわれるほど、腸は脳と非常に深く関連していることが分かっています。
「腸内環境」が脳の働きに大きく影響しているのです。
この「腸内環境」の状態を決めているのが、大腸に生息する非常に多くの多種多様な「腸内細菌」になります。
個人差はありますが、大腸に生息する「腸内細菌」は2万~2万5000種以上で600~1000兆個あるといわれており、その重さは何と1.5kgもあるそうです。
また、便1g当たりに含まれる「腸内細菌」は約1兆個もあるといわれています。
「大便」というのは、まさしく「大腸からの便り」であり、便を見ればその時の「腸内環境」を推測できるそうです。
では「大腸からの便り」が滞っている「便秘」の時というのは、「腸内環境」がどのような状態になっていると考えられるのでしょうか。
いくつか考えられますが、「腸内細菌」のバランスが崩れていてうまく働けていない、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう;腸管内の物質を先へ送り出す運動)が不十分である、水分が足らずに便が固くなり出口をふさいでいる、食物繊維が足りずに便がうまく形成されない、などといったことが挙げられます。
これらの中でも特に脳に大きく影響するのが、「腸内細菌」のバランスが崩れていてうまく働けていないというものです。
人間の腸内には様々な「腸内細菌」が住んでいますが、実はそれらが「セロトニン」や「ドーパミン」といった人間活動に不可欠なホルモン(=神経伝達物質)を生成しているからです。
「セロトニン」とは「幸福を感じる」ための神経伝達物質のことであり、これが不足すると精神的に落ち込みやすくなって、うつっぽくなるといわれています。
また「ドーパミン」とは「意欲を生み出したり、身体の動きをスムースにする」ための神経伝達物質のことであり、これが不足すると身体的にも精神的にも活動がスムースにいかなくなるといわれています。
この「ドーパミン」が不足する病気がパーキンソン病やレビー小体型認知症、大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺といった神経変性疾患群であり、これらは認知症症状を合併しやすい病気でもあるのです。
ちなみに、前にもお話しした通り、これらの神経変性疾患の患者さんに問診すると、もともと「便秘」がちだったという人が非常に多いのです。
おそらく「便秘」がちだったことと、これらの神経変性疾患の発症は密接に関係しているのだと思われます。
「腸内細菌」がうまく働けるような「腸内環境」になっていないと、「セロトニン」や「ドーパミン」といった人間の活動に不可欠なホルモンが生成できずに不足してしまい、心身ともに悪影響を受けてしまうからです。
つまり、認知症疾患の人が「便秘」になると、心身ともに動きが鈍くなって「パーキンソニズム症状」が増悪してしまうのは、「腸内細菌」がうまく働けなくなることで、もともと不足している「ドーパミン」がさらに不足してしまうためだからとも考えられるのです。
また、「腸内細菌」はホルモンの他にも「短鎖脂肪酸」を生成していることが分かっています。
この「腸内細菌」が生成する「短鎖脂肪酸」には、酪酸、プロピオン酸、酢酸などがあり、中でも「酪酸」は腸上皮細胞の最も重要なエネルギー源になるとともに、抗炎症作用など優れた生理効果を発揮してくれるそうです。
そのため「腸内環境」が悪化して「腸内細菌」がうまく働けなくなってしまい「短鎖脂肪酸」の生成量も不足してくると、腸上皮細胞がきちんと活動できなくなるばかりか、炎症も起こりやすくなって大腸の働きがさらに悪化しやすくなってしまうのです。
このように「便秘」をしている時というのは「腸内細菌」がうまく働けていない時であり、そのために「セロトニン」や「ドーパミン」といったホルモンが不足して心身活動を鈍らせたり、「短鎖脂肪酸」の不足によってさらに大腸の働きが悪化しやすくなるのです。
つまり「便秘」がさらに「腸内環境」や大腸細胞の活動を悪化させ、より一層「便秘」になりやすくなる「悪循環」を引き起こしかねないということです。
「便秘」の人は、食事や運動といった生活習慣の改善に取り組んだり、便秘薬を内服しても、なかなか「便秘」傾向から抜け出せないということが多いそうです。
これは「便秘」になると「便秘の悪循環」に陥りやすく、さらに一旦「悪循環」に陥ってしまうと、そこから抜け出すのが容易ではないからだと考えられます。
これは、「排便」というのは、決して人間だけの力で行うものではなくて「腸内細菌」との協同作業だからではないでしょうか。
そうすると、「排便」に向けて「腸内細菌」にうまく働いてもらうためには、「腸内細菌」が働きやすいような「腸内環境」を整えなければなりません。
「腸内環境」とは、いわば「様々な腸内細菌によって形成される腸内の生態系」のことであり、これらの菌のバランスや調和こそが健康にとっては大事になります。
しかし「腸内細菌」は生きている菌であり、数も種類も非常に多いため、それらのバランスや調和を整えるといっても決して容易なことではなく、このことも「便秘」の改善を難しくしている一つの要因になっているのではないでしょうか。
いずれにせよ、「腸内の調和」すなわち「腸和」が人間の身体的・精神的健康にとっては欠かせないということであり、「便秘」の改善とはすなわち「腸和」を目指すことだともいえるのでしょう。
したがって「便秘」を改善するためには、このやっかいな「便秘の悪循環」を断ち切るべく「腸和」を目指し、まさしく「腹を据えて」取り組んでいかなければなりません。
次回に続きます。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
〝 時には、問いが複雑になっているだけで、答えはごくシンプルなことだったりします 〞
Sometimes the questions are complicated and the answers are simple.
ドクター・スース(Dr. Seuss / Theodor Seuss Geisel)
アメリカ合衆国の絵本作家、画家、詩人、児童文学作家、漫画家。『ホートン』『グリンチ』『ハットしてキャット』『ロラックスおじさんの秘密の種』等、生涯で60作以上の本を出版。作品は各国で翻訳出版され、全世界で6億5000万部以上を売り上げている。
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Reference
1. Y Shimizu, M Inoue, N Yasuda, K Yamagishi, M Iwasaki, S Tsugane, N Sawada, “Bowel movement frequency, stool consistency, and risk of disabling dementia: a population-based cohort study in Japan.”. 2023 Aug; 221:31-38. doi: 10.1016/ j.puhe.2023.05.019. Epub 2023 Jun 29.
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