健康
Health care
いのちまで人まかせにしないために
Health care
いのちまで人まかせにしないために
2022.12.02
突然ですが、いくつか質問をさせてください。
Q. 今は、どんなことを感じていますか?
① 家族のことですか?
② 仕事のことでしょうか?
③ または、健康のことですか?
Q. 今、悩んでいることは何ですか?
Q. その悩み事を象徴するシーンは、どんな感じですか?
Q. いつまでに、どうなったら最高ですか?
もしあなたの悩みが、病院に通っても、なかなか体調や気分が優れないということなら、本稿を是非とも参考にして頂きたいと思います。
2015年に施行された『難病の患者に対する法律』(通称、難病法)によれば、指定難病には330疾患が指定されています。
つまり、「病気の原因がわからない」ということですが、何故330もの疾患が難病とされているのかもご理解いただけると思います。
さらに、世界でもトップクラスの医療技術を有し、18000種以上のクスリが流通する今日においても尚、病人が増え続けている理由もご理解いただけるのではないでしょうか。
西医学の創始者・西勝造の研究や著作をまとめた全12巻からなる『西勝造著作集』の第7巻『便秘と宿便』の解説をつとめた断食博士・甲田光雄医師はその巻末において以下のように述べています。
以下、『西勝造著作集』の第7巻『便秘と宿便』より抜粋
西医学健康法を信奉する人たちであれば、その大半は腸内に停滞している宿便が、人間の健康についていかに大きな影響を及ぼしているかを半ば常識のごとく理解しておられるでしょう。
ところが、現代医学者たちの間にはこの宿便の存在およびそれの及ぼす作用について意外なほど理解されておりません。
しかも、宿便を排除するキメ手と思われる断食療法(現代医学ではこれを絶食療法と呼称しております)の指導者の中に、宿便の存在について、むしろ否定的な見解を主張する人もおられるのです。
筆者らはしかし、自らの体験を通して、また長年の臨床経験の中で、宿便の存在を現実のものとして確認してきました。
そして宿便の排除に伴う劇的な症状好転例を身近に見聞し、人間の健康に及ぼす宿便の影響を恐ろしいまで痛感しています。
したがって宿便の存在に気がつかない、あるいはそれを認めないという医師たちが果たして本当にいろいろな病気を根治に導くことができるであろうかと疑わざるをえないわけです。
これは実に大きな問題です。
このような現況にあって、西先生のこの著書こそは、宿便の存在とその意義を現代医学者たちに正しく理解していただく恰好の書と申してよいと思います。
とくに『便秘』の部は、結腸の生理学から始まって便秘の分類、症状およびその治療法にいたるまで、適切かつ克明な解説がなされており、初心者にあってもよくこれを理解しうるような配慮がされています。
「宿便」の詳しい解説につきましては、『甲田光雄先生に聞いてみました。宿便ってなに?』をご覧ください。
https://minus-chokaz.jp/health_care/1458/
さらに第Ⅱ部第1章の『精神異常は治せる』を精読されれば、西医学でいう宿便なるものが何を意味するのかということを明確に知ることができるでしょう。
第Ⅰ部が、たとえシレー氏およびスチーフェル氏の共著、『便秘』(M. Chiray et Stieffel; Les constipations, 1933)の訳述で大半が占められておりましても、それが西先生の独自の見解のもとに、自家薬籠中のものにされ、西学説の証明に見事役立っているのです。
第Ⅰ部の自序にて、西先生は、
「便秘を放置すると、いろいろな危険が伴ってきます。
その一として癌があります。
私は他のすべての疾患の原因が便秘にあると信じております。
とりわけ、癌はそのもっともなるものと思います。
なぜならば、何種の癌を問わず、罹患した人に尋ねるならば、異口同音に過去において便通が完全でなかったと答える者がほとんどその全部であることからして、私は万病が便秘を土台として発しているというのです。
その中でもとくに癌においてしかりだと信ずるのです。
その原因の二、三を述べるならば、
⑴ 粘膜が硬い凝固物によってたえず刺激されること。
⑵ 腸内に溜まった残滓物から毒素が吸収されること。
⑶ 絶えざる過労。等々。
一般によく知られているように便秘は頭痛、倦怠、肝臓充血等の原因であります。
…のみならず心臓病、腎臓病、血圧病、リウマチ、貧血病、坐骨神経痛なども、また便秘に基づくものであります。
と確信をもって述べておられます。
まさに宿便は万病のもとといえるわけで、私もまた完全にこの西先生の考えに同調するものであります。
読者はこの部にて、ガイ病院(Guy’s Hospital)の顧問外科医アーバスノット・レーン氏らの研究成果から便秘の真相を学ばれることでしょう。
ところで宿便の排除についてですが、私たちの経験からもやはり断食療法や生食療法がもっとも有効ではないかと考えられます。
世間ではよく「宿便とり」の薬草(サプリメント・健康食品等)などがもてはやされたりしておりますが、しかし、宿便の完全な排除が果たして期待できるでしょうか。
私の指導で現在、完全生食を二年以上にわたって実行し、しかもその間に八日間断食を数回行った一人の患者の例では、約一カ年にわたって宿便が排泄されたのを見ておりますし、現在入院中の京都女子大学名誉教授・藤田義憲氏(心筋梗塞)は断食終了後の生食中、一晩に八回、総計バケツに半分以上もの大量の宿便が排泄され、しかもその後も十数回にわたって毎日のようにドンブリ一杯位の宿便が排泄され、それによって症状が劇的に好転したということを付言しておきたいと思います。
さて、断食療法や生食療法を行って宿便が排泄された後は、以前の腸の具合とはすっかり変わってしまうことに誰でも気がつくはずです。
それは、とにかく腸がよく動くのであります。
朝起きて、一杯の生水を飲んだだけで、すぐ便意を催して便所へ駆けこまなければならず、スイマグのような緩下剤を少し飲用すれば腹がグルグル嗚って気持が悪いくらいになります。
断食する以前には、それでは腸が眠っていたのかと思われるほどによく動く腸になったわけです。
それによって、断食以前の自分には「腸マヒ」があったのだということがよく理解されるのです。
だいたいにおいて、病気にかかっている人のほとんどはこの「腸マヒ」があると断言して間違いないと思います。
そして、この「腸マヒ」が治って腸がよく動くようになってくると、ほとんどの難病が軽快に赴くものであるという事実を、私は多数の症例の観察から痛感しています。
ところで、この「腸マヒ」なるものが、実は宿便の停滞でおこってくるということをこの書の中で、とくに『便秘』の部において詳述されております。
これは実に素晴らしい卓見ではないかと思います。
腸マヒというと、一般には現代医学用語にある腸マヒ、すなわち急性腹膜炎などに続発する腸マヒと混同して解釈される方も少なくないと思います。
その点、この『便秘』の部にて述べられている「腸マヒ」との違いを正しく理解していただきたいと思います。
私たちは、病人を見たらまずこの「腸マヒ」に目を向け、これを治すことに主力を注いでいます。
そして、腸マヒを治すことが実は万病を治す基本であることをいよいよ確信している昨今でもあります。
最近、校内暴力(いじめ)、登校拒否などの教育問題が大きな社会的関心の的になってきています。
また、精神異常者による凶悪犯罪などが増え、一般市民の不安が年、一年と高まってきました。
これらの諸問題を解決するため、専門家の間でいろいろな意見が出されており、一応もっともらしい評価がなされています。
しかし、登校拒否や、引きこもりの子供たちを救う根本対策として、私たちは、その臨床経験から、まず「子どもたちの腸に停滞している宿便を排除すること」を提言しているのです。
頭が重い、頭が痛い、気分がイライラする、根気が続かない、物忘れがひどい等々の症状が出現する原因は、いろいろと考えられるでしょうが、しかし、そのもっとも根源となっているものの一つが、実は宿便であるということを知っている人がいかに少ないことでしょうか。
この問題について、本書の中、とくに第Ⅱ部第1章の『精神異常は治せる』は実に明快な回答を与えているではありませんか。
「灯台もと暗し」とはこのことで、精神衛生の諸問題の根源を遠きに求めて、宿便の存在に気がつかないのです。
すなわち、腸と脳との密接な関連については現代医学の大きな盲点となっているわけです。
断食療法や生食療法で頑固な宿便が排泄された後は、長年の頭痛や頭重が雲散霧消して、日本晴れのような爽快感を味わえるようになるという症例を私はどれだけ数多く観察してきたでしょうか。
これによって、腸と脳の密接な関連性がはっきり理解されるわけですが、西先生は『精神異常は治せる』にて慶應大学医学部の川上漸(はじめ)教授指導のもとに行われた実験報告を引用してその結論を出されております。
しかし、現代医学にあっては、頭痛、頭重、イライラ、不眠等の症状に対して、安易にも鎖痛剤や精神安定剤を投与して、お茶を濁しており、さらに精神分裂症、躁うつ病などの精神異常などには、これらの薬剤投与が大量に、しかも年余にわたって続けられるのです。
病因の根源となっている宿便の排除にはいっこうに気がつかず、単なる症状の抑圧鎮静に明け暮れしている間に、患者はいよいよ廃人へと追い込まれてゆくのです。
このような悲惨な姿を黙視しえないことを本書の第Ⅱ部は強く訴えているように思えます。
西先生は『精神異常は治せる』の序にて、
精神異常は現代の機械文明と正比例して増加の勢いにある文明病であるが、現代の医学常識はほとんどその大多数のものに対して『不治』という悲しむべき烙印を捺しつけている。
その意味において、われわれの脳髄は一方では人類の福祉を増進する統帥の府でありながら、一方ではまた文化の失墜を呪咀するパンドラの箱を成すものといわざるを得ないであろう。
しかしながら、すでに2000年前、ギリシャ、ローマの先覚、ヒポクラテス、ケルスス、ガレソ等は早くも事態の真相を把握していたかのように、精神異常に対して下剤を投与する方法を用いていた。
まことにパンドラの箱は、脳髄それ自体の中にあったのではなくて、腸管の中にあったのである。
腸管こそは、文化の失墜を呪咀する根源なのであった。
ひとたびわれわれがこうした見解に立つ時、もはや精神異常は不治の疾患でもなければ、また難治の病魔でもなくなるであろう。
と述べておられますが、これは精神異常者にはもちろん、登校拒否や引きこもりの子供たちにとっても、大きな希望をいだかせるものではないでしょうか。
また、癲癇(てんかん)、神経衰弱と不眠症に悩む人たちも例外でないことを述べておられます。
(中略)
さて、諸病の原因の大半が慢性便停滞すなわち腸マヒにあることがわかり、その腸マヒはまた宿便のためにおこっていることが理解されるならば、自分の体内にもおそらく少なからず停滞しているであろう宿便の排除に関心を向けざるをえなくなるでしょう。
その宿便を排泄する秘訣はどこにあるかを、西先生はこの書の中で随所に説明しておられますが、それらをまとめてみると次のようになります。
①まず食事の面では白パン(精製小麦)のような繊維の少ないものを避け、黒パン(全粒パン)とか玄米のようなものを主食とし、さらに副食にも、生野莱や海藻類のような腸壁を刺激してぜん動運動を促すものを常に食べることが必要。
なお、果物も便通を整えるのに役立つものであるが、あまり多くは摂らないこと。
②午前中の断食すなわち朝食抜きは、便の完全排泄にきわめて有効であることを知って、一日二食の習慣をつけること。
③生水(柿茶も含む)の十分な飲用によって便通を促進すること。
④適切な断食または寒天食は宿便を排泄する確実な方法であるから、できれば健康な時からこれを実行しておくこと。
⑤生食もまた宿便排除に偉効を奏するうえに、完全な栄養の補給により血液浄化を招来し、疾病回復を促進させる力が大であるから、積極的にこれを応用すること。
⑥裸療法や温冷浴で皮膚を鍛えることは肝臓機能を鼓舞することになり、したがってまた、腸の機能をたかめ、便通を良くする働きがあるから、日常これを励行すること。
⑦西式健康法の六大法則は先述した通り、諸々の効果が得られるものである。便通を整えるためにも欠くことはできない。毎日の精進が年余に及べば、便通異常に悩むようなことはなくなるに違いない。
⑧便通を整えるための薬剤を用いるならば、スイマグ(水酸化マグネシウム)のような副作用のない、しかも腸内に発生する一酸化炭素を消去し、腸壁の傷をも治す作用のあるものを選ぶこと。
以上、本書にて説かれている『便秘と宿便』の解説を試みてみましたが、一般の常識からずいぶんかけ離れたと考えられるような内容もあるため、一部の読者にはただちに納得することができない部分もあろうかと思います。
そこは各自の実践において、その真価を確かめていただきたいと切望するものです。
甲田医院院長 甲田光雄
「万病は腸にはじまる」のです。
西医学(健康医学)について詳しくお知りになりたい方は、下記のURLからご覧いただけます。
https://minus-chokaz.jp/1540-2/?post_password=nishishiki
Reference
『西勝造著作集 第七巻 便秘と宿便』西勝造著 解説 甲田光雄 柏樹社