健康

Health care

いのちまで人まかせにしないために

健康医学が規定する薬剤の定義

2022.11.25

本稿でご紹介しますコンテンツは、西医学・健康法の創始者西勝造が、医薬品を使用する場合、その薬剤の性質に関わる原則を示したもので、『西勝造著作集』の第7巻『便秘と宿便』に掲載されたものです。

健康医学の観点からすれば、なるべく「自然であること」が重要ですが、現実の社会ではこの原則からかけ離れた薬剤がほとんどという現状です。


以下、『西勝造著作集』の第7巻『便秘と宿便』より抜粋

健康法を唱導する私が、同時に製薬事業を経営する理由については、すでに講演に、座談会に、著書に、しばしば闡明(せんめい)したところであるから、ここに事改めて繰り返す必要もなかろうと思う。

しかし薬剤とは、果たしていかなる性質のものか、そして、また、もしも薬剤を使用するとしたならば、果たしていかなる原則を考慮におくべきかというような問題は、少なくとも今一度、一般家庭人の脳裡にはっきりと刻みつけておくべき事柄であるように思われる。

すでにフランスの大化学者アントワーヌ=ローラン・ド・ラヴォアジエ(Antoine-Laurent de Lavoisier 1743~1794)が看破したように、「生命とは一種の化学作用である(La vie est une Fonction Chimique.)」。

Antoine-Laurent de Lavoisier

したがって、生命現象にもっとも密接な関係をもつものは、なんといっても、化学的な諸因子をもって第一とする。

ところで、薬剤の効用なるものは、主として、その化学的作用に求められる。

その限りにおいて、薬剤は生体の機能に対し、もっとも有力な影響力をもつものということができるが、さて、有力なもの必ずしも有効ならずで、一般の薬剤は、その種々なる副作用や、直接的の毒性によって、様々の悪害を生んでいる現状である。

これは、畢竟(ひっきょう)するに、生体の化学が、ほとんど大部分、自然の飲食物によって与えられているからである。

しかし現代医学は、このような自然の食物を忘却して、それ以外に、なお人工的な薬物学的動態(化学合成物質)を乱用しようとしているため、ここに、思わぬ欠陥が暴露される訳である。

要するに、薬物の使用は、一種の便法(便利な方法)として、必ずしも悪いわけではないが、もしも使用するとすれば、次のような原則を考慮しなければならない。

⑴ なるべく自然の食物を原料としたもの

⑵ なるべく全身的に作用し得るもの

⑶ いかなる用法においても害のないもの

⑷ 副作用のないもの

⑸ 習慣性とならないもの(その使用により、また、完全な健康法を実行することにより、後に不必要となるもの)

⑹ 保健療養の六大法則の原則と一致したもの

以上の原則に基づいて、薬剤を考えてみるならば、現在、何万というおびただしい数に上る局方薬および局方外薬はすべて疑問というほかない。

(中略)

ところで、すでにしばしば述べたように、私の健康法の根本は、野生の動物より人類への進化過程に伴う急激な変化、すなわち「直立活動(歩行)」および「着衣の習慣」に着目し、これによって引き起こされる諸障害を防止ないし矯正することにある。

換言すれば、根本は、足の故障(心臓、腎臓および血管に直接影響する)皮膚機能の障害(直接肝臓に影響する)であり、ひいて、腸マヒ(脳に直接影響し、四肢および皮膚に及ぶ)姿勢の悪化(肺臓に直接影響する)腎臓(泌尿器官に直接影響する)、血管および肺臓の違和を引き起こし、それより万病へと進展するものである(なお、皮膚→肝臓→腸管→脳髄→四肢→血管→心臓→腎臓→肺臓→万病の関係は、拙著『西式健康法』参照のこと)。

西式健康法の六大法則は、実に、このような根本原理に基づき、これらの諸障害を、社会生活の間に、また、夜間の睡眠中を利用して、なるべく完全に調節整斉し、その結果、種々なる悪影響を清算する方法である。

したがって、そのねらうところは、皮膚機能の鼓舞であり、足の不整改造であり、姿勢の矯正であり、宿便の排除であり、血液循環上の平衡であり、そして、全体性と中庸の原則を常に遵守することなのである。

しかもその実行は、比較的わずかな時間と、多少の注意力とによって果たされるようにできている。

しかし現代の繁忙な文明生活は、このような方法の実行すら、はなはだしく億劫(おっくう)なものと思わせがちである。

このような事情に当面している限りにおいて、薬物使用の原則に合致し、しかも六大法則のねらうところを最大限に補助することができる薬物が創製され得るならば、現在の社会生活上大いなる幸福といわなければならない。

一種の便法として、これを応用することは、少なくとも私は、私の健康法の体系を樹立するに当たり、老衰や疾病の根本原因が、排泄系の不活発にあること、換言すれば、固体、液体および気体性の排泄道程における障害であることに着目したが、とりわけ、腸内における宿便の停滞については、すでに三年も前から、実際の経験によって、その存在を確認し、これが種々の疾患の根本原因たることを信じて疑わなかった。

このようにして、私は、多年にわたり、実に60有余種という数多くの下剤を自ら使用し、かつ 体験してみた。

しかし、そのいずれをもってしても、単に新しい腸内容物の排出をおこすにとどまり、宿便の排除に役立つものは、ただのひとつもなかった。

それのみか、下痢の過程において生ずる腸壁の創面は、赤痢菌、チフス菌、結核菌の侵入を促し、あるいはまた、腸のけいれんを誘発し、ひいては、多少とも重大な捻転と閉塞とをおこすことすらあった。

しかもこれらの下剤は、現代の治療学、とりわけ、慢性的疾患の治療には、なんらかの意味で、ほとんど使用されぬことはない位、重要な位置を占めるものなのである。

ここでバットル・クリーク療養所の専門医であるミルクシュ(P.P.Mirksch)の言を引用してみるのも、あながち無意味ではあるまい。

彼は、その著書『甦生』の七頁(Rejuvenation, 1933, P.7)のところに、次のように述べている。

口腔から23フィー トもしくは24フィート(日本人では、平均8メートル─筆者註)の遠方に所在する結腸へ作用すべき薬物を、口腔を経て嚥下する位、不合理なことはない。

それというのも、全栄養管が、なんらの理由なしにその全長にわたって刺激をこうむるからである。

しかも障害の所在する部分は、多くの場合、腸の最後の60ないし90センチに限られている。

緩下剤をもってしては、便秘を治すことは、とうてい、できないであろう。

あらゆる種類の緩下剤、カスカラ・サグラダ、フェノールフタレイン、ヒマシ油、塩水、鉱水、あるいは結腸の化学的刺激物は、すべて厳重に避けなければならない。

なぜならば、このような薬剤(刺激性下剤)は、結腸を刺激し、その結果、下部結腸の牽縮(けんしゅく)もしくは痙攣をひきおこし、粘膜を刺衝して、細菌および細菌性毒物に対する防御力を減少させてしまうからである、云々。

このような事態に当面して、私は、この方面の研究にも没頭すること多年、ついに、マグネシウムにある機械的操作を加えて微顆コロイド状となすことに成功し、これを用いれば、緩下の作用あるのみならず、消化管内の炎症ならびに創面をすべて治癒させ、かつ徐々に宿便の排出に役立つべきことを確認した。

こうして私は、上述のような理想的下剤が国民保健の見地より見て必須なることを痛感し、これの製造のために、製薬会社を設立したのである。

それがすなわち、クリーム状のマグネシア、「スイマグ」である。

 


 

弊社が西勝造の遺志(健康医学による予防)を引き継いでから、70年になります。

国民保健の観点から、なるべく「値上げをしない」という方針を維持してきましたが、経営的な困難に直面し、昨年2021年4月に製品の価格改定をさせていただきました。

弊社の製品は、何十年とつづけてご使用くださっているお客様がほとんどで、大変なご迷惑をおかけいたしました。

当然のことながら、お叱りをいただくこともございます。

一方で、「製品の供給ができなくなったらどうするのか、その方がよほど困る」という叱咤激励も多くいただきました。

この場をお借りして、改めてお詫びとお礼を申し上げたいと思います。

 

日々お使いいただく製品ですから、なるべく安価にご提供させていただくべく努力をしておりますが、弊社では「お客様の生涯医療費を引き下げて、可処分所得を増やす」という目標も掲げております。

腸内を衛生的に維持・改善することで、病気や心身の不調から遠ざかることができます。

“ 病院のお世話になることなく、生涯を元気にお過ごしいただくこと”

“ お客さまに無駄な医療費を支払わせない”

これも弊社の大切な使命だと考えております。

 

次回は、『便秘と宿便』断食博士の解説と題して、甲田光雄医師(医学博士)によるこの書籍の解説を掲載させていただきます。

 


Reference

『西勝造著作集 第七巻 便秘と宿便』西勝造著 解説 甲田光雄 柏樹社

アントワーヌ=ローラン・ド・ラヴォアジエ(Antoine-Laurent de Lavoisier,1743年8月26日 – 1794年5月8日)は、フランス王国パリ出身の化学者、貴族。質量保存の法則を発見、酸素の命名、フロギストン説を打破したことから「近代化学の父」と称される。

 

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