健康

Health care

いのちまで人まかせにしないために

病気って、なんだろう?

2023.01.13

1,600,000

この数字は何を表しているか、お分かりになりますか?

 

実はこの数字、日本国内にある病床数です。

約160万という病床数は、人口あたりで見たとき、ダントツで世界一の数字です。[1]

ところが医療崩壊が叫ばれる、新型コロナウイルス感染症(COVIT-19)の対策病床として使用している病床数は、そのうちの4万8562床(2023年1月4日現在)で、全体の3%に過ぎません。[2]

 

Doctors in the protective suits and masks are examining the infected aging female patient in the control area

 

テレビや新聞などのマスメディアの報道を鵜呑みにしていると、明日にも医療崩壊の現実が目の前に迫ってきているかのような印象を受けますが、現実は医療崩壊とは程遠いというのが実態です。

政府やメディアは、何故ここまで国民の恐怖心を煽るのでしょうか?

確かに各国と同様に日本の感染症指定医療機関の病床数は、全体の1%未満で、もともとそんなに多くはないのですが、欧米諸国は柔軟に対応し病床数を確保しています。

ちなみに、日本で一番病床数が少ないのは神奈川県で、人口10万人あたり810床です。

これに対して高知県は2552床、なんと神奈川県の3倍の病床を有しています。[3]

 

では入院医療費は、どうでしょうか?

全国で最も低いのが、弊社の所在地である静岡県で年間平均19万円/人、高知県民は34万円/人、ほぼ静岡県の2倍です。

つまり、高知県民は静岡県民の2倍入院しているということなのです。

このデータは年齢構成を調整済みですから、高齢者の多さや高齢化率の差も関係ありません。

高知県民は、病気になりやすい体質なのでしょうか?

そんなことが、あるわけがありません。

このデータから読み取れるのは、病床数が多くなると病人の数も増えるということです。

 

それはさておき、日本が世界一なのは、なにも病床数だけではありません。

高額医療機器であるCT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)の人口あたり保有台数も、日本は2位以下を大きく引き離してダントツ世界1位です。[4]

 

Senior Radiologist Controls MRI or CT or PET Scan with Male Patient Undergoing Procedure. High-Tech Modern Medical Equipment. 

 

世界最高レベルの医療先進国・日本…。

しかし、病人は増えつづけています。

そして世界一病床の多い日本ですが、それらの病床の多くは感染症患者ではなくて「生活習慣病・慢性疾患の患者さん」で占められています。

これまではほとんどの日本人が、自宅の畳の上で家族に看取られて平和な最期を迎えてきました。

しかし1970年代を境に病院死の割合が在宅死を上回り、ついには大多数(8割)の日本人が「病院での治療」の末に最期を迎える時代に突入してしまったのです。[5]

 

Young woman is looking at the thermometer. She has fever.

 

さて、あなたは「病気」と聞いて、どのような状態をイメージしますか?

熱が出て頭はフラフラ、下痢でお腹が痛む、なんだかムカムカして吐き気を催す……。

だいたいこんな感じでしょうか?

体調が悪く、辛い状態から早く逃れたい!

だから、熱を下げて、下痢を止めて、痛みを鎮静する。

心身が楽になるから、これが「治療」だと、誰もが勘違いするわけです…。

これは苦痛を和らげているだけで、病原を治しているわけではありません。

病原はずっと体内に残ったままなのです。

この間に、免疫系が病原をやっつけられなかった場合は、再発という負のサイクルを繰り返すことになるわけです。

 

現代の医学では、病気は「症状」です。

ですから、「症状即疾病」と診て、発熱・下痢・痛みを止める「対症療法」をとります。

一方、健康医学の観点では「人体が健康な状態に戻ろうとする過程」を病気といいます。

したがって、自然治癒力を高めるため、補給・補正・補強を加え、症状が治ったならば「健康法」の処置法を用いるのです。

つまり「症状即療法」と診るわけです。

西医学研究所の所長を務めた樫尾太郎医師(医学博士)は、自著において「対症療法」の不合理さを次のように述べています。

樫尾太郎(かしお たろう)

1918年新潟県生まれ。東京大学医学部卒、医学博士。名古屋市に内科医を開業し、西医学健康法の治療と普及に努め、テレビ出演、海外講演など幅広く活動した。

著書に『西式健康法』潮文社、『手相による病気診断法』はまの出版『顔による診断法と治療』金城書房、翻訳に『生野菜汁療法』N・W ウォーカー著 実業之日本社『いたみ』など多数。

医学の歩み

医者の祖先といわれる古代ギリシャのヒポクラテスは「健康とは体液の完全な調和の状態」であり、「疾病とはその平衡の破れた時」、したがって「疾病とは復旧力すなわち自然治癒力の作用しつつある過程である」といい、「医とは自然の治癒機能をまねる術である」と説いています。

イギリスの著名な医師であるトーマス・シデナム(1624〜1689)は「疾病とは、有害なる原因を駆逐するために、自然の採用する方法である」と言っています。

 

 

このように症状が療法であるにもかかわらず、鎮痛剤や麻薬の発見に伴ない、病人の苦痛を和らげるという対症療法がいつの間にか医学の主流となってしまい、苦痛は一時的に抑えられるかも知れないが、病気は悪化するという結果になってしまいました。

一方、十九世紀にルイ・パスツールやロベルト・コッホらによって急速に発達した細菌学は、結核、マラリア、コレラのような伝染病の退治には効果がありましたが、今世紀の抗生物質の発見に伴なうその乱用は、副作用による奇病を造成することになりました。

病気に対する新しい観念

十年ほど前、わたしの同窓生である開業医が二人の息子をあいついで失いました。

死因に不審を抱いて遺体を東京大学の病理学教室へ送って解剖してもらったら、DDT(有機塩素系の殺虫剤、農薬)[6]の慢性中毒によることが判明しました。

毎日、家にDDTを散布していたのかも知れません。

細菌と共に生き、細菌と共に天寿を全うするのが慈悲深い人間の使命です。

細菌をやっつけようとすると、人間も一緒にやられるのです。

抗生物質で腸内の細菌を殺すと、腸内でビタミンB2を製造してくれる有用な細菌も死んで、口内炎を起こすようになります。

悪い細菌が繁殖できないような身体にすればよいのです。

 

ゴミをためるからウジがわくのです。

腸に便をためぬように、血液もきれいにするように心がければよいのです。

またビタミンCの不足は皮下出血を起こし、細菌の侵入門戸を作ることになります。

手でも傷をつけるから細菌が入って化膿するのですが、上へ挙げて振ると傷は治るのです。

 

ところで、「症状即療法」ということをゆっくり考えてみましょう。

もし食べ過ぎたり、腐った物を食べれば、誰でも吐いたり下したりするでしょう。

吐いたり下したりするのを薬で止めては、お腹や頭が痛くなったり、熱が出たりします。

むしろ生水をたくさん飲んで十分に吐いたり下したりすれば、それで治ってしまいます。

一日ぐらい食事を抜く方がさらによろしい。

 

カゼなどで熱のある時に、氷で冷やすと、これでもかこれでもかと、熱は余計高くなります。

熱によって細菌や毒素を殺菌消毒しようとしているのですから、レモンか橙のしぼり汁に蜂蜜をたらしたものか卵酒でも飲んで暖かくして寝ていると、発汗して熱が下がります。

解熱剤を用いると細菌は繁殖して、病気はこじれます。

足が冷えるのを温めるために体温を上げているとも考えられますから、脚湯法によって足を温めてやると、早く発汗解熱します。

ただし、この場合は発汗によって水分のほか、食塩とビタミンが逃げますのでその補給をすることが必要です。

食塩は一、二日捨てたままにし、あとはゴマ塩とか物につけて食べ、ビタミンCは自然の形の生野菜、果物、柿の葉煮汁、柿茶などで補います。

 

 

精神異常というのは、心労による社会的重圧から逃がれる休養策です。

やいやい言わずに便通をどんどんつけると治ります。

 

痛みは神経が圧迫(刺激)を受けるか、神経の圧迫麻痺が取れる時に感じます。

足を踏まれて痛いのは前者で、座っていて足がしびれた時に立ったら痛むのは後者です。

痛みのために死んだ例はありませんが、痛みを止めようして死んだ例は少なくありません。

頭痛の薬を連用していて足が麻痺した例もあります。

 

虫垂炎でお腹の痛い時に鎮痛剤を用いれば、腹膜炎を起こして死ぬでしょう。

ただし手術をしないでも盲腸部に溜まった便を排除する方法を行なえば治ってしまいます。

 

症状はわれわれを助けようとしているのですから、それをうまく利用し、失ったものは補給し、原因を除くことに力を注げばよいのです。

原因を忘れて症状を追っかける対症療法では、病気は治らず、悪化します。

対症療法の愚かさはたとえて見れば、強盗に襲われている者を助けに来た者が、被害者の手から防御の武器を真っ先に取り上げてしまうようなものです。

 

現代は「繁栄の時代」です。

しかし、そこに住む多くの人間は病んでいます。

人間だけが、なぜこうも病に悩み苦しまなければならないのでしょうか。

野生動物のあの溌剌とした生命力を、現代人はもう永遠に失ってしまったのでしょうか。

 

そして、樫尾医師は「人間の内なる生命力を高めよ」と主張しています。

 

健康医学の創始者・西勝造は、病気の定義について以下のように述べています。

 

疾病なるものは、この健康のある段階に与えた仮の名であって、それは真の健康に進まんとする生体の努力を顕現したものに外ならない。

即ち見方によれば、それは拡大する力であって、それが生命力である。

── 西勝造

 

病気とは、何なのでしょうか?

この考え方ひとつで、医学(医療)に対するアプローチが、180度変わってくるのです。

あなたは、どのように考えますか?

 


 

Reference & Footnote

1. 『医療施設動態調査』(令和2年1月末概数)厚生労働省

2.『療養状況等及び入院患者受入病床数等に関する調査について』厚生労働省

3.『平成27年度医療施設調査』厚生労働省

4.OECD Data:  Magnetic resonance imaging (MRI) units, Computed tomography (CT) scanners (2019)

5.『平成24年版 高齢社会白書』内閣府

6. DDT(ディー・ディー・ティー)とはdichlorodiphenyltrichloroethane(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)の略であり、かつて使われていた有機塩素系の殺虫剤、農薬である。日本では1971年(昭和46年)5月に農薬登録が失効した。なお、上記の名称は化学的には正確ではなく、「4,4′-(2,2,2-トリクロロエタン-1,1-ジイル)ビス(クロロベンゼン)」が正確な名称である。DDTの構造中で、トリクロロメチル基がジクロロメチル基となったものをdicholorodiphenyldichloroethane(英語版)(ジクロロジフェニルジクロロエタン、DDD)という。

『西式健康法』樫尾太郎 潮文社

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