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いのちまで人まかせにしないために

座りっぱなしの生活は、いかがなものか!?

2023.01.06

いまの時代、デスクワークは椅子に座って仕事をするのが普通ですが、長時間、椅子に座りつばなしの生活は健康にとって非常によくないことが明らかになってきています。

この研究のさきがけとなった国がオーストラリアで、同国内の45歳以上の男女22万人を3年近くにわたって追跡調査した結果があります。

「座る時間が1日4時間未満の人に比べ、11時間以上の人たちは死亡リスクが40%も高かった」と報告されています。

ではなぜ、死亡リスクが高まるのか?

オーストラリアの座位行動研究の第一人者、ネヴィル・オーウェン博士らの研究によって、つぎのようなことがわかってきています。

長く座りつづけると体の代謝機能や血液の流れに悪影響を及ぼし、深刻な病いの発症につながる。

立ったり歩いたりしているときは、脚の筋肉がよく動きますよね。

そのとき、筋肉の細胞内では血液中からブドウ糖や中性脂肪が取り込まれ、エネルギーとして消費される「代謝」が盛んにおこなわれているのです。

ところが座ると、脚の筋肉が活動せず、ブドウ糖や中性脂肪が取り込まれにくくなり、血液中に増えてしまいます。

座った状態が長くつづくと血流が悪くなり、その結果、狭心症や心筋梗、脳梗塞、糖尿病などのリスクが高まるということです。

つまり、体にいくつもある重要なスイッチがオフになってしまうというのです。

また、オーストラリアには、大腸がんではない人のライフスタイルや身体活動などのデータを比較した調査があります。

Barium enema or BE is image of large bowel after injection of barium contrast fill into colon under fluoroscopic control isolated on white background for diagnosis colon cancer.

画像:下部消化管造影またはBEは、結腸癌の診断のために白い背景にX線透視下で結腸に造影剤を注入した後の大腸の画像

その調査を分析した結果、10年以上デスクワークをおこなってきた人は、デスクワークに就いたことがない人と比較して、大腸がんのリスクが2倍であり、直腸がんのリスクは44%も高かったというのです。

また、こうした関連性は余暇時間におこなう運動とは無関係だったとも報告されています。

さらに、肉体的な重労働をともなう職業では、軽労働の仕事と比較して、大腸がんのリスクが44%低かったということです。

座位と健康の関係については、アメリカや日本でも研究されるようになってきました。

北海道大学大学院の鵜川重和助教は、全国およそ12万人の生活スタイルと病気の関係を20年にわたって調査したデータを解析し、男性の場合、座ってテレビを見る時間の長さが、肺がんの発症率に関わることを突き止めました。

座っている時間が2時間未満の男性に比べ、4時間以上だと肺がんの発症率が3割以上あがっていたのです。

鵜川助教はまた、長く座る人では肝臓がんや慢性閉塞性肺疾患の可能性が高くなることが明らかになったとも報告しています。

Human Body Organs Anatomy (Liver). 3D

さらには最近、米カリフォルニア大学の研究チームが、「座りつづけは脳にも悪影響を及ぼし、その影響は強度の高い運動でも相殺することができない」との研究論文を発表しています。

同研究チームは以前、座っていることはアルッハイマー病の因子を増大する要因でもあるとの研究結果も報告しています。

座りつづけることによるリスクは、それ以外の時間に歩くなど運動をしても軽減できない、という報告もあります。

ところが、一方では、1日8時間座っていたことによって高まった死亡リスクは、1日1時間の運動で帳消しにできるとの報告もあります。

オーストラリアをはじめ、アメリカや北欧ではスタンディングデスクをオフィスに取り入れる傾向がありますし、日本でも一部の会社では同様の取り組みをしています。

日本は世界でもっとも座る時間が長い国で、世界20の国や地域で座っている時間を比較した調査では、最長の7時間という結果が出ています。

対策としては、デスクワーク時には、30分ごとに立ち上がって歩くなどの方法があります。

いずれにしても、運動をしないよりはした方がいいです。

座りつばなしの害は運動によって帳消しにできると考え、運動するように努めるのが良いのではないでしょうか!?

人間の体は座りつばなしでいると疲れるし、といって立ちつづけていれば、それも疲れます。

それではと体を横たえてばかりいると、それはそれでだるくなるし、体によくありません。

結局、健康にとっては動き、立ち、座りという各行動のバランスがとれていることが大事なのでしょう。

 


References

Francis Q S Dzakpasu, Neville Owen, Alison Carver, Parneet Sethi, Christian J Brakenridge, Agus Salim, Donna M Urquhart, Flavia Cicuttini, David W Dunstan,Television-viewing time and bodily pain in Australian adults with and without type 2 diabetes: 12-year prospective relationships., BMC public health. 2022 Nov 29;22(1);2218. pii: 2218.

Ai Shibata, Kaori Ishii, Mohammad Javad Koohsari, Takemi Sugiyama, David W Dunstan, Neville Owen, Koichiro Oka, Linear and non-linear associations of device-measured sedentary time with older adults’ skeletal muscle mass., Experimental gerontology. 2022 09;166;111870. pii: S0531-5565(22)00178-4.

Association between average daily television viewing time and the incidence of ovarian cancer: findings from the Japan Collaborative Cohort Study. Ukawa S, Tamakoshi A, Mori M, Ikehara S, Shirakawa T, Yatsuya H, Iso H, JACC study group Cancer causes & control : CCC 29(2) 213-219 2018, Feb.

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