健康

Health care

いのちまで人まかせにしないために

『便秘 LES CONSTIPATIONS』Vol.7

2022.09.17

※ 『便秘 LES CONSTIPATIONS』西 勝造 著より抜粋

 

ロンドン・セント・バーソロミュー病院の顧問医師ブラントン(Brunton)氏[19]は日く、

便秘は極めてありふれたものである関係上、文化諸国においては、便秘は、ほとんどこれを正常状態と見做すことができるほどである。

 

バーカー(Barker)氏[20]は日く、

文化国民の間において、便秘が、このような普遍性をもつこと、すなわち「正常性」をもつことは、明らかに、誤った食事法に因るものであって、このような誤った食事法による便秘の結果として、われわれの身体は害されるに至るのである。

われわれが悩まされる疾患(癌をはじめとする)の半数以上は、もしも、われわれの消化器官が間違った食事法によって傷害されさえしなければ、おそらくは消失してしまうであろう。

 

また、バーカー氏[21]は日く、

自家中毒を伴う慢性便秘は、癌腫の最も有力なる源泉の一つであって、それは、レーン氏が幾多の著作中において的確に立証しているところである。

 

さらに同氏は、同書の同じ頁に語を継いで言う。

便秘の原因の一つとして、私が第一に挙げたいと思うのは、栄養性と溶解性のないものを、ことごとく、文化的食物の中から除き去ったという、嘆かわしい慣習である。

Fresh vegetable salad with feta cheese.

最後にブラントン氏[22]は日く、

調理法が一般に普及し、その結果、腸を機械的に刺激すべき、食物の硬い部分が、柔らかにされて、その剌衝力を奪われるという事実は、腸の運動をますます、だらけさせる傾きがある。

従って文化人は便秘に悩まされる傾向が、はなはだ著しいのである。

英国国民の半数以上は、腸の運動を多少とも助成すべき必要を感じているものと云えようと思う。

それには、摂取する食物の中に、多少とも不消化な食物を加え、よって食物の全部が吸収されずに、腸を通過して排泄されるようにすればよいのである。

私はセソト・バーソロミュー病院において、長く医療を行なってきたものであるが、その際私の体験したところによれば、二週間の長きにわたって排便がないようなことは、患者として決して稀なことではなかった。

多くの人々は、小麦の白い部分でつくったパン、バターおよび紅茶のように、ほとんど残滓物を余さないものを主食物として生活している。

しかし、腸は単なる吸収器官にとどまらず、分泌をも成すものであって、便秘の場合においては、腸から排泄されるべき物質の若干が、再吸収されて、ここに、虚弱症や不快や、不健康などを誘致する傾向があるのである。

従って、食餌としては、模範的に完全なものよりも、むしろ種子や殻や、あるいは植物性繊維を含む食物を摂取することが必要である。

そして、もしも、これらのものによっても、なお、蠕動作用を有効に保持し得ぬとすれば、余分の糖分、塩、ことに硫酸塩(マグネシウム)、あるいは干し葡萄ないしはまた糖原体類のような下剤作用をもつものを補給しなければならない。

多くの人々は、下剤の常用に反対し、下剤を用いることは不自然であるといっているが、実は、このような人々は、下剤の使用を必要とするに至った原因が、抑々(そもそも)不自然な生活様式にあることを、全く忘れ去っているのである。

 

以上によって見れば、今日いまだ一般的には原因不明とされ、しかも治療の途なしとも言われている癌腫の問題も、実はすでにこの分野の先覚者等によって、その原因が実に平凡極まる「糞便停滞」にあることが、明らかにされているといえよう。

とすればシレー(Maurice Chiray)およびスティーフェル(Stiffel)両氏氏[23]が、

一般腫瘍はもちろん、不眠症、四肢疼痛、ロイマチス、脳溢血、肝臓病、心臓病、腎臓病など、諸多の疾患の原因は、実に「便秘」に根ざしている。

と述べていることは、誠にもっともなことなのである。

このように、癌腫を初めとする幾多の疾患、ことに慢性疾患の全部が、実に「便秘」を原因として、多少とも長い時日の間に、人体内に培われてくるものとすれば、およそ、いかなる治療法といえども、その疾病治療に当って、先ず第一に考慮・解決すべき問題は、まさしく便秘なりと断言せざるを得ないのである。

そこで問題は、一歩を進めて、このような便秘に対する最も確実な予防および治療法いかん、ということになるが、今、以上のような諸大家の所説を参照するに、それは、未開人の生活に復帰することにあるように考えられぬでもない。

しかしながら、われわれ文明人が、かような後退を行なうことは、何といっても、はなはだしく非社会的な行動なりと断言せざるを得ないであろう。

ここにおいてわれわれは、文明諸国において普通に見るような不自然な食事法や、暖衣や安侠(あんいつ)の生活そのものの、まっただ中において、なんらかこれに対抗する最善の方法を案出しなければならない。

このような方法としては、もちろん塵煙の社会生活の間において実行し、もって充分なる効果をあげ得るような、最も理想的な健康法が、いうまでもなく必要かつ適当である。

さらにまた、古き停滞便を一掃し得るような科学的断食法も、当然、考慮しなければならない。

しかしながら、世の中には、種々の事情から、これらの、いずれの方法をも実行し得ざる状態に立ち至っている人々も、また、決して少なくない。

となれば、このような人々のために残された最後のものとしては、理想的の下剤を用いるということを置いて果して他に何があろう。

そこで、問題は、いかなるものが、下剤として、最も理想的であるかという点に帰着してくるのである。

 

西勝造のこうした論考を背景に発明されたのが、「スイマグ・エース」であり「マリンマグ・エース」なのです。

 

Fin

 


References

(19) Sir T. Lauder Brunton, Consulting Physician to St. Bartholomew’s Hospital, London. Therapeutics, “Encyclopoedia Britanica., 11th Edition, 1911.

(20) T. Ellis Barker. Cancer, London, 1933. p.276.

(21) Barker. Cancer, 1933, p.320.

(22) Sir Lauder Brunton. Constipation, “A System of Diet and Dietetics., London, 1906, p.13.

(23) M. Chiray et R. Stieffel. Les constipations, diagnostic et Traitement, Masson et Cie, Paris. 1933, p.68—72.


(1) Dr.Victor Pauchet. Chirurgien de l’Hôpital Saint Michel. Le Cancer, Paris, 1923.

(2) The Book of Health. Messrs. Cassell and Co., London, 1884.

(3) Lane. British Medical Journal, 27 th. Oct., 1923.

(4) A. C. Jordan. Stasis and the Prevention of Cancer, British Medical Journal, 25 th.Dec., 1920.

(5) Metchnikoff. The Prolongation of Life, 1907, p.42, 69, 71,

(6) H. C. Ross. Journal 0f Cancer Research, 1918.

(7) J. Lockhart Mummery. Diseases of the Rectum and Colon, 1923.

(8) Barker. Cancer, 1933, p.166.

(9) Samuel Goodwin Gant. Diseases of the Rectum and Colon, 1923.

(10) F. Swinford Edwards. Diseases of the Rectum, Anus, and Sigmooid Colon, 1908, p.263.

(11) Adams and Cassidy. Acute Abdominal Diseases, 1913, p.191—202.

(12) William J. Mayo. Mayo Papers, Vol. IV, 1913, p.711.

(13) Sir Hermann Weber. On Means for the Prolongation of Life, London, 1914, p.153.

(14) Dr. Victor Pauchet. Le Colon Homicide, Paris, 1922.

(15) Dr. Jordan. Chronic lntestinal Stasis: A. Radiological Study, London, 1923.

(16) Dr. Roger I. Lee, Professor of Hygiene in Harvard University, Health and Di sease : Their Determing Factors, Boston, 1917, p.170.

(17) Lane. Reflections on the Evolution of Disease, Lancet, 20 th Decembre, 1919.

(18) Dr. Leonard Williams, Physician to the French Hospital in London. Minor Maladies and Their Treatment, London, 1918, 4th Edition, p.111.

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(22) Sir Lauder Brunton. Constipation, “A System of Diet and Dietetics., London, 1906, p.13.

(23) M. Chiray et R. Stieffel. Les constipations, diagnostic et Traitement, Masson et Cie, Paris. 1933, p.68—72.

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