健康
Health care
いのちまで人まかせにしないために
Health care
いのちまで人まかせにしないために
2022.05.28
古来、聖人や賢者と呼ばれる人のなかで、フカフカな寝台で寝た者はいません。
それは清貧の美学などではなく、単純にその方が健康に良かったからなのです。
充実した生を営む賢者(知的生活者)は、「生物としての健康」にも敏感なのです。
Human evolution
二足歩行の人間にとって、背骨の湾曲は直立歩行するためには必要です。
脳をはじめ体の各部に無理がいかないようにしていますが、二本足で立っているためやはり縮んで椎骨と椎骨との間の軟骨(椎間板)を圧迫するなど四つ足動物よりもずっと支障をきたしやすくなっています。
哺乳類の脊椎は、もともと四足歩行に適する梁として設計されています。
つまり、水平につくられているのです。
それが人間の場合、直立して作業し、歩き、労働するので、梁は柱として使われます。
力学的に不安定な状態を余儀なくされており、その結果、構造上さまざまな障害を生じるのです。
脊椎の椎骨がねじれたり、傾いたり…これを「副脱臼(ふくだっきゅう)」といいますが、ヘルニアが発生することになります。
かつての西洋医学には、骨格のゆがみが病気を引き起こすという考え方は存在していました。
しかし今日に至り、現代医学には、脊椎の副脱臼(ゆがみ)という概念はなく、それが原因でさまざまな症状や不調を引き起こすという考え方も持ちません。
新潟大学の安保徹博士も言っておられたように、人間の体を機械の部品としてではなく、「全一者(全体的)」として捉えないかぎり難病の原因を理解することはできないのです。
人間は大脳を発達させるために進化し、立ち上がりました。
しかしそれは、頸椎と同様に背骨の構造に無理を強いることになったのです。
二足で立ち上がったのが、禁断の知恵の果実欲しさの背伸びなら、同時にそれは人間に病気を宿させた原罪だったのでしょうか。
それはそうかもしれませんが、直立したのは決して健康を犠牲にしての暴挙ではないでしょう。
仮に背骨が歪んだとしても、それが睡眠の際に真っすぐ伸びて矯正されることを前提としての進化だったとは考えられないでしょうか。
厚くて体が沈みこむような布団に寝ると、脊柱は矯正されないどころかますます歪みを進めてしまいます。
胸椎第3番から第10番までが水平でなければ、肝臓と腎臓を害する温床となってしまいます。
西医学健康法の六代法則の第一が、硬い板(厚さ1センチほど)に寝ることです。
硬い床(合板でも良い)は、背骨の歪みを矯正するだけではなく肝臓や腎臓、皮膚に刺激を与え、体に良い効果をもたらします。
肝臓の働きが良くなれば、腸の機能を活発にし、ひいては脳にもいい影響を与えます。
また硬さの刺激は皮膚の静脈の流れを改善し、たまった老廃物を処理するのに役立ちます。
筆者も「平床・硬枕」を習慣としていますが、最初は間違いなく背中が痛かったり違和感を覚えます。
しかし、一旦これに慣れると、もはやフカフカな布団では落ち着かず、硬い平床が安らいでホッとするようになります。
西医学健康法の創始者西勝造は、「それが健全な感覚である」と言っています。
1週間がんばってください。安眠の健康ベッドになります!
どうしても痛くてたまらず、硬い平床などに寝られないというのは、そもそも背骨が曲がっているからで、疾病の危険信号、あるいは幸運な早期発見と考えれば良いでしょう。
このような人こそ、平床に耐えられずに投げ出してはいけません。
いずれ訪れるもっと大変な内臓疾患を招くことになります。
このような人はたいていの場合、腰か尻の骨に痛みを感じるものですが、これは腰椎か仙椎に故障がある可能性が高いと考えられます。
板の上に毛布や薄いマットを敷くなどの方法からスタートするのも良いでしょう。
また事前の準備としては、「金魚運動」を実践して、身体の左右の調和と均整を整えれば、次第に寝られるようになります。
金魚運動のレッスン動画は、弊社公式ウェブサイトからご覧いただけます。
賀陽宮、北白川宮、東久邇宮、李王殿下、東伏見宮、竹田宮などの皇族や、第20代内閣総理大臣高橋是清は西医学健康法の熱心な実践者・礼讃者で、平床・硬枕を睡眠時の習慣とされていました。
殊に憲政史上唯一の皇族内閣を組閣し終戦処理にあたった東久邇宮稔彦王は、102歳まで生きられ、歴代内閣総理大臣の中の最長寿者となっています。
病院などにかかる医療費と比べれば、わずかなコストで実践できます。
運動とともに、あらゆる医療のなかで最良の投資効率(ROI)ではないでしょうか。
習慣が健康な人をつくるのです。