栄養

Nutrition

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3.29 栄養療法による消化機能の回復 —— ビタミン・ミネラル・栄養素が支える消化管の修復と再生

2026.02.13

⑴ 消化管の恒常性維持に必要な栄養素

消化器系は、食物の消化・吸収・排泄という重要な機能を担っており、その粘膜組織は高い代謝回転率を有しています。

そのため、消化管の健康維持には、十分な栄養素の供給が不可欠です。

とくに以下の栄養素が、消化管機能の正常化および修復に重要な役割を果たします。

    栄養素      作用・効果

  • グルタミン    小腸上皮細胞の主要なエネルギー源、腸管バリアの修復[1]
  • ビタミンA     粘膜上皮の再生促進、免疫機能の維持[2]
  • ビタミンC     コラーゲン合成促進、抗酸化作用による潰瘍治癒支援[3]
  • 亜鉛       組織修復・免疫調整・粘膜の治癒促進[4]
  • オメガ3脂肪酸 抗炎症作用、潰瘍性腸炎やクローン病の症状緩和に寄与[5]
  • ナイアシン    NAD⁺合成による細胞エネルギー維持、粘膜保護[6]
  • ビタミンD     腸上皮細胞のバリア機能維持、抗炎症作用[7]

Composition with food products rich in zinc

⑵ 栄養療法の応用例と臨床効果

消化管の障害が慢性化すると、二次的な栄養吸収障害や全身的な炎症を引き起こします。

これを防ぐためには、以下のようなターゲットを絞った栄養介入が有効です。

① 炎症性腸疾患(IBD)における栄養療法

  • グルタミン、魚油、ビタミンD、亜鉛などが、炎症軽減や粘膜修復に貢献するとの報告があります[5・7]
  • また、特定の除去食や低FODMAP食と併用することで、腸内細菌叢の改善効果も得られる場合があります[8]

② 消化性潰瘍・胃炎への応用

  • ビタミンCやナイアシンは、胃酸により傷ついた粘膜の修復に寄与します。
  • ナイアシンアミドの使用により、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による胃損傷の軽減が見られることもあります[3・6]

③ リーキーガット症候群と栄養

  • 腸管の透過性が増す「リーキーガット」では、グルタミン・亜鉛・ビタミンA・Dの補給が有用とされています[1・2・4・7]
  • これにより腸管バリア機能が強化され、アレルギー・自己免疫・慢性疲労の改善にもつながる可能性があります[9]

⑶ 栄養療法の安全性と注意点

栄養素は「量」が非常に重要です。

とくに脂溶性ビタミン(A、Dなど)や亜鉛などは過剰摂取による副作用のリスクがあるため、個人の状態に合わせた適切な用量設定が求められます。

また、腸の吸収障害が重度である場合は、経口よりも経静脈的栄養(IV)が必要になるケースもあります。


 

References

 

  1. Windmueller, H. G., Spaeth, A. E. (1975). “Intestinal metabolism of glutamine and glutamate.” Am J Physiol, 229(4), 911–915.
  2. Ross, A. C. (2010). “Vitamin A and retinoic acid in T cell–related immunity.” Am J Clin Nutr, 91(5), 1460S–1464S.
  3. Pullar, J. M., et al. (2017). “The roles of vitamin C in skin health.” Nutrients, 9(8), 866.
  4. Sturniolo, G. C., et al. (2001). “Zinc supplementation tightens ‘leaky gut’ in Crohn’s disease.” Inflamm Bowel Dis, 7(2), 94–98.
  5. Calder, P. C. (2006). “n-3 polyunsaturated fatty acids, inflammation, and inflammatory diseases.” Am J Clin Nutr, 83(6), S1505–S1519.
  6. Kirkland, J. B. (2003). “Niacin status, NAD distribution and ADP-ribose metabolism.” Curr Pharm Des, 9(25), 1929–1940.
  7. Kong, J., Li, Y. C. (2006). “Vitamin D signaling in intestinal epithelial cells and colon cancer.” Mol Cell Endocrinol, 265–266, 238–242.
  8. Staudacher, H. M., et al. (2012). “Mechanisms and efficacy of dietary FODMAP restriction in IBS.” Gastroenterology, 145(5), 978–987.
  9. Fasano, A. (2012). “Leaky gut and autoimmune diseases.” Clin Rev Allergy Immunol, 42(1), 71–78.
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