栄養

Nutrition

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3.27 腸内環境と消化管障害 —— ディスバイオーシス、リーキーガット、アレルギー・自己免疫疾患との関連

2026.01.30

⑴ 腸内細菌叢と健康の関係

ヒトの腸内には、およそ100兆個以上の微生物が生息しており、その多くが大腸に集中しています。

この腸内微生物群(マイクロバイオーム)は、消化・吸収・免疫機能の調整・ビタミン合成など多くの生理機能を担っており、「もうひとつの臓器」とも呼ばれる存在です[1]

とくに腸内細菌のバランスが崩れる状態、すなわち腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオーシス)は、過敏性腸症候群(IBS)や炎症性腸疾患(IBD)などの消化管疾患だけでなく、アレルギーや自己免疫疾患、精神疾患、肥満、糖尿病など、全身の慢性疾患とも関係があることが示唆されています[2・3]

Microbiome (microbioma).

⑵ リーキーガット(腸管壁透過性亢進)

腸内環境の悪化は、腸粘膜のバリア機能にも影響を与えます。リーキーガット(Leaky Gut)とは、本来は選択的に物質を吸収する腸壁が炎症や毒素によって傷つき、未消化物質や細菌由来の毒素(LPSなど)が血中に漏れ出す状態を指します。

このような腸管透過性の亢進は、慢性的な炎症、アレルギー反応、自己免疫疾患(例:関節リウマチ、1型糖尿病、多発性硬化症)を引き起こす引き金になると考えられています[4]

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⑶ 腸内環境の悪化要因

以下の要因が腸内環境を乱すことが知られています。

  • 抗生物質の長期使用
  • 食物繊維や発酵食品の不足
  • 加工食品・人工甘味料の多用
  • 精製糖やアルコールの過剰摂取
  • 慢性的なストレスや睡眠不足
  • カンジダなどの病原性真菌の増殖

とくに現代型の食生活(高脂肪・高糖質・低食物繊維)は、善玉菌(プロバイオティクス)を減らし、悪玉菌や日和見菌を増やす原因となり、腸内のpH・代謝産物・免疫応答に悪影響を及ぼします[5]

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⑷ 栄養療法と腸内環境の改善

腸内環境を整えるには、以下のような栄養介入が有効とされています。

  • プレバイオティクス  食物繊維(イヌリン、フラクトオリゴ糖など)、レジスタントスターチなど
  • プロバイオティクス  乳酸菌(Lactobacillus)、ビフィズス菌(Bifidobacterium)、酪酸菌など
  • ポストバイオティクス 短鎖脂肪酸(酢酸・酪酸・プロピオン酸)、細菌代謝産物、バクテリオシンなど
  • 発酵食品       味噌、ぬか漬け、ヨーグルト、キムチ、納豆など
  • 抗炎症栄養素     オメガ3脂肪酸、ビタミンD、L – グルタミン、亜鉛、N – アセチルシステイン(NAC)など

とくに酪酸(butyrate)は、大腸上皮のエネルギー源であり、腸粘膜の修復と炎症抑制に有効であるとされています[6]

また、L – グルタミンは腸粘膜の再生を助け、亜鉛はバリア機能の維持に寄与します[7]


 

References

 

  1. O’Hara, A. M., & Shanahan, F. (2006). “The gut flora as a forgotten organ.” EMBO Rep, 7(7), 688–693.
  2. Sekirov, I., et al. (2010). “Gut microbiota in health and disease.” Physiol Rev, 90(3), 859–904.
  3. Clemente, J. C., et al. (2012). “The impact of the gut microbiota on human health: an integrative view.” Cell, 148(6), 1258–1270.
  4. Fasano, A. (2012). “Leaky gut and autoimmune diseases.” Clin Rev Allergy Immunol, 42(1), 71–78.
  5. Ríos-Covián, D., et al. (2016). “Intestinal short chain fatty acids and their link with diet and human health.” Front Microbiol, 7, 185.
  6. Canani, R. B., et al. (2011). “Potential beneficial effects of butyrate in intestinal and extraintestinal diseases.” World J Gastroenterol, 17(12), 1519–1528.
  7. Sturniolo, G. C., et al. (2001). “Zinc supplementation tightens ‘leaky gut’ in Crohn’s disease.” Inflamm Bowel Dis, 7(2), 94–98.
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