栄養

Nutrition

あなたは、あなたが食べてきたそのものです

3.23 消化管バリアと免疫 ——腸の透過性と免疫機能は、全身の健康を左右する

2026.01.02

明けましておめでとうございます。

「Follow that Dream」。

年末にそうメッセージを贈らせていただきました。

大きな夢を叶えるために必要なのは、魔法のような一発逆転ではなく、地味でも確実な「毎日の健康」です。

今年もまた、皆さんと一緒に、一歩ずつ積み重ねていきたいと思います。

まずは深呼吸から始めましょう。

Tight junction as intercellular barrier between epithelial cells outline diagram. 

⑴ 消化管バリアの構造と役割

消化管は単なる「食べ物の通り道」ではなく、強力な免疫バリアの役割を果たしている器官です。

腸粘膜の表面は上皮細胞(enterocytes)によって覆われ、その間を「タイトジャンクション(tight junction)」と呼ばれる構造が密に連結しています。

これにより、異物や病原体の侵入を防ぎつつ、選択的に栄養素を吸収する機能が保たれています。[1]

腸には、全身の約70%以上の免疫細胞が存在しており、パイエル板(Peyer’s patches)などのリンパ組織や、免疫グロブリンIgAを分泌する形質細胞が集中しています。

これが「腸管免疫(gut-associated lymphoid tissue:GALT)」と呼ばれる防御システムであり、外来の抗原や病原体に対する第一線の防衛を担っています。[2]

⑵ 腸管バリアの破綻とリーキーガット

タイトジャンクションが損傷を受けて開いてしまうと、本来吸収されるべきでない未消化の食物や毒素、細菌、ウイルスが血中に漏れ出す状態、すなわち「リーキーガット症候群(Leaky Gut Syndrome)」が発生します。

この状態は以下のようなさまざまな要因で引き起こされます:

  • グルテン、カゼイン、アルコールなどの摂取
  • NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)や抗生物質の多用
  • 精神的ストレスや慢性炎症
  • 腸内細菌のディスバイオシス(異常)[3・4]

⑶ リーキーガットと疾患の関係

腸管の透過性亢進(リーキーガット)は、以下のような慢性疾患や自己免疫疾患と深く関係しています:

  • 食物アレルギー・過敏症
  • アトピー性皮膚炎や喘息
  • 関節リウマチ、橋本病、型糖尿病などの自己免疫疾患
  • うつ、不安、脳の炎症、アルツハイマー病など[5・6]

腸内で生じた炎症が血中を通して全身へ波及し、慢性炎症の温床となるのです。

Pour oligosaccharide on yoghurt

⑷ 栄養療法による腸バリア機能の回復

腸管バリアを保護・修復するためには、以下の栄養素や成分が有効とされています:

  • L – グルタミン:腸粘膜上皮細胞の主要なエネルギー源で、修復を促進[7]
  • ビタミンA・D・亜鉛・セレン:上皮細胞の分化・免疫機能を支える必須栄養素[8]
  • 乳酸菌・ビフィズス菌・酪酸菌などのプロバイオティクス:腸内環境を整える
  • フラクトオリゴ糖、イヌリンなどのプレバイオティクス:善玉菌の増殖を助ける
  • ボーンブロス、コラーゲン、N-アセチルグルコサミン:粘膜の修復を助ける

さらに、腸内の炎症を悪化させる精製糖質・加工食品・グルテン・カゼインなどの制限も、腸バリア機能の改善には欠かせません。


 

References

 

  1. Turner, J. R. (2009). “Intestinal mucosal barrier function in health and disease.” Nature Reviews Immunology, 9(11), 799–809.
  2. Brandtzaeg, P. (2010). “Function of mucosa-associated lymphoid tissue in antibody formation.” Immunological Investigations, 39(4-5), 303–355.
  3. Fasano, A. (2012). “Leaky gut and autoimmune diseases.” Clinical Reviews in Allergy & Immunology, 42(1), 71–78.
  4. de Punder, K., & Pruimboom, L. (2015). “Stress induces endotoxemia and low-grade inflammation by increasing barrier permeability.” Frontiers in Immunology, 6, 223.
  5. Mu, Q., Kirby, J., Reilly, C. M., & Luo, X. M. (2017). “Leaky gut as a danger signal for autoimmune diseases.” Frontiers in Immunology, 8, 598.
  6. Camilleri, M. (2019). “Leaky gut: mechanisms, measurement and clinical implications in humans.” Gut, 68(8), 1516–1526.
  7. Van Der Hulst, R. R. et al. (1993). “Glutamine and the preservation of gut integrity.” The Lancet, 341(8857), 1363–1365.
  8. Tomkins, A. (2000). “Assessing micronutrient status in the presence of inflammation.” The Journal of Nutrition, 130(5S Suppl), 1430S–1435S.
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