
明けましておめでとうございます。
「Follow that Dream」。
年末にそうメッセージを贈らせていただきました。
大きな夢を叶えるために必要なのは、魔法のような一発逆転ではなく、地味でも確実な「毎日の健康」です。
今年もまた、皆さんと一緒に、一歩ずつ積み重ねていきたいと思います。
まずは深呼吸から始めましょう。


Tight junction as intercellular barrier between epithelial cells outline diagram.
⑴ 消化管バリアの構造と役割
消化管は単なる「食べ物の通り道」ではなく、強力な免疫バリアの役割を果たしている器官です。
腸粘膜の表面は上皮細胞(enterocytes)によって覆われ、その間を「タイトジャンクション(tight junction)」と呼ばれる構造が密に連結しています。
これにより、異物や病原体の侵入を防ぎつつ、選択的に栄養素を吸収する機能が保たれています。[1]
腸には、全身の約70%以上の免疫細胞が存在しており、パイエル板(Peyer’s patches)などのリンパ組織や、免疫グロブリンIgAを分泌する形質細胞が集中しています。
これが「腸管免疫(gut-associated lymphoid tissue:GALT)」と呼ばれる防御システムであり、外来の抗原や病原体に対する第一線の防衛を担っています。[2]

⑵ 腸管バリアの破綻とリーキーガット
タイトジャンクションが損傷を受けて開いてしまうと、本来吸収されるべきでない未消化の食物や毒素、細菌、ウイルスが血中に漏れ出す状態、すなわち「リーキーガット症候群(Leaky Gut Syndrome)」が発生します。
この状態は以下のようなさまざまな要因で引き起こされます:
- グルテン、カゼイン、アルコールなどの摂取
- NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)や抗生物質の多用
- 精神的ストレスや慢性炎症
- 腸内細菌のディスバイオシス(異常)[3・4]

⑶ リーキーガットと疾患の関係
腸管の透過性亢進(リーキーガット)は、以下のような慢性疾患や自己免疫疾患と深く関係しています:
- 食物アレルギー・過敏症
- アトピー性皮膚炎や喘息
- 関節リウマチ、橋本病、Ⅰ型糖尿病などの自己免疫疾患
- うつ、不安、脳の炎症、アルツハイマー病など[5・6]
腸内で生じた炎症が血中を通して全身へ波及し、慢性炎症の温床となるのです。

Pour oligosaccharide on yoghurt
⑷ 栄養療法による腸バリア機能の回復
腸管バリアを保護・修復するためには、以下の栄養素や成分が有効とされています:
- L – グルタミン:腸粘膜上皮細胞の主要なエネルギー源で、修復を促進[7]
- ビタミンA・D・亜鉛・セレン:上皮細胞の分化・免疫機能を支える必須栄養素[8]
- 乳酸菌・ビフィズス菌・酪酸菌などのプロバイオティクス:腸内環境を整える
- フラクトオリゴ糖、イヌリンなどのプレバイオティクス:善玉菌の増殖を助ける
- ボーンブロス、コラーゲン、N-アセチルグルコサミン:粘膜の修復を助ける
さらに、腸内の炎症を悪化させる精製糖質・加工食品・グルテン・カゼインなどの制限も、腸バリア機能の改善には欠かせません。

References
- Turner, J. R. (2009). “Intestinal mucosal barrier function in health and disease.” Nature Reviews Immunology, 9(11), 799–809.
- Brandtzaeg, P. (2010). “Function of mucosa-associated lymphoid tissue in antibody formation.” Immunological Investigations, 39(4-5), 303–355.
- Fasano, A. (2012). “Leaky gut and autoimmune diseases.” Clinical Reviews in Allergy & Immunology, 42(1), 71–78.
- de Punder, K., & Pruimboom, L. (2015). “Stress induces endotoxemia and low-grade inflammation by increasing barrier permeability.” Frontiers in Immunology, 6, 223.
- Mu, Q., Kirby, J., Reilly, C. M., & Luo, X. M. (2017). “Leaky gut as a danger signal for autoimmune diseases.” Frontiers in Immunology, 8, 598.
- Camilleri, M. (2019). “Leaky gut: mechanisms, measurement and clinical implications in humans.” Gut, 68(8), 1516–1526.
- Van Der Hulst, R. R. et al. (1993). “Glutamine and the preservation of gut integrity.” The Lancet, 341(8857), 1363–1365.
- Tomkins, A. (2000). “Assessing micronutrient status in the presence of inflammation.” The Journal of Nutrition, 130(5S Suppl), 1430S–1435S.