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Nutrition
あなたは、あなたが食べてきたそのものです
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2025.09.19
食道裂孔(しょくどうれっこう)ヘルニア(hiatal hernia)は、胃の一部が横隔膜を通り抜けて胸腔側に入り込む状態を指し、胃食道逆流症(GERD: Gastroesophageal Reflux Disease)の重要な原因の一つとされています。
Illustration showing Gastrophageal reflux disease (GERD) is a digestive disorder where stomach acid flows back into the esophagus, causing discomfort and complications.
この状態では、胃酸が食道に逆流しやすくなるため、胸焼けや嚥下障害、咳、声のかすれなどの症状が生じやすくなります。[1]
食道裂孔ヘルニアは、必ずしもすべての患者に症状が出るわけではありませんが、腹圧の上昇や胃内容物のうっ滞などの要因が加わると、症状が悪化する傾向があります。
この病態は特に高齢者に多く、横隔膜の筋力低下が原因のひとつと考えられています。
また、猫背や姿勢不良によって腹圧が上昇し、胃が胸腔側に押し上げられやすくなることもリスク因子です。
肥満、妊娠、頻繁な咳、重い物を持ち上げる習慣なども、裂孔ヘルニアの発症に影響します。[2]
Hiatus hernia with severe gastritis. Gastrointestinal endoscopy, medical imaging EGD looking for structures in the esophagus.
食道裂孔ヘルニアは、基本的には構造的な問題(横隔膜の裂け目の拡大)が本質であり、食事内容そのものが直接的な原因とは言えません。
ただし、一度に大量の食事を摂ることや、脂っこい食事、アルコール、カフェイン、チョコレート、ミントなどは胃酸の逆流を促し、症状を悪化させることが知られています。[3]
また、食後すぐに横になる、ベルトやコルセットで腹部を圧迫するなどの生活習慣も逆流を助長します。
そのため、以下のような生活習慣の見直しが重要になります。
構造的な障害であるため、食道裂孔ヘルニアそのものを完全に食事や運動で治すことは困難ですが、生活習慣の見直しによって症状をコントロールすることは十分に可能です。
薬物療法では、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカーなどが胃酸の分泌を抑える目的で使用されます。[4]
ただし、栄養療法的な観点からは、胃酸の過剰抑制によるタンパク質やミネラルの吸収障害にも注意が必要であり、薬物使用時は医師の管理下で慎重に栄養補給を行うことが望まれます。[5]
References