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2025.04.25

オーソモレキュラー医学を否定する人たち

オーソモレキュラー医学に批判的な人々は、ビタミンやミネラルの副作用や毒性を極端に誇張する傾向があります。

これらの主張は、アメリカ政府が発行する公的な文献にも掲載されています。

過去に、FDA(連邦食品医薬品局)はビタミンやミネラルに対して根拠のない否定的な情報を多数含むパンフレットを10万部配布しました。

ライナス・ポーリングがFDAに対してその主張の根拠を示すよう求めた際、当局は回答を長期間保留しましたが、最終的に「そのパンフレットの著者はすでにFDAに勤務していない」と回答しました。

その後、FDAは誤りを認め、謝罪し、パンフレットの回収を命じました。

このパンフレット自体の内容は、誤った情報が多く含まれた質の低いものであり、世間に流布する多くの根拠のない記事と大差ありません。

しかし、こうした批判記事を書く人々には共通点があります。

それは、誰一人として実際にオーソモレキュラー医学を用いて患者を治療した経験がないということです。

したがって、彼らは高用量ビタミンの治療効果や副作用について直接的な経験を持たないのです。

このパンフレットに関して特に重要なのは、FDAの専門家がこのような誤った情報の公開を許可したことです。

彼らは単に無知だったのか、それとも誤情報を流しても誰も訂正しないと考えていたのでしょうか。

オーソモレキュラー医学を批判する少数の人々は、『米国医師会雑誌』(JAMA)のような医学誌にすぐに論文を掲載してもらえます。

しかし、オーソモレキュラー医学の学理に向けられた攻撃に対する反論は、JAMAでは決して掲載されません。

批判者たちは、「推奨量を超えるビタミンの摂取は不要であり、無駄である」「高用量のビタミンは毒性を持つ可能性がある」と主張します。

第一の批判は、従来のビタミン学説の単なる繰り返しにすぎません。

この学説は約100年間、ほとんど変わっていません。

一方で、オーソモレキュラー医学を実践する臨床医たちは、60年以上の臨床経験を通じて、多くの患者が高用量のビタミン投与によって初めて回復に向かうことを発見してきました。

こうした患者にとって、「高用量のビタミンは必要ない」と言われても納得できるものではなく、健康を取り戻すためならビタミン代を喜んで支払います。

健康でいることは、病気のままでいるよりも経済的なのです。

高用量の投与が必要なのは、ビタミンに限ったことではありません。

あらゆる薬には、個人によって異なる適切な治療量があります。

最大の効果を得るために、より多くの量が必要な場合もあります。

例えば、精神安定薬を注射で投与する場合、経口投与よりもはるかに効果的です。

また、特定の病気では有効な血中濃度を維持するために1日40g以上の抗生物質が使用されることがあります。

多くの抗生物質が尿中に排泄されるからといって、その投与が無駄だと考える人はいないでしょう。

「尿中に出ない程度に薬の使用を抑えるべきだ」という主張は、ビタミン療法にのみ適用される理不尽な要求です。

どのような物質も(食物や水でさえも)、過剰摂取すれば毒となる可能性があります。治療を行う際には、

  • 治療しない場合のリスク
  • 他の薬を使用した場合のリスク
  • 治療によるメリットと副作用

を比較検討する必要があります。

もし病気が生命を脅かすものであったり、症状が慢性化する恐れがあったりする場合、副作用や有害反応が病気のリスクより小さく、医師が管理可能であれば、どのような治療も検討されるべきです。

精神安定薬やインスリンは、有毒な副作用を持つ場合がありますが、必要な場合には使用されます。

重要なのは毒性ではなく、有効性です。

ある薬が有効であるならば、毒性を考慮しながら使用されます。

同様に有効で、より低い毒性を持つ薬が登場すれば、それが優先されるでしょう。

逆に、効果がない薬は使用すべきではありません。

このような場合には「薬の毒性」は議論の対象にすらなりません。

しかし、ビタミン療法の批判者たちは、この治療法の有効性を示すあらゆる証拠を拒絶し、医師や一般の人々がビタミンを使用することを阻止するために、毒性を強調し続けます。

彼らも、ビタミンが一般のドラッグストアで販売されている医薬品よりも安全であることを知っていますが、それにもかかわらず、ビタミンの潜在的な毒性反応を探し出そうとします。

そして最終的に、ある種の毒性が存在する可能性があると結論付けます。

しかし、彼らはビタミンの毒性によって患者が被害を受けたという研究を提示することはなく、また、現在ビタミンを摂取している人々の中で副作用や毒性に苦しんでいる人の割合を示す研究も挙げることはありません。

35年以上にわたってオーソモレキュラー医学を実践してきた結果、ビタミンは極めて安全であることが分かりました。

その安全性は、患者の他の治療選択肢(薬や手術、あるいは治療を拒否し、栄養不足に陥ること)と比較すれば、特に明確です。

ジェリー・グリーン医学博士(Jerry Green MD, Yale University School of Medicine)

 

ある批判的な見方

サプリメントの使用を厳しく批判する人々は昔から、「ビタミン、特に高用量のものは危険であり、あるいは少なくとも無駄遣いに過ぎない」と非難してきました。

しかし、栄養サプリメントは非常に安全であり、大半の人々にとって必要不可欠なものです。

JAMA(米国医師会雑誌)では、「すべての人が毎日マルチビタミンを摂取すべきである」と推奨する記事が掲載されました。

その記事の中では、「古典的なビタミン欠乏症を防ぐだけの摂取量では不十分であり、不足すると慢性疾患のリスク因子となる」と述べられています。

特に中高年層においては、このリスクが顕著であると指摘されています。[21]

つまり、JAMAは広く普及している低品質な食事(あるいは、栄養的に良いとも悪いとも言えない程度の食事)に対して、単なる最低限の栄養補給以上の対策が必要であると考えているのです。

その目的は、記事のタイトルにもある通り、「成人における慢性疾患予防のためのビタミン」にあります。

この考え方は非常に理にかなっており、数世代前から普及していてもおかしくなかったものだと考えさせられます。

サプリメントの重要性をより深く理解するために、以下の事例を考えてみましょう。

週に1回ホットドッグを食べる子供は、脳腫瘍のリスクが2倍になることが報告されています。

また、月に12本(週に3本)以上ホットドッグを食べる子供は、まったく食べない子供と比べて白血病のリスクが約10倍に上昇します。[22]

しかし、ホットドッグを食べる子供がビタミンサプリメントを摂取している場合、がんのリスクが軽減されることが示されています。[23]

ビタミンの「潜在的な」危険性については様々な理屈が並べられる一方で、サプリメントのがん予防効果については、マスコミがしばしば無視するのは興味深い点です。

さらに、サプリメント批判をする人々は、サプリメントが非常に安価であることについては触れないことが多いです。

低所得世帯にとって、容易に手に入るマルチミネラルやマルチビタミンは、同じ栄養素を食品から摂取するよりもはるかに安価です。

特に、栄養価の高い食品や、季節外れの新鮮な野菜を購入するよりも、サプリメントのほうがコストを抑えられることは、サプリメント批判者にとって都合の悪い事実かもしれません。

毎年30万人ものアメリカ人が、栄養価の低い食生活が原因で命を落としています。

サプリメントは、良い食生活であれ悪い食生活であれ、どんな食事習慣であっても栄養状態を大幅に改善することができます。

また、サプリメントは一般の人々にとって手軽に取り入れられる栄養補給の手段です。

テレビなどのメディアから情報を得ている人の中には、動物の臓物や全粒穀物の胚芽、発芽した豆類(スプラウト)、豊富な野菜を摂取するよりも、手軽な錠剤を選ぶ方が現実的だと考える人もいるでしょう。

マスメディアはサプリメントの危険性を強調する報道を行うことがありますが、サプリメント自体が問題なのではなく、むしろ解決策となるべきものです。

真の問題は、栄養不足にあるのです。[24]

有効性の証明

低用量のビタミンを使用した研究では否定的な結果が出ることが多いのですが、それは大半のビタミン研究が低用量で行われているためです。

低用量しか使用しない研究では、高用量の有効性を検証することはできません。

栄養学の研究で低用量のビタミンしか使用していない場合、ビタミン療法は「効果なし」と結論づけられることがよくあります。

しかし、オーソモレキュラー療法を実践する数百人の医師が、低用量では効果が不十分であることをすでに報告しています。

研究を意図的に失敗させることは簡単です。

その方法の一つが、調査対象となる物質を不十分な量しか使用せず、意味のない試験を行うことです。

例えば、突進してくるサイに豆を投げつけても、大した影響を与えられないのと同じです。

また、道端で出会ったホームレス全員に25セントずつ配ったとしても、貧困問題の解決には何の助けにもならないでしょう。

低用量の研究を正当化する理由として、「高用量のビタミンは危険である」という主張がよく挙げられます。

しかし、これは誤りです。

この事実を信じない人もいるかもしれませんが、信念の問題ではなく、事実の問題なのです。

その事実とは、「ビタミンサプリメントによる死亡は、年間で一件も報告されていない」ということです。[25]

ビタミンには副作用があるという主張に対しては、プラセボを用いた二重盲検試験を行うべきです。

そして、ビタミンが毒性を持つと主張する人々は、その試験結果を根拠として引用できるようにするべきでしょう。

しかし、実際にはビタミンの副作用は存在しないため、彼らは自らの試験結果をもとにビタミンの危険性を証明することができません。

皮肉なことに、ビタミンに否定的な立場の人々は、ビタミンに効果がないことを示そうとして、低用量の研究結果を引用しながら主張を展開します。

しかし、高用量のビタミンに関する研究結果では、ビタミンの危険性を示すものが存在しないため、都合よく引用することができないのです。

これはつまり、高用量のビタミンが実際に有効であり、かつ安全であることの証明にもなっています。

特許薬には製薬会社という強力な支援者が存在し、彼らはそれらの薬を積極的に販売し、擁護します。

一方で、ビタミンは特許を取得できないため、商業的な支援がほとんどない状態です。

そのため、高用量のビタミン療法が広く普及するかどうかは、その効果を実感した医師の熱意や、他のあらゆる治療法を試しても効果がなかった患者が、ビタミン療法によって救われたという体験をどれだけ広められるかにかかっています。


 

References

 

21. Fletcher. R.H., and K.M. Fairfield. “Vitamins for Chronic Disease Prevention in Adults: Clinical Applications.” JAMA 287 (2002): 3127-3129. Fairfield, K.M., and R.H. Fletcher. “Vitamins for Chronic Disease Prevention in Adults: Scientific Review.” JAMA 287 (2002): 3116-3126.

22. Peters. J.M., S. Preston-Martin. SJ. London, et al. “Processed Meats and Risk of Childhood Leukemia.” Cancer Causes Control 5:2 (March 1994): 195-202.

23. Sarasua, S„ and D.A. Savitz. “Cured and Broiled Meat Consumption in Relation to Childhood Cancer.” Cancer Causes Control 5:2 (March 1994): 141-148.

24. Saul, A. W. “Can Vitamin Supplements Take the Place of a Bad Diet?” J Ortho Molecular Med 18:3-4 (2003): 213-216.

25. Watson, Litovitz, Klein-Schwartz.“2003 Annual Report of the American Association of Poison Control Centers Toxic Exposure Surveillance System.”

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