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2025.04.18

ビタミン大量投与療法に対する”拒絶・嫌悪・反発”について

ビタミンC(アスコルビン酸)を高用量で使用すれば、風邪は数時間で、インフルエンザは一日で、ウイルス性肺炎は二日で治るとされています。

ビタミンCは非常に効果的な抗ヒスタミン剤であり、抗ウイルス薬であり、抗毒素でもあります。

さらに、炎症を抑え、発熱を下げる作用もあります。

あなたの主治医はこのような事実を信じないかもしれませんが、これは信じるかどうかの問題ではなく、経験の問題なのです。

そのため、多くの人が「では、なぜ医師は広い心でビタミンC療法を受け入れないのか?」と疑問に思うことでしょう。

その理由は、ビタミンの有効性を”検証”したとされる多くの研究が、そもそもビタミン療法に否定的な結果を導くことを目的として設計されているからです。

一般の人々やその主治医は、研究者が栄養療法の有効性を正しく検証・確認してくれることを期待しています。

しかし、こうした研究で十分な量のビタミンが使用されない限り、つまり、効果が決して発揮されないほどの少量で実験が行われている限り、メガビタミン療法の有効性は”実証されていない”とされ続けるのです。

ビタミンC療法が広く試されたり利用されたりすることを妨げる主な要因として、多くの人が「高用量を使うと未知の危険があるのではないか」と思い込んでいることが挙げられます。

しかし、1940年代にフレデリック・R・クレンナー医学博士によってメガビタミンC療法が使用され始めて以来、現在に至るまで、その安全性は驚くほど高いことが確認されています。

どのような治療計画であれ、安全性と有効性が最も重要な基準であり、それは今後も変わるべきではありません。

私は1978年以来、1万人以上の患者に血中ビタミン濃度の測定を行い、RDA(推奨摂取量)を超える用量のサプリメントを使用して血中の低濃度を安全に是正してきました。

血中低濃度の是正や病状の改善において、ビタミンサプリメントは安全であり、必要不可欠なものです。

私の経験上、ビタミンサプリメントは早死、うつ病、自殺、認知症、精神病、心不全から人々を救ってきました。

 

サプリメントの安全性と毒性

「潜在的に毒性がある」とされる物質について議論する際には、「毒性」という言葉の定義を明確にする必要があります。

「潜在的に毒性がある」ということは、「毒性がある」ということとは全く異なります。

また、「毒性がある」ことが「死」を意味するわけではありません。

「毒性」という言葉を使うことで、差し迫った致命的な危険性があるかのような誤解を与える可能性があります。

しかし、深刻な毒性が現れる前には、多くの場合、警告となる症状が現れます。

最も一般的なものが吐き気であり、これによって自然と過剰摂取を防ぐことができます。

米国中毒情報センター協会(AAPCC: American Association of Poison Control Centers)の報告によりますと、アメリカではビタミンによる死亡者は年間で1人もいません。

その理由は、吐き気などの症状が摂取のブレーキとなるためです。アミノ酸、ハーブ、ビタミン、ミネラルなどの栄養補助食品は、長い歴史の中で極めて安全に使用されてきました。

現在、アメリカ人の半数以上が毎日ビタミンサプリメントを摂取しています。

仮に1日1錠ずつ服用するとしても、アメリカ全体では1日あたり1億5000万錠、年間では530億錠が消費されている計算になります。

実際には複数のビタミンを併用する人が多いため、この数はさらに増えます。

この膨大な摂取量にもかかわらず、ビタミンの安全性は非常に高いことが分かります。

過去23年間で、アメリカにおけるビタミン関連の死亡者数はわずか10人です。

毒物に関する統計では、ビタミンを過剰摂取して死亡するよりも、石鹸を誤飲して死亡する人の方が多いとされています。

犯罪捜査の基本として「死体はどこにあるのか」という考え方がありますが、AAPCCの年次報告のレビューによりますと、ビタミンの安全性は極めて高く、ほとんど無視されているものの明白な事実として示されています。

AAPCCはアメリカ国内61カ所の中毒センターから収集した情報を国のデータベースとして管理しています。

ビタミンは報告件数の多い16種類の物質の一つではありますが、意図的または誤って過剰摂取した場合でも死亡例は極めて少なく、過去20年以上の間で年平均1人以下という低水準です。

23年間のうち16年間は、ビタミン関連の死亡者が一人も報告されていません。[17]

この統計で扱われているビタミンには、ビタミンA、ナイアシン(B3)、ピリドキシン(B6)、その他のB群、C、D、E、K、鉄を含まないマルチビタミンが含まれます。

ミネラルは化学的・栄養的にビタミンとは異なりますが、同様に優れた安全性を示しています。

ただし、鉄サプリメントの過剰摂取による鉄中毒では、年間1~2名の死亡が報告されています。

他のミネラルサプリメントが原因で死亡するケースは極めて稀です。

ビタミンほどの安全性はないものの、鉄サプリメントによる死亡者数は洗濯用洗剤や食器用洗剤による死亡者数よりも少ないのです。

一方で、医薬品による死亡者数は驚くべきものです。

AAPCCの報告によりますと、処方薬による年間死亡者数は2000人以上にのぼります。

例えば、抗生物質(13名死亡)、抗うつ薬(274名死亡)、抗ヒスタミン薬(64名死亡)、心血管系薬剤(162名死亡)などが含まれています。

さらに、2003年にはアスピリン単独での死亡者が59名報告されており、これは鉄サプリメントによる死亡者数の30倍に相当します。

また、アスピリンと他の薬剤を併用した場合の死亡者数はさらに多くなります。

最近の統計によりますと、アメリカでは処方薬が原因で毎年少なくとも10万6000人が病院で死亡していることが確認されています。[18]

また、医薬品以外でも、2003年には「クリーム・ローション・化粧品」による死亡1件、「洗濯用粉末洗剤」による死亡1件、「銃の青焼処理(錆止め)」による死亡1件、石鹸による死亡1件、ベーキングソーダ(重曹)による死亡1件、食卓塩による死亡1件が報告されています。

さらに、消臭スプレー(2件)、除光液(2件)、香水・コロン・アフターシェーブ(2件)、木炭(3件)、食器用洗剤(3件)による死亡も確認されています。

2003年には、ヘロインによる死亡者が28名報告されましたが、アセトアミノフェン(例: タイレノール)の単独服用による死亡者は147名でした。

これはヘロインによる死亡者の5倍以上にあたります。

しかし、アセトアミノフェンを処方箋が必要な薬にすべきだという声はあまり聞かれません。

さらに、2003年にはカフェインによる死亡者が2名報告されています。

この数は、鉄サプリメントを除くビタミン・ミネラルサプリメントによる死亡者数と同じです。

それにもかかわらず、カフェインを含む茶、コーヒー、コーラなどの販売に規制を求める声はほとんどありません。

ビタミンが薬剤と負の相互作用を引き起こすことは稀ですが、逆に薬剤によってビタミン欠乏が引き起こされることはよくあります。

これを確認するには、『米国医師用卓上参考書(PDR: Physician’s Desk Reference)』を参照するとよいでしょう。

この書籍はアメリカのどの図書館でも閲覧できます。

自身が服用している薬剤について、薬と栄養素の相互作用を確認し、他人の意見や思い込みではなく、事実に基づいた判断をすることが重要です。

根拠のない脅しに惑わされてはいけません。

もし誰かが「ビタミンは危険だからやめるべきだ」と主張するならば、科学的根拠となる論文を提示するよう求めましょう。

その上で、その研究が製薬会社の資金提供によるものではないか、研究資金の出所を確認することも重要です。

 

「ビタミンのせいで死んだ」と称する主張について

2003年には、ビタミンCが原因だとされる死亡例が1件、ビタミンB6が原因だとされる死亡例が1件報告されました。

しかし、これらの死亡が本当にビタミンによるものなのかは疑わしいと考えられます。

ビタミンB6(ピリドキシン)やビタミンC(アスコルビン酸)などの水溶性ビタミンは、何十年にもわたり安全に使用されてきました。

「ビタミンの問題」とされる主張は、常に誇張されて語られがちであり、確かな裏付けがありません。

2003年のAAPCC(米国中毒管理センター協会)の毒物曝露監視(トキシック・エクスポージャー・サーベイランス)システムの報告では、報告された死亡例について「おそらく、あるいは間違いなく、曝露に関係している」とされていますが、その記述からも明らかなように、不確実性が伴っています。

仮にこれらの死亡例が事実であったとしても、極めて例外的なケースであることは間違いありません。

例えば、1998年の毒物曝露監視システムの報告によると、ビタミンCやビタミンB6による死亡例はゼロでした。

実際、その年はどのビタミンによる死亡例も報告されていません。

私は長年にわたり、自著の読者、同僚、学生たちに対し、ビタミンが死亡の直接的な原因となったことを示す科学的な証拠を提示してほしいと求めてきました。

しかし、今日に至るまで、そうした証拠を目にしたことはありません。

また、ビタミンCの「副作用」だと誤って信じられている事柄についても、科学的に根拠がないことが明らかになっています。

『米国医師会雑誌(JAMA)』(1999年4月21日号)に掲載されたアメリカ国立衛生研究所(NIH)の報告によると、低血糖、反跳性壊血病、不妊、ビタミンB12の破壊といった問題のうち、ビタミンCの「過剰摂取」によって引き起こされるものは皆無であると結論付けられています。

サプリメントのごくわずかなリスクよりも、はるかに深刻な健康問題はビタミンの欠乏です。

例えば、ビタミンB6(ピリドキシン)のサプリメント摂取は積極的に推奨されるべきです。

なぜなら、食品からの摂取量を超えて補うことで、心血管疾患やうつ病(いずれもアメリカにおける主要な健康問題)を予防できることが示されているからです。

さらに、避妊薬を使用している女性がビタミンB6欠乏になりやすいことは、何十年も前から知られています。

そのため、そうした女性にはB6のサプリメントを摂取することが推奨されます。[19]

さまざまなサプリメントを何十年も摂取している人々について、副作用が指摘されることはほとんどなく、また、サプリメントが原因で死亡したという報告もゼロです。一般の人々の健康にとって、ビタミンサプリを摂取することよりも、それをやめることによるリスクの方がはるかに大きいのです。

マイケル・ジャンスン医学博士(Michael Janson, M.D., Ph.D.)

米国先端治療会議ACAM元会長(Center for Preventive Medicine, U.S.A.) http://www.drjanson.com/ 1970年ボストン医科大学卒業。マサチュセッツ州でインターンとレジデントを修了。1976年に開業し、キレーション療法、栄養療法、統合医療、予防医療を実践。1996年には当時のクリントン大統領の栄養顧問を務めている。全米を初め世界各地の学会や医師・一般向けセミナーで栄養療法を中心に講演、米国スピーカー協会の会員である。1994年には米国先端治療会議会長。著書『ビタミン革命(1996)』は全米のベストセラーになる。大の親日家でもある。

 

ハーブによる栄養補助

2003年のAAPCC(米国中毒管理センター協会)の毒物曝露監視システムの報告によると、ハーブを使用した製品が原因とされる死亡例が合計13件報告されています。

その内訳は、エフェドラ(シナマオウ〔支那麻黄〕抽出物)によるものが3件、ヨヒンベ(西アフリカ原産のアカネ科常緑高木の樹皮成分)によるものが2件、マオウ(麻黄)によるものが2件となっています。

エフェドラは鎮咳や抗炎症作用を持ち、葛根湯や小青竜湯などの漢方薬にも配合される成分です。

ヨヒンベは勃起中枢を刺激し、外陰部の血管拡張作用を持つ成分として知られています。

アンドリュー・W・ソウル博士は、以下のように述べています。

私は、30年以上にわたり代替医療の分野で活動してきましたが、エフェドラ、ヨヒンベ、マオウを摂取する人をほとんど聞いたことがありません。

また、致命的なほど高用量を摂取する人については、さらに例がありません。

それにもかかわらず、仮にこれらの製品が原因で7件の死亡が発生したと受け入れたとしても、アスピリンやアセトアミノフェンによる死亡はその30倍にも及びます。

さらに、その他の「単一の植物性原料」が原因とされる死亡例は3件のみですが、興味深いことに、報告書ではその具体的な原料についての記載がありません。

数百万の人々がハーブ療法を実践しており、それは数世代にわたって受け継がれてきました。

土着の人々だけでなく、欧米化した人々も同様に、ハーブ療法を安全かつ効果的だと考えています。

そしてAAPCCの報告書もこの認識を裏付けています[20]

アーユルヴェーダ医学やアジアの伝統医学を含む「文化的な医学」による死亡例は報告されておらず、これらの医学の全体系において死亡例はゼロです。

また、ブルーコホシュ、イチョウ(銀杏)、エキナセア、チョウセンニンジン(朝鮮人参)、カバカバ、セントジョンズワート、バレリアンなどのハーブの使用による死亡例も報告されていません。

加えて、植物性エストロゲン(マメ科植物由来の女性ホルモン類似物質)、グランデュラ(動物の腺抽出物)、スピルリナ(藍藻類の植物プランクトン)、ホメオパシー療法による死亡例もありません。

20年近く西洋医学のみを使用してきた後で、高用量のビタミンを取り入れるようになって10年が経ちました。その経験から断言できることは、ビタミンは安全であるばかりか、あらゆる種類の重篤な患者に対して非常に有効であるということです。

カリン・マンスター・イェルム・アウマダ医学博士


 

References

 

17.  Annual Reports of the American Association of Poison Control Centers’ National Poisoning and Exposure Database (formerly known as the Toxic Exposure Surveillance System). AAPCC,Washington, DC. Available online at: www.aapcc.org/dnn/NPOS/AnnualReports/tabid/125/Defaultaspx.

18. Leape, L.L.”Error in Medicine.” JAMA 272:23 (1994): 1851. Also: Leape, L.L. “Institute of Medicine Medical Error Figures are Not Exaggerated.” JAMA 284:1 (July 2000): 95-97.

19. Wynn.V. “Vitamins and Oral Contraceptive Use.” Lancet 1:7906 (March 1975): 561-564.

20. Watson,W.A..T.L. Litovitz.W. Klein-Schwartz, et al. “2003 Annual Report of the American Association of Poison Control Centers Toxic Exposure Surveillance System.” Am J Emcrg Med 22:5 (September 2004): 388-389.

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