栄養

Nutrition

あなたは、あなたが食べてきたそのものです

ひとを養うもの 4

2025.03.28

● 栄養レベルを決める検査

どのビタミンがどの程度不足しているかを調べるために病院で採血検査を受けても、その効果は限定的です。

主な理由は、検査結果に明確な異常が現れるのは、欠乏状態が非常に重度になった場合に限られるからです。

例えば、※ペラグラという致死的な疾患においても、発症時の血中ビタミンB3濃度は正常であり、尿中にも排泄されています。

さらに、赤血球に含まれるヌクレオチドの総量も正常ですが、モノヌクレオチドの割合が増加し、通常は総量の2〜3%であるところが、約12%にまで上昇することがあります。

ジヌクレオチド(ニコチンアミド–アデニン–ジヌクレオチド、略称NAD)は抗ペラグラ因子として活性を持ちますが、モノヌクレオチドにはそのようなビタミン的作用はありません。

しかし、モノヌクレオチドとジヌクレオチドの比率を計測できる病院はほとんどありません。

そのため、検査結果に異常が出るまで問題なしと判断してしまうと、ビタミン療法の開始が大幅に遅れてしまいます。

体内のビタミンを測定する検査が効果的でない第二の理由は、血中濃度を測定しても、組織内や細胞内の濃度を正確に把握することができない点にあります。

例えば、脳、眼球内の水晶体や眼房水、副腎皮質にどれくらいのビタミンが存在するのかは、血中濃度や尿中排泄量から大まかに推測するしかありません。

また、血中ビタミン濃度は、一日に必要なビタミン摂取量を決定するための確実な指標にはなりません。

血中濃度が極めて低い場合は欠乏状態があることを示しますが、基準範囲内であるからといって「サプリメントは不要」とは言い切れません。

実際、多くの人が「正常」とされた血中濃度を持ちながら、ビタミンサプリメントを摂取することで健康状態が改善されています。

別の評価方法として、ビタミンの過不足によって変化する体内の反応を測定する方法があります。

ビタミンが不足すると、特定の生体反応に異常が見られます。

しかし、この方法も感度が十分とは言えません。

異常な反応が明確に現れる頃には、すでに欠乏状態が非常に進行している可能性が高いのです。

栄養療法を実践する医師は、患者に必要な栄養素をより正確に見極めるために、多くの種類の臨床検査を活用します。

しかし、こうした高度な分析検査を実施できる専門施設は限られています。

それでも、検査で得られた客観的な数値は、患者に治療プログラムの重要性を理解してもらう上で有用です。

現在のところ、栄養状態を正確に反映する測定法が確立されていないため、私たちは臨床的な診断に基づき、ビタミンの必要性を考慮しながら患者の治療反応を見て最適な用量を決定していく実践的な方法を取るしかありません。

幸い、ビタミンは非常に安全な物質であり、最適な用量を決める際に患者への危険性はほとんどありません。

最適用量の決定方法としては、症状が改善した投与量を基準に、さらに用量を増やし、それ以上の改善が見られなくなるまで増量を続けます。

その後、少しずつ量を調整し、最も効果的な維持用量を見極めることが可能です。

患者の健康状態が安定している場合は、用量を追加することも検討できます。

もし症状が再び現れた場合には、再度用量を増やすことで対応できます。

各ビタミンにはそれぞれ特有の特性があるため、正確な用量を決定するには十分な理解が必要です。

適切な知識を持つことで、より効果的なビタミン補給が可能になります。

※ペラグラ:ビタミンB群の一種であるビタミンB3(ナイアシン、またはニコチン酸アミド)の欠乏により発症する疾患です。炭水化物・脂質・タンパク質・アルコールの代謝に異常をきたし、光線過敏症などの皮膚症状が現れます。先進国では稀な病気ですが、重度のアルコール依存症、摂食障害、吸収不良症候群の患者や、抗結核薬や抗がん剤を投与されている患者に見られることがあります。放置すると死に至ることもあります。

 

●「天然」ビタミンと「合成」ビタミンの違いについて知っておくべきこと

ビタミンを使用する方々の中には、「天然のビタミンの方が合成のものより健康的である」という主張に混乱される方もいらっしゃいます。

しかし、これらの言葉が実際に何を意味するのかを理解しておくことが重要です。

ビタミンは分子レベルで見ると、植物が生合成したものも人工的に化学合成したものも、すべて有機分子であり、本質的には同じものです。

唯一の違いは、植物が生合成し、その植物の中に存在するビタミンには添加物が含まれていない一方で、人工のビタミンには添加物が含まれている点です。

しかし、植物が生合成したビタミンであっても、抽出・精製され、粉末や錠剤に加工される過程で使用された化学物質がすべて含まれることになります。

つまり、合成ビタミンとの唯一の違いは、どのような添加物が含まれているかという点にあります。

添加物の入っていないビタミンを確保する唯一の方法は、食物からのみ摂取することですが、これは食物が供給できる以上のビタミンを必要とする方にとっては、実現が難しい場合があります。

ある種のビタミンを豊富に含む食物由来の抽出物や乾燥粉末には、ミネラルやビタミンの代謝に関与する酵素が含まれていますが、その含有量は決して多くありません。

たとえば、アセロラやローズヒップから作られた乾燥パウダーには、ビタミンCに加えて酵素やミネラル、さらには代謝を促進する各種のビタミンが含まれています。

しかし、高用量のビタミンCを必要とする方にとっては、この粉末を大量に摂取しなければならないという課題があります。

さらに、食品の原料表示に関する現行の法規が、ビタミンに関する世間の誤解や混乱を助長する一因となっています。

実際には合成・天然を問わずビタミンがほとんど含まれていないにもかかわらず、製品ラベルに多くのビタミン名が列挙されているケースもあります。

たとえば、イースト菌の錠剤には多くの種類のビタミンが含まれているものの、その含有量は非常に少ないことが一般的です。

これはビタミン錠剤というよりも、ビタミンを含む食品と考えるべきでしょう。

また、ローズヒップパウダーはビタミンの供給源としては比較的乏しく、ビタミンCの含有量を100mg以上にするためには、高濃度にする必要があります。

現在市場に出回っているローズヒップパウダーのほとんどは合成であり、わずかに天然由来のビタミンCが含まれているに過ぎません。

「天然」という言葉を使用すると、製品に含まれるビタミンすべてが天然由来であるかのように誤解を招く可能性があります。

そのため、このような表現は避けるべきでしょう。

成分表示ラベルには、各栄養素の出所と含有量が簡潔かつ明確に記載されることが望ましいです。

 

●ビタミンサプリメントについて詳しく見ていきましょう

ビタミンは、生体組織にごく微量含まれている有機分子であり、自然の状態で存在しています。

各種ビタミンは体内のほとんどの代謝反応に不可欠であり、自らが触媒として機能するか、または「酵素」と呼ばれる触媒の補助成分(これを「補酵素」といいます)として働きます。

炭水化物や脂質はエネルギー源となりますが、ビタミンはカロリー源にはならず、生体組織の構造材(建築における石材・レンガ・コンクリート・構造用鋼材などの建築材料の総称)にもなりません。

「ビタミン」という言葉は、体内で生合成されないことを前提とした定義ですが、これはビタミンについての理解が不十分だった時代に定められたものです。

この定義に従うと、一部のビタミンは「ビタミン」ではなくなってしまいます。

例えば、ビタミンD3は紫外線を浴びることで皮膚内で合成されます。

また、ビタミンB3(ナイアシンおよびナイアシンアミド)はアミノ酸のトリプトファンから生合成されます。

しかし、これらの物質は長い間「ビタミン」として分類されてきたため、新たに別のカテゴリーに分類されることは考えにくいでしょう。

栄養学者たちは、人体に必要なビタミンの最適な量について長年研究を重ねてきました。

ビタミンが最初に同定された際、ビタミン欠乏による典型的な末期症状を防ぐためにはごく少量で十分であると考えられていました。

ビタミンの発見と同定は、特定のビタミンが欠乏した食事を与えられた動物・植物・細菌に対し、さまざまな食品を少量ずつ与え、その影響を観察することで行われました。

例えば、チアミン(ビタミンB1)を発見するために、チアミンを含まない食事を与えたハトに食物の抽出物を与え、脚気の予防・治療に役立つことを確認しました。

このような方法で、壊血病やペラグラなどの他の欠乏症についても研究が進められました。

科学者たちは、明確な欠乏症がない限り、追加のビタミン摂取は必要ないと考えていました。

例えば、ペラグラではない人にはビタミンB3を追加摂取する必要がないとされていました。

しかし、その後の研究で、明確な病気として診断されるほどではないものの、欠乏による症状を持つ人々がいることが判明しました。

彼らは「潜在性ペラグラ」と診断され、ペラグラ患者ほど重篤ではないものの、健康とは言い難い状態でした。

このような人々に十分なビタミンを投与すると、健康状態が改善されたのです。

全米科学アカデミーが定める食事摂取基準(RDA/DRI)を見てみると、ビタミンの必要量はごくわずかで足りるという考え方が反映されています。

しかし、必要量は年齢・生理学的状態・ストレスの程度によって変化することも認識されています。

それにもかかわらず、RDA/DRIの推奨最大用量は、古典的なビタミン欠乏症を予防するために必要な最低量より少し多い程度です。

この基準は、食事から摂取できるビタミン量を示しており、不足分を補うためにサプリメントを利用することは考慮されていません。

RDA/DRIを支持する専門家たちは、バランスの取れた多様な食事を摂っていれば、大部分の人にとって十分であると考えています。

しかし、RDAは現在健康ではない人や、かつて病気を患った人々のニーズを考慮していません。

実際には、多くの患者が高用量のビタミン(RDAで推奨される予防量の100~1000倍)を摂取することで回復しています。

例えば、ある患者は1日1mgのビタミンB12を必要とすることがありますが、これは通常の推奨摂取量の1000倍に相当します。

コレステロールや中性脂肪を低下させるためには、1日3000mg(3g)のナイアシンが必要とされることがあり、これはペラグラ予防量の数百倍にあたります。

また、統合失調症の患者の中には、1日30g(3万mg)以上のナイアシンを必要とする人もいます。

このような高用量のビタミン摂取を指す言葉として「メガビタミン療法」という表現が用いられることがあります。

しかし、この名称が「メガビタミン」という特別なビタミンが存在するかのような誤解を招く可能性があるため、「メガ用量(ドース)ビタミン療法」という表現のほうが適切でしょう。

高用量のビタミンを用いる医師たちは、必要量が個人によって大きく異なることを認識しています。

また、その違いの幅は、従来考えられていたよりもはるかに広いことが分かっています。

最適な健康を維持するために必要なビタミン量は、良質な食品に含まれるビタミン量を最低限とする考え方もありますが、欠乏症の程度によっては、その1000倍以上が必要となることもあります。

オーソモレキュラー医学の医師にとっての主な課題は、それぞれの個人にとって最適なビタミン摂取量を決定することです。

unshakeable lifeトップへ戻る