栄養

Nutrition

あなたは、あなたが食べてきたそのものです

ひとを養うもの 2

2025.03.14

● 栄養補助食品の利用

オーソモレキュラー医学は、医薬品の使用に適用されるのと同じ科学的原則を、栄養素の利用にも適用しています。

その原則とは、「薬は少なすぎても効果がなく、多すぎると危険であるため、最適な用量を用いるべきである」というものです。

これは主流派医学において神聖視される原則ですが、正統医学はこの原則を栄養や栄養補助食品の利用には適用していません。

「人間はごく少量の栄養素しか必要とせず、最適な用量を決める理由もない」という誤った考えに囚われ、自らの原則を軽視してきたのです。

しかし、この時代遅れの迷信は、多くの医師による数千件におよぶ研究報告や症例報告によって、すでに誤りであることが証明されています。

オーソモレキュラー医学は、「ビタミンやミネラルなどの補助栄養素は必須である」という発見を理論的に発展させたものです。

食事は炭水化物・タンパク質・脂肪だけでなく、これらの補助栄養素を含んでいなければなりません。

つまり、食事からこれらの栄養素が欠けてしまうと、健康を維持することができないのです。

脚気やペラグラのような欠乏症を防ぐために、精白小麦粉にビタミンが添加されていることについては、すでに医師も反論していません。

しかし、それはあくまで欠乏症を防ぐための最小限の量にすぎません。

オーソモレキュラー医学は、ここからさらに一歩進めた考え方をします。

私たちは生理学的に個体差があるため、必要な必須栄養素の量も人それぞれ異なります。

中には、栄養強化された食品を摂取してもなお、不足している人もいるのです。

これがオーソモレキュラー医学の基本的な認識です。

このような重度の栄養不足の人々が病気を防ぎ、あるいは治療するためには、不足している栄養素をサプリメントとして補わなければなりません。

彼らは理論を重んじる科学者であり、主流医学の立場であっても、この明確かつ正確な病理学的アプローチを否定することはできないと確信しています。

オーソモレキュラー栄養学は、一般の医師が薬を処方する際に用いるのと全く同じ思考基準に基づいており、適正な医療の実践にほかなりません。

 

● サプリメントは不適切な食事を補えるのか

サプリメントの摂取は推奨されます。

何十年にもわたり、大規模な資金を投入して大衆への教育啓発が行われてきましたが、それでも70%のアメリカ人は1日推奨量である5〜9サービングの果物や野菜を摂取していません[2]。

果物1サービングはジュース6オンス(約170g)、野菜1サービングは豆半カップ分とされていますが、正確な計算は複雑です。

現在、少なくとも半数のアメリカ人がビタミンのサプリメントを毎日服用していることを考えると、「人々はすでに自分なりの解決策を見つけ、実践している」と言えます。

さらに、これまでサプリメントを批判してきた『米国医師会雑誌』も、大衆の味方をするようになりました[3]。

最近、『ニューヨーク・タイムズ』紙は葉酸サプリメントの服用や、さらにはマルチビタミンの摂取に対しても批判的な記事を掲載しました。

その記事では「サプリメントを摂取しても、不適切な食事の改善にはならず、病気の予防効果も証明されていない」と述べられています[4]。

しかし、この記事は「人々の食生活が非常に不健康である」という現実を無視しています。

脂肪の摂取量は減少しているにもかかわらず、西洋諸国では肥満がかつてないほど増加しています。

アメリカでは、25歳以上の80%が過体重であり、1999〜2000年に実施された全国健康・栄養調査(NHANES)によると、アメリカ人の約3分の2(1億2000万人以上)が過体重または肥満とされています[5]。

また、アメリカ人のタンパク質と糖類の摂取量は非常に多いのに対し、果物や野菜の消費量は著しく低いのです。

ビタミンサプリメントを摂取することで体重が減るわけではありませんが、減量中の人々は栄養の課題に直面します。

アメリカでは約5000万人が常にダイエットをしているとされますが、多くの一般的なダイエット方法は栄養が不足しがちです。

食事量を減らすと、食品から摂取できるビタミン量も減るため、サプリメントを摂ることはダイエットしている全ての人にとって特に重要なのです。

栄養学者は、理想的な食生活を推奨するものの、それを達成するのは非常に困難です。

さらに、仮に理想的な食事を実践できたとしても、一般的な食事が提供するビタミン量では、最適な健康状態を維持するには不十分であることが多いのです。

特に女性にとって重要な問題の一つが、経口避妊薬の使用によるビタミンB群(特にB6)や葉酸の減少です[6]。

また、政府が推奨するビタミン摂取量は非常に低く、最低限の基準にすぎません。

例えば、ビタミンEの1日推奨摂取量は15IUとされていますが、心血管疾患などを予防するには少なくとも100IU(場合によっては400IU以上)が必要であると広く認識されています。

しかし、食品から100IUのビタミンEを摂取することは、どれだけ完璧な食事計画を立ててもほぼ不可能なのです。[7]

 

● サプリメントの役割と重要性

「サプリメント」という言葉そのものが、不足している栄養素を「補う」ことを目的としています。

サプリメントは、栄養の偏った食生活による不足分を補うだけでなく、健康的な食事でも十分に摂取しきれない栄養素を補完する役割も果たします。

たとえば、ビタミンEのサプリメントを摂取することで、数百万人の命を救うことができるといっても過言ではありません。

研究によると、ビタミンEを摂取している人は心血管疾患の発症率が約40%低いことが分かっています。

この研究には、約4万人の男性と8万7000人の女性が参加しました。

さらに、ビタミンEの摂取量が多いほど、また摂取期間が長いほど、心血管疾患のリスクが低下することが確認されています[8]。

また、適量のビタミンCを摂取することでも、病気の予防や寿命の延長が期待できます。

たとえば、1日500mgのビタミンCを摂取することで、心疾患による死亡リスクが42%低下し、あらゆる原因による死亡率が35%低下するという研究結果があります[9]。

現在、人口の3分の2が十分な果物や野菜を摂取していません。

そのため、栄養不足を解消する唯一の現実的な方法は、ビタミンサプリメントを活用することなのです。

 

● 食生活の現実とサプリメントの必要性

古代エジプトの時代から現代に至るまで、医師たちは食生活の乱れについて警鐘を鳴らし続けてきました。

しかし、状況は改善するどころか、むしろ悪化の一途をたどっています。

栄養学者は「ビタミンは食事から摂取すべき」と主張し、理想的な食生活を推奨してきましたが、それが実践されることはほとんどありません。

なぜなら、人々は単に空腹を満たすためではなく、「食べること自体を楽しむ」からです。

食生活の好みに干渉し、「これを食べなさい」「あれは控えなさい」と指示しても、大半の人は従わないのが現実です。

食物群の図をもとに「バランスのとれた食事」を教育し、推奨し、時には懇願しても、現実には肥満率は増加し続けています。

ガンの発症率も高まり、心血管疾患はいまだに男女ともに死因の第1位です。

これでは、私たちの食卓が”死刑台”と化していると言わざるを得ません。

しかし、どのような食生活を送っているかにかかわらず、サプリメントを適切に摂取することで、栄養状態を大幅に改善できるのです。

 

● サプリメントの意義と未来への展望

人類の歴史を振り返ると、何千年もの間、栄養不良の問題が私たちを悩ませ続けてきました。

サプリメントが利用できるようになったのは、ようやく前世紀になってからのことです。

しかし、サプリメントを毎日摂取することは、公衆衛生の観点から見ても、清潔な飲み水の普及や下水道の整備と同じくらい画期的な進歩といえます。

そして、それらと同じように、多くの命を救うことが期待できるのです。

 

● サプリメントへの強い国民的支持

一般の人々が自由にサプリを入手できる状況を規制しようとする上院法案722号「2003年の栄養補助食品安全法」DSSAは、2003年3月26日失敗に終わりました。

この法案は、アメリカ食品医薬品局FDAのトップに、副作用の報告に基づいて「サプリの販売継続を承認する」かどうかの決定権を一任しようとするものでした。

副作用については因果関係があいまいであることが多いため、法案ではその決定は「有害事象がサプリメントを原因として関連しているかどうかに関係なく」と明記されていました。

実は上院法案722号の意図は、「1994年の栄養補助食品健康教育法」(DSHEA)の主な条項を撤回させることにありました。

アメリカ議会はDSHEAを施行して、 ビタミンやアミノ酸やハーブその他の栄養サプリを「薬」ではなく「食品」であるとはっきり定義しました。

DDHEAに賛同して250万人もの市民からの手紙が議会に送られました。

これだけの手紙はアメリカの歴史上、他のどんな問題をめぐっても送られたことがありません。

上院法案722号に対する市民の反対もまた強いものでした。

それは4人の賛同者しか獲得できず、委員会を通過できませんでした。

アメリカ国民は、サプリメントを自由に入手できるよう保証してくれることを、圧倒的に支持していました。

この現実を、米国議会は目の当たりにしたのです。[10]

 

“ひとを養うもの 3” につづく


 

References

 

(2) National Cancer Institute press release (April 25, 2002).Available online at www.hhs.gov/news/ press/2002pres/20020425.html.

(3) Fletcher, R.H., and K.M. Fairfield. “Vitamins for Chronic Disease Prevention in Adults: Clinical Applications.” JAMA 287 (2002): 3127-3129. Fairfield, K.M., and R.H. Fletcher.”Vitamins for Chronic Disease Prevention in Adults: Scientific Review.” JAMA 287 (2002): 3116-3126.

(4) Kolata, G. “Vitamins: More May Be Too Many.” The New York Times (April 29. 2003).

(5) Flegal, K.M., M.D. Carroll, C.L. Ogden, et al. “Prevalence and Trends in Obesity Among U.S. Adults. 1999-2000.” JAMA 288:14 (October 2002): 1723-1727.

(6) Wynn.V. “Vitamins and Oral Contraceptive Use.” Lancet 1:7906 (March 1975): 561-564.

(7) “Antioxidants: What They Are and What They Do.” Harvard Health Letter 24:5 (February 1999).

(8) Stampfer, M.J., C.H. Hennekens, J. Manson, et al. “Vitamin E Consumption and the Risk of Coronary Disease in Women.” N Engl J Med 328 (1993): 1444-1449. Rimm, E.B., MJ. Stampfer, A. Ascherio, et al. “Vitamin E Consumption and the Risk of Coronary Heart Disease in Men.” N Engl J Med 328 (1993): 1450-1456.

(9) Enstrom. J.E.. L.E. Kanim, and M.A. Klein.”Vitamin C Intake and Mortality Among a .. the United States Population.” Epidemiology 3 (1992): 194-202.

(10)“ORTHOMOLECULAR MEDICINE FOR EVERYONE: Megavitamin Therapeutics for Families and Physicians” by Abram Hoffer, MD, PhD & Andrew W. Saul PhD

unshakeable lifeトップへ戻る