栄養

Nutrition

あなたは、あなたが食べてきたそのものです

アスリートにとってマグネシウムは、必須の栄養素です

2023.11.24

今回も前回につづいて「マグネシウム」についてのお話しです。

わたしたちの身体の筋肉組織は、カルシウムとマグネシウムによって運動性能が支配されています。

すなわちカルシウムが筋肉を縮め、マグネシウムが緩める働きを司っています。

ですから筋肉をより機能的に動かすには、この2つのミネラルのバランスが重要なのです。

心臓や血管、腸管も筋肉ですから、これはスポーツなどの運動能力だけの話しではありませんよ。

よくスイマグを服用しても、なかなか排泄できないという人がいますが、その原因はマグネシウム欠乏にあるのかもしれませんよ。

体内のマグネシウムが欠乏すると、筋肉組織である腸が蠕動運動を満足に出来ずに「便秘症状」になってしまうのは当然のことなのです。

Woman Stomach Ache,health care concept.

さて、今回は便秘のお話しではなくて、とくにアスリートや運動を毎日の習慣にしている人に、知っていただきたい内容です。

ご家族やご友人にアスリートの人がいれば、是非教えてあげてください。

日本はもちろん、世界でもあまり知られていませんが、〝マグネシウムはアスリートにとって必須の栄養素〞なのです。

Injured girl on the tennis court with her coach trying to help her

ということで、マーク・サーカス博士の著書“Transdermal Magnesium Therapy: A New Modality for the Maintenance of Health” By Dr. Mark Sircus, iUniverseなどから要約してご紹介します。

 

アスリートの必須栄養、マグネシウム

 

ヒトのマグネシウム欠乏症は、1934年に医学文献で初めて言及されましたが、政府や医学界では誰もそのメッセージをまともに受け取りませんでした。

マグネシウムはスポーツ医学の医師、トレーナー、選手自身と選手のパフォーマンスにエネルギーを注いでいるコーチの大多数によって依然として誤解され、十分に使用されていないのが実態です。

細胞の主要なエネルギー源であるATP(アデノシン三リン酸)は、生物学的に活動するために、マグネシウムイオンに結合しなければなりません。

ATPと呼ばれるものは、実際には「Mg-ATP」 です。

Mgとは、マグネシウムの化学式ですね。

Focus on Magnesium Chemical Element from the Mendeleev periodic table

競技中にミトコンドリアから110%のエネルギーを必要とするアスリートにとって、これは極めて重要です。

重炭酸イオン※がマグネシウムをミトコンドリアに押し込むエンジンとして働くことは、ほとんど知られていません。

そのため、マグネシウム療法と重炭酸治療を組み合わせると、細胞性能が向上します。

※炭酸水素イオンとは?

炭酸水素イオンは炭酸(H2CO3)のうち水素分子が1つ電離した状態の陰イオン(HCO3-)を言い、重炭酸イオンとも呼ばれます。

天然には主に水の中に含有しています。

つまり、海水や淡水です。

しかし、日本で良く飲まれている飲料水である「軟水」の中にはあまり存在しません。

ヨーロッパなどで良く飲まれている「硬水」の中に炭酸水素イオンが含まれているものがあります。

また、温泉の中にも炭酸水素イオンを含むものがあり「炭酸水素塩泉」と呼ばれ、人々に親しまれています。

さらに、身近なところでは「重曹」が炭酸水素イオンを含んでいます。

重曹は科学的には炭酸水素ナトリウムと呼ばれますが、これは炭酸水素イオンとナトリウムイオンの化合物です。

重曹を水に溶かすとアルカリ性になるため、酸性の汚れなどを落とす洗浄液になるほか、ふくらし粉やベーキングパウダーとして調理にも利用されます。

 

運動競技にマグネシウムを使用すると勝ち負けに影響する可能性が大いにあります。

ですからこの栄養は、真摯に取り組む運動選手やスポーツ医学者が見逃してはいけないものなのです。

マグネシウムはエネルギー産生やスポーツのパフォーマンスにおいて中心的な役割を果たしていますが、多くのコーチや選手はその健康とパフォーマンスを維持するための大きな重要性を認識していません。

研究によると、マグネシウムの摂取量がわずかでも不足すると、運動能力に深刻な影響が出る可能性があります。[1]

以下は、Nielsen, F.H, Lukaski, H.C. 2006. Update on the relationship between magnesium and exercise. Magnesium Research. 19(3):180-189から抜粋した内容です。

Brutal athletic woman pumping up muscles with dumbbells

マグネシウムは酸素の取り込み、エネルギー産生、電解質のバランスなど、筋肉の機能に影響を与える数多くのプロセスに関与しています。

そのため、体内のマグネシウム濃度の状態と運動との関係を研究をする上で、大きな注目を集めています。

この研究は代謝ニーズに対応するため、運動によって体内でマグネシウムが再分配されることを示しています。

限界ギリギリのマグネシウム欠乏症は運動性能を損ない、激しい運動(例えば酸化ストレス)のマイナスの影響を増幅する事が分かっています。

運動は明らかに尿や汗の量を増加させ、それによってマグネシウムの必要量を10~20%増加させます。(運動時間と負荷が増えればさらに必要量は増えます)

食事調査とヒトにおける実験によると、マグネシウムの男性摂取量は260mg/day以下、女性アスリートは220mg/day以下になるとマグネシウム欠乏状態になる可能性があるといいます。

体重管理(例えばレスリング、ボクシング、機械体操)が必要なスポーツに参加する選手たちは、特にマグネシウム欠乏になりやすい状態です。

マグネシウムの補充や食事からの摂取量の増加は、マグネシウム欠乏の状態での運動パフォーマンスに有益な効果をもたらします。

一方体内が十分なマグネシウムの状態の人がマグネシウム補給を行っても、身体パフォーマンスの向上には至りませんでした。

Medical doctor

身体的に活動的な人は、自分のMg摂取量が運動パフォーマンスに影響を与えたり、健康に悪影響をもたらす可能性があるかを知るために、運動量の多い人にとっての1日の推奨摂取量を長期的に調べた上で見極める必要があります。(例えば免疫抑制、酸化的損傷、不整脈など)

マグネシウム欠乏症は代謝効率を低下させ、必要な酸素消費量と心拍数を増加させます。

つまり、これらは運動能力を低下させるのです。

アスリート本人はもちろん、トレーナーやスポーツドクターは、運動選手が競争力を失うことなんて望んでいませんよね。

本気で競技で勝ちたいなら、マグネシウムのようなミネラルが不足する事で全能力を発揮できないことが選択肢にはあってはなりません。

マグネシウムを経皮的/局所的および経口的にたっぷり補給すると、運動耐久性およびパフォーマンスの強度は著しく向上します。

マグネシウム不足は呼吸鎖※の部分的な脱共役※を引き起こし、ATP産生を維持するのに必要な酸素量を増加させる可能性があります。

※呼吸鎖とは、生物が酸素を用いる好気呼吸を行うときに起こす細胞呼吸の3つの代謝のうちの最終段階。電子伝達系ともいう。

生命活動のエネルギー源であるアデノシン三リン酸(ATP)を細胞に提供する仕組みで、ミトコンドリアの内膜にある脱水素酵素複合体の連鎖のことです。

生物が酸素を用いたいわゆる好気呼吸を行うとき、細胞ではいくつかの代謝が行われて、最終的に炭水化物が水と二酸化炭素に分解されます。これらは解糖系・クエン酸回路・酸化的リン酸化(電子伝達系)の3つの代謝に分かれています。

最後の段階で還元物質であるNADHなどの電子伝達体を電子伝達系で酸化し、酸素に電子を伝えて水を生成します。

この3つの代謝で放出されるエネルギーを使って、ATP合成酵素がアデノシン二リン酸(ADP)からアデノシン三リン酸(ATP)を生成します。

この電子伝達系を植物などの光合成における電子伝達系と区別して呼吸鎖といいます。またこれらの一連のプロセスを指して呼吸鎖と呼ぶ場合もあります。

※脱共役(アンカップリング)反応とは、ミトコンドリアの電子伝達系において形成される内膜を介したプロトン濃度勾配を、ATP合成反応と共役させずに解消する反応を指します。

ミトコンドリア内膜にはプロトン輸送体として脱共役タンパク質(uncoupling protein: UCP)が存在し、プロトンの受動輸送により膜間のプロトン濃度勾配を解消します。

その際プロトン流入エネルギーが熱エネルギーに変換されるため、脱共役タンパク質UCP-1は別名サーモゲニンとも呼ばれ、動物の熱産生において重要な役割を果たします。

食物から得られたエネルギーを熱として放出するため、UCPの機能向上は肥満抑止につながると考えられています。

Youth Basketball Players in a Team on Training Drill. Young Boys Practice Basketball With Young Coach. Basketball Training Unit For Youth Players

食事において、より注意が必要なアスリートは、マグネシウム欠乏症の影響を受けない訳では勿論ありません。

1986年から1987年にかけて行われた研究では、体操選手、サッカー選手、バスケットボール選手は1日推奨摂取量の約70%しか消費しておらず[2]、女性陸上競技選手の摂取量はさらに少なく59%という低さでした。[3]

マグネシウム不足がランニングやサイクリングなどの運動中のエネルギーコストを高め(無駄にエネルギーを消費する)、従って酸素使用量を増やすことが明らかになっています。[4]

ある男性アスリートに25日間390mgのマグネシウムを補給した研究結果、ピーク酸素吸収量が増加し、運動能力テスト時の結果が前回よりも改善したと報告されています。[5]

Young woman athlete standing on top of a mountain with red bicycle and enjoying valley view

一般に1日推奨摂取量を超えるマグネシウムの摂取はパフォーマンスを高めるとは考えられていませんが、一方でこの主張を裏付けるエビデンス(科学的証拠)もありません。

第一に、一般の人々でさえ、1日推奨摂取量はほぼ普遍的に少なめにされており、健康維持のために最低限必要なものになっています。

この一般の人にとっての1日推奨摂取量は、アスリートが必要とする運動で失われるマグネシウムなどを考慮しないため、間違いなく不十分だと考えられています。

マグネシウムに関しては、運動性能を最大限に高めたいなら、1日推奨摂取量を何回も考え試行錯誤する必要があります。

生物のバランスを崩すステロイドなどの合成薬のようにマイナス面がなく、この天然ミネラルを十分に体内に貯蔵しておくことで、体全体の可用性が確保されるのです。

Products containing magnesium: bananas, almonds, avocado, nuts and spinach and eggs on table

大腿四頭筋の最大収縮は血清マグネシウムの状態と比例します。[6]

研究によると、30mgの亜鉛と450mgのマグネシウムを毎日摂取することでテストステロン値が30%まで上昇します。

オレゴン大学のローリー・ブリアLorrie Brilla, Ph.D., Stress Physiology, University of Oregon, 1983博士はマグネシウムと亜鉛を経口摂取した事でNCAAフットボール競技者の遊離テストステロン値および筋力が著しく増加すると報告しています。[7]

別の研究では、若いアスリートに1日体重1キロ当たり8mgのマグネシウムを補給したところ、標準運動時の耐久性能の大幅な向上と酸素消費量が低下しました。[8]

ブリア博士は8週間の春季キャンプ中、マグネシウム補給したアスリートはプラセボグループ(有効成分が含まれない偽薬を服用したグループ)の2.5倍の筋力増強があったと報告しています。[9]

American Football Field. Two teams with Professional Players, Fight for Ball and Score, Aggressive Face-off, Tackle, Pass. Warrior Competition Full of Brutal Energy, Power, Skill.

強度アップ、運動能力アップ、筋肉質量の向上を目指す運動選手は、亜鉛だけでなくマグネシウムの摂取も大きく増やすことを検討すべきなのです。

マグネシウムと亜鉛不足により、筋肉の耐久性と総運動力が低下します。

〝マグネシウムはストレスがたまっている人やエネルギーが湧き上がるのを経験したい人にとって不可欠です。〞

とエクストリームスポーツ医学のディレクター、ジェームス・トール(James Thor)博士は言います。

〝一つの理由は、ジムで運動しているとき、あるいは筋肉の過剰な量の乳酸がより高いレベルの不安に結びつきます。〞

とトール博士は付け加えています。

大きなストレスがあると、マグネシウムが沢山失われてしまいます。

熱と塩化マグネシウムを組み合わせることで、循環と廃棄物の除去を増大させ、この原理は競技会中の休憩中や試合後のリラックスできるエプソム塩風呂のように応用できます。

塩化マグネシウムをお風呂に入れると、筋肉や関節から炎症を引き出し、癒してくれます。

Magnesium Chloride vitamin salt in foot bath water, solution. Magnesium grains in foot bath water are ideal for replenishing the body with this essential mineral, promoting overall well being.

マーク・ステッケルMark C. Steckel, Yale New Haven Children’s Hospital, Bridgeport Campus博士は、長時間走って筋肉が痛くなったら、エプソム塩を入れた熱いお風呂に入ることを勧めています。

彼はまた週に1回、「脚を喜ばせるために脚ごほうび」を勧めています。

そしてエプソム塩(硫酸マグネシウム)から、塩化マグネシウムに切り替えると、これらの効果は増幅します。

経皮的塩化マグネシウムミネラル療法は、スポーツや負傷からの回復を促進するのです。

“Preventing and Reversing Osteoporosis: What You Can Do About Bone Loss”などの著書で知られるアラン・ギャビー(Alan R Gaby, Past President of The American Holistic Medical Association)博士は次のように説明しています。[10]

〝さまざまな栄養素が薬理効果を発揮することが示されており、多くの場合、栄養素の濃度に依存しています。〞

FDA(アメリカ食品医薬品局 Food and Drug Administration)は、この主張に納得していないようですが…。

スポーツ医学界において栄養素療法は、競技における勝敗、健康と怪我の差異を意味します。

栄養素は細胞機能の基礎ですから、訓練への姿勢や訓練以外に、運動選手の栄養素ほど運動能力に影響するものはありません。

ギャビー博士は次のようなケースを紹介しています。

大規模なトーナメントの4日前に、18歳の高校レスリング選手がインフルエンザのような病気を発症した。

3日間の大会の2日前、欠場すると思われたが、彼はビタミンC16ml、マグネシウム5ml、カルシウム2.5mL、ビタミンB12、B6、B5、B群、それぞれ1mLの点滴注射を受けた。

Novosibirsk, Russia – January 19, 2020 : Russian Greco-Roman Wrestling Championship. two male athlete in sports equipment wrestling in stalls on wrestling mat

翌朝、彼は自分の人生でかつてないほど元気があると言った。

このエネルギーブーストは、彼が2位を獲得したトーナメントの間ずっと続き、彼のキャリアの中の他のどの時点よりも優れたパフォーマンスだった。

多くのアスリートがパフォーマンスを向上させる薬を使用しているこの時代において、アスリートが点滴栄養素でさらに運動パフォーマンスへの「ブースト」の追求の奨励を意図しているわけではないが、この事例は栄養素が運動能力に重要な役割を果たす可能性があることを示している。

上記の点滴の組成は、内容が正確に記録されていない有名なマイヤーズカクテルとして知られていたものに基づいていました。

上記の点は必ずしも特定の栄養素や適用方法に関するものではありませんが、アスリートにとって栄養医学が医薬品よりも非常に有益であることは明らかです。

栄養こそが「薬」なのです。

 

栄養素の静脈内投与は血清濃度を増加できるが、経口、あるいは筋肉内(IM)投与だとそれはできないとギャビー博士は断言します。

しかし経口投与と経皮投与を併用すると、非常事態の場合でない限り、静脈投与と同じような効果を得られます。

栄養素の薬理学的効果は栄養素の濃度に大きく依存しており、点滴で濃度を高めることは確かですが、経口投与法と、栄養素を全身に浸透させる強い経皮投与法とを組み合わせることで、同じことが出来ます。

Food and science concept. Dietitian. Nutrition.

サーカス博士は、特定の栄養素を高濃度で適用することで、最適なパフォーマンスレベルに近づく全く新しい方法を紹介しています。

新しいスポーツ医学ではスポーツの怪我を避け、負傷や怪我が起きてもスポーツ界が長い間待ち望んでいたような方法で治療します。

スポーツ医学への取り組みには基本的な疑問がいくつかあります。

主張されているように、効能はありますか?利点は何ですか?リスクは?他の選択肢は何ですか?

通常、医学において真実は複雑ですが、スポーツ選手やトレーナーは複雑さを求めていません。

 

私たちが約束したことは、個々の選手とその医師、コーチによって簡単に確認できます。

新しいものを試すことに抵抗のない運動選手からの体験談を紹介します。

私たちは、ほとんどリスクのない、多種多様な利益の源泉を提供します。

生命の基本そのものにフォーカスし、運動能力をスーパーチャージする式にしているので、1000年はこの代替策が出てこないでしょう。

適切な呼吸に代わるものが存在しないように、マグネシウム、重炭酸塩、ヨウ素などの必須栄養素に代わるものも存在しません。

※ヨウ素(ヨード)欠乏症は甲状腺腫、甲状腺機能低下症等を発症します。

宮井潔「ヨウ素と甲状腺」『栄養学雑誌』Vol.51 (1993) No.4 P.195-206, doi:10.5264/eiyogakuzashi.51.195

私たちは酸素運搬能力と、スーパーチャージされたミトコンドリア機能の増加を、塩化マグネシウムを経皮使用することで約束します。

さらに赤血球はより健康になり、細胞壁の透過性は向上し、細胞廃棄物の除去は増幅され、組織はより柔軟になり、pHは高まります。

Food quality control inspection of sea fish – Measuring concentrations of heavy metals, searching for the presence of lead, mercury, cadmium.

アスリートにとって極めて重要なのは、組織からの重金属やその他の危険な有毒化学物質の解毒とキレート化(結合)です。

スポーツ医療従事者は、スポーツ競技の死亡の危険性が、心臓組織内の水銀汚染の増加によって増大することを知っておくべきです。

しかし水銀を除去する方法や、水銀汚染を避ける方法をスポーツ選手は教わりません。

アスリートは水銀が含まれているインフルエンザの予防接種を絶対に受けてはいけません。

また、パフォーマンス中の突然の死の可能性を避けたい場合は、歯科医に口に水銀の詰め物を入れてもらわないようにしてください。

ありとあらゆる種類の重金属の蓄積は、細胞の呼吸と酸素運搬能力を損なわせます。

 

運動能力を向上させるためにできることはたくさんあります。

パフォーマンスを向上させる最も基本的な方法の一つは、適切な食事と栄養補助食品を使うことで、適切にミトコンドリアにロケット燃料を加え、疲労の原因である酸の蓄積を軽減できます。

アスリートは勝負の日に体ができるだけ効率的に競技するため、必要なすべての栄養素とエネルギーを確保することを望んでおり、これは特定の重要な栄養素を用い、最も熟練された方法で達成できます。

 

マグネシウムと重炭酸はスポーツにおける栄養にとって、最も重要なミネラルです。

運動競技に使われると、勝敗、そして病気と健康の違いを生むことが可能であり、真剣勝負に臨む運動選手やスポーツ医はこれらのミネラル塩を見逃す余裕はないでしょう。

マグネシウムが不足すると死が始まり、私たちの体のマグネシウム濃度が満たされ正常になれば、生理機能は多くの生理学的パラメータに沿って、より高い性能をもたらすレースカーのようにハミングする傾向があります。

重炭酸ナトリウム(重曹)は筋肉細胞から水素イオンの除去を容易にし、筋肉細胞の酵素機能およびエネルギー生成に最適なpH付近を維持するのに役立ちます。

Woman put spoon of baking soda in bath with hot water for her feet. Homemade bath soak for dry feet skin.

筋肉細胞内のpHは休息時には若干アルカリです。

通常このレベルで、乳酸や酸素エネルギーシステムを通じてエネルギーを生産する酵素が最適に機能します。

筋肉細胞の水素イオン濃度や酸性度が高まるにつれて酵素の最適な機能が阻害され、エネルギー産生量が減少します。

高強度の運動中に乳酸エネルギーシステムを使用すると、筋肉細胞内の酸産生が増加するため疲労が起こります。

一方近年では、乳酸が疲労を起こす物質という考えは間違いで、筋繊維の損傷を回復する際の炎症が原因なのではないかという説が台頭してきています。

現在では、この傷ついた筋繊維を治そうとして炎症が起こり、筋繊維を包む筋膜にヒスタミンやアセチルコリン、ブラジキニンなどの痛み物質が刺激を与えることで筋肉痛になるという説が有力となっています。

 

安静時や運動時には、筋肉細胞内のタンパク質が代謝酸を緩衝するのに役立ちます。

しかし、運動中の細胞内の最初の緩衝を超えると、産生された乳酸は血中の重炭酸ナトリウムによってほとんど完全に緩衝されているように見えます。

私たちの体は血を酸性から守るため、重曹(重炭酸)とほとんど同じものを生成して使用しています。[11]

マグネシウム、重炭酸、およびカリウムやカルシウムなどの他のミネラルの使用を理解し実践しているトップコーチやスポーツ医師はほんの数人です。

ここで「使われている」という意味は、経皮マグネシウム療法だけでなく、重炭酸浴療法を同時に導入し、これはスポーツ医学の全く新しいアプローチです。

 

激しい運動と発汗

 

汗をかくと水以外も失います。

汗の他の成分には電解質、主にナトリウムとマグネシウムが含まれています。

発汗によるマグネシウムの損失は、運動を湿った高温の条件下のように、汗の恒常性に障害がある場合、加速されたペースで起こります。[12]

実際には、4つの電解質が筋肉機能やその他の生化学的プロセスにおいて重要な役割を果たしています。

ナトリウムの損失ははるかに実質的でよく研究されていますが、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムの損失および補充もまた、時間が経つにつれてすべて汗によって失われるため非常に重要なのです。

Young girl wipes the sweat after training session. Young sporty woman at the end of the session in the gym. 

エリートレベルのランナーでトライアスロン選手のジョナサン・トーカー(Jonathan Toker)博士[13]は、次のように述べています。

〝適度な強さで運動を長時間すると、発汗によってかなり水分が失われます。

これを続けるとナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムを含む電解質が枯渇するほどのレベルが、この汗に含まれています。

筋肉のけいれん、パフォーマンスの低下、熱ストレス、およびその他の症状は、電解質レベルの低下、および脱水が原因で発生する可能性があります。〞

水を消費すると、残っている電解液の量がさらに希釈され、死に至るまで症状が悪化することがあります。

これらの非常に現実的な栄養上の問題に対処するためのアスリートの一般的なアプローチには、スポーツドリンクや固体解質サプリメント(カプセル)の摂取があります。

トーカー博士は続けて、次のように述べています。

〝運動選手や条件によって長期間のトレーニングやレースでは、水分と電解質の補充は必要です。

脱水と低ナトリウム血症の2つの競合する要素は、適正な水分摂取量と解質摂取量のバランスを必要とします。

ここで重要な用語・バランス・パフォーマンスを最適化し、健康上のリスクを最小限に抑えるための理想的なアスリート特有および条件特有のものです。

補給が固体電解質、水、またはスポーツドリンクであるかどうかにかかわらず、これらの側面の一方または両方を無視するアスリートは、せいぜい限られたパフォーマンス、あるいは最悪の場合、健康への危険を冒すことになります。〞

前回のブログでご紹介した「マグネシウムドリンク」をご活用ください。

https://minus-chokaz.jp/nutrition/4411/

 

汗で排泄されるその他のミネラルは亜鉛、クロム、セレンです。[14・15]

これらのミネラルは、激しい運動の代謝に使い果たされ、補充するのが困難です。[16]

セレンは水銀の毒性作用を中和するという点で重要なのです。

これは水銀含有の歯科用アマルガムが口の中にある運動選手にとって特に重要です。[17]

 

余談ですが、セレンやシステインは、アルツハイマー病やパーキンソン病などの認知機能にかかわる症状にも有効かもしれませんね。

脳の認知障害は、重金属やアルミニウムなどとの関係が指摘されています。

水銀がセレンやシステインと「結合」すると、もはや、脳や腎臓組織などの他の何物とも「結合」できなくなります。

水銀毒性に対するセレンの解毒効果は、等モル比で、元素を含む生物学的に不活性な錯体の形成によるものです。

この錯体は、生体のバリア、胎盤、および脈絡叢も通過できず、肝臓や脾臓、害のない形で、脳でも保存されています。

水銀は、長時間のストレスを細胞に引き起こす、直接の脅威です。

水銀毒性は、空気、水、食品、歯の詰め物、ワクチン接種などを通じて、私たちの身の回りに存在しており、主な脅威であるため、細胞のストレスを軽減するため、セレンを使うことが重要になります。

汗によって失われるマグネシウムの量はごくわずかで、マグネシウムの補給は不要だと言うスポーツ関係者には注意してください。[18]

Food rich in selenium, with the symbol Se and atomic number 34 for the chemical element selenium. Natural healthy sources of selenium. Spinach, dark chocolate, egg, mushroom, bean, garlic, seeds, nuts

サラ・マイヒル(Sarah Myhill, Patron and Clinical Director of the College of Naturopathic Medicine, Medical Director of UK Medical Freedom Alliance, Educational Committee Member of the British Society for Ecological Medicine)医師は次のように述べています。

激しい運動はマグネシウムを尿中で失う原因にもなります。

これはなぜ長距離ランナーが心臓不整脈で突然死んでしまうのかを説明しています。マグネシウムは身体運動の病態生理学において役割を果たしているのです。〞[19]

 

スポーツの怪我と経皮的マグネシウム療法

 

アスリートにとって怪我はほとんど避けられないものですが、経皮塩化マグネシウム療法は、運動活動や怪我からの回復を促進します。

それは急性靭帯裂傷だったり、運動後の筋肉痛と同程度に軽度である場合もあります。

いずれにしても、スポーツ関連のケガの大部分は、予防や軽減することができるのです。

アスリートがスポーツで怪我をしているのを聞くことは珍しくありません。

一般的にスターアスリートが怪我をすると、その怪我は重要なニュースになり、一般大衆はケガの状態に関するニュースを聞くのを心配そうに待ちます。

すべてのアスリートは時々怪我をします。

それは忍耐強いアスリートの勇気と規律の一部であり、全力を尽くすことについて前向きで、楽観的であり続けることが彼らの精神への挑戦です。

Empoli, Italy 3rd September 2023: Federico Chiesa of Juventus FC gestures during the Italian Serie A 2023-24 football match between Empoli FC vs Juventus FC at the Carlo Castellani Stadium

スポーツ選手がケガをするとき、彼らはスポーツ医学の最先端にある最高品質のケアを望むものです。

あなたがアスリートなら、怪我を薬や手術に頼らずに記録的な速さで自然に治したいはずです。

〝塩化マグネシウムと重炭酸ナトリウムを経皮薬として使用するより効果的な方法はない〞と多くの研究者が言及しています。

ジェフ・シャット(Jef Schutt)博士は、ハムストリングの収縮や弛緩は細胞内の適切なマグネシウム濃度に依存しているため、栄養補給によりケガを避けることができると述べています。

 〝収縮されたハムストリングは、体内の利用可能なマグネシウム不足の結果です〞

と彼は言います。

液体塩化マグネシウム(マグネシウムオイル)は、単純にスプレーして腫れを減らすため、痛みのあるアキレス腱に擦り込むことができます。

そして塩化マグネシウムの足湯に足を浸すことは、ストレッチとは別に、あなたがハムストリングや他の怪我から身を守るため、あるいはそれから回復するためにできる最良の方法です。

〝マグネシウムの経皮投与は運動選手、コーチおよび医師にとって全く新しい世界を開く〞とサーカス博士は言います。

運動選手やコーチが天然源からの塩化マグネシウムが局所使用のために利用可能であることを知れば、アスリートのパフォーマンスは飛躍的に向上するでしょう。

 

最後に私事で恐縮ですが、筆者の長男は高校時代、サッカーのU-18日本代表に選出されていました。

幼い頃から「横浜Fマリノス」の下部組織でプレーして、高校時代にはインターハイにも出場しましたが、十字靭帯断裂など常に怪我に泣かされていました。

最終的には早稲田大学のア式蹴球部でキャリアを終えましたが、当時筆者は運動時の人体におけるマグネシウムの重要性やアフターケアにおける多大な効果を知りませんでした。

知っていれば、もっとパフォーマンスを発揮させてあげられたかもしれないと、親としては、今もって残念で仕方がありません。

しかしスポーツはいいですね。

スポーツを通じて、友達がたくさんできます。

息子は当時ライバルとして、しょっちゅう対戦していた日本代表の原口元気くんや、今でも日本代表でプレーする谷口彰悟くんなどとは親しい友人です。

マスクで分かりづらいかもしれませんが、写真は谷口彰悟くんです。

抱いているのは、長男の娘、つまり筆者の孫です💦

彼は、見た目も性格も本当にイケメンですよ!

 

スポーツをするのには、いい季節ですね。

運動時やアフターケアには塩化マグネシウムや重炭酸ナトリウム(重曹)で、体のケアを忘れないでくださいね!

 

 


 

References

1 In a very tightly controlled 3-month US study the effects of magnesium depletion on exercise performance in 10 women were observed and the results make fascinating reading. In the first month, the women received a magnesium-deficient diet 112mgs per day), which was supplemented with 200mgs per day of magnesium to bring the total magnesium content up to the RDA of 310mgs per day. In the second month, the supplement was withdrawn to make the diet magnesium-deficient, but in the third month it was reintroduced to replenish magnesium levels. At the end of each month, the women were asked to cycle at increasing intensities until they reached 80% of their maximum heart rate, at which time a large number of measurements were taken, including blood tests, ECG and respiratory gas analysis. The researchers found that, for a given workload, peak oxygen uptake, total and cumulative net oxygen utilization and heart rate all increased significantly during the period of magnesium restriction, with the amount of the increase directly related to the extent of magnesium depletion. In plain English, a magnesium deficiency reduced metabolic efficiency, increasing the oxygen consumption and heart rate required to perform work exactly what an athlete doesn’t want!

2 1 Am Diet Assoc; 86: 251-3 (1986) and Nutr Res;7:27-34 (1987).

3 Med Sci Sports Exerc; 18(suppl):555-6 (1986).

4 J Appl Physiol 65:1500-1505 (1988).

5 Endocrinol Metab Clin N Am 22:377-395 (1993)

6 9 G. Stendig-Lindberg, et al, “Predictors of maximum voluntary contraction force of quadriceps femoris muscle in man. Ridge regression analysis,” Magnesium 2 (1983): 93 104

7 Brilla, Lorrie. ACSM journal, Medicine and Science in Sports and Exercise, Vol. 31, No. 5, May 1999.

8 Med Exerc Nutr Health 4:230-233 (1995)

9 8 Pre and post leg strength measurements were made using a Biodex isokinetic dynamometer.” The strength of the ZMA group increased by 11.6% compared to only a 4.6% increase in the placebo group.

10 Intravenous Nutrient Therapy; Dr. Alan Gaby; http://www.orthomolecularnutrition.net/information.html

11 Danforth WH. Control of Energy Metabolism, New York: Academic Press, 1965:287-298

12 According to Dr. Jeffrey Sankoff, “Because our bodies can only function within a narrow range of temperature, mechanisms exist for cooling. The most important of these mechanisms is the production of sweat. When sweat is formed on the skin, the heat from the body evaporates the water and energy is dissipated. However, if it is very hot sweating becomes less efficient as the air- rather than heat generated by the body — evaporates the sweat.

And in humid conditions water evaporation slows, so sweating becomes less effective.” See: www.insidetri.com/train/tips/articles/2218.0.html.

13 The Math Of Salt Loss; Jonathan Toker; Oct.26, 2009; http://www.slowtwitch.com/Training/General_Physiology/The_Math_of_salt_loss_1093.html

14 C. Consolazio, et al, “Excretion of sodium, potassium, magnesium, and iron in human sweat and the relation of each to balance and requirements,” J. Nutr 79 (1963): 407-415.

15 12 R. McDonald and C. Keen, “Iron, zinc, and magnesium nutrition and athletic performance,” Sports Med. 5 (1988): 171-184.

16 13 P. Deuster, et al., “Magnesium homeostasis during high-intensity anaerobic exercise in men,” J. Appl. Physiol. 62 (1987): 545-550.

17 The average size amalgam filling contains approximately 750,000 micrograms of mercury (Hg) which releases part of that everyday for as long as the filling is in a person’s mouth. A microgram (mcg) is 1/1,000 of a milligram in weight or one-millionth of a gram. A milligram (mg) is 1/1,000 of a gram by weight. People with amalgam are exposed to from tens to several hundreds of micrograms of mercury per day depending on how many fillings are in their mouth, how old the fillings are, how much a person brushes their teeth, chews and eats, the bacteria count in the mouth, and even the temperature of the body. Dr. Murry Vimy, professor of dentistry says, “It is estimated that the average individual, with eight biting surface mercury fillings, is exposed to a daily dose uptake of about 10 micrograms mercury from their fillings. According to Dr. Magnus Nylander, “Data suggest that approximately 19 to 20% of the general population may experience sub-clinical CNS and/or kidney function impairment as a result of the presence of amalgam fillings.” Dr. Robert Gammal states, “Mercury from amalgam fillings has been shown to be neurotoxic, embryotoxic, mutagenic, teratogenic, immunotoxic and clastogenic. It is capable of causing immune dysfunction and autoimmune diseases.” It is important to remember that mercury toxicity is a retention toxicity that builds up during years of exposure. The toxicity of a singular level of mercury is greatly increased by current or subsequent, low exposures to lead or other toxic heavy metals.

18 Y. Rayssiuierl, C. Y. Guezennec, and J. Durlach. INRA, Laboratoire des Maladies Métaboliques, France: Urinary Mg losses during an endurance event could play a role in this depletion but are often reduced, reflecting renal compensation. Loss of Mg by sweating takes place only when there is a failure in sweat homeostasis, a situation which arises when exercise is made in conditions of damp atmosphere and high temperat… com m by physical exercise is capable of inducing Mg deficit by various mechanisms. A possible explanation for decreased plasma Mg concentration during long endurance events is the effect of lipolysis. Since fatty   for muscle energy, lipolysis would cause a decrease in plasma Mg.

19 17 Y. Rayssiguier1, C. Y. Guezennec, and J. Durlach. INRA, Laboratoire des Maladies Métaboliques, France.

 


 

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