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Health care
いのちまで人まかせにしないために
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いのちまで人まかせにしないために
2024.02.02
目次
メチル水銀は水俣病の原因物質として知られ、その恐ろしさについてはご存知の方も多いと思います。
〝水銀公害は過去のものでしょ。なぜいま頃問題に?〞と疑念を持つ人が多いかもしれません。
でもそこが環境汚染物質の恐ろしいところです。
水銀は工業的に使われたり、農薬として使われたり(稲のいもち病用など)、金属の精錬用(金など)に使われていました。
これらに対する対策は、現在しっかりとられており、直接的な悪影響は軽減されています。
しかし、〝自然界で代謝されない汚染物質は減少することなく、拡散・ 希釈されていくだけ〞という事実を忘れてはいけません。
環境汚染物質は言わば、「沈黙の毒物」なのです。
水銀は蛍光灯、体温計、乾電池、自動車、パソコンなどの電気製品、歯科用アマルガム、ネックレス、ネオン、ワクチン、化粧品など、さまざまな用途で使われています。
これらの工業製品を廃棄焼却すると、水銀は気体となって大気を汚染します。
これはいまでも継続されています。
また、海底火山からも有機水銀が生成されます。
日本は火山の多い国ですから、水銀の影響を受けやすい国だといえます。
一番の問題は、石炭火力発電所からの排気に含まれる水銀汚染です。
石炭には微量の水銀が含まれているのです。
もちろん、日本ではそんな石炭火力発電所はないと思います。
しかし、水銀対策が不充分な経済発展国や発展途上国ではこうした発電所が運転され、それが世界規模の汚染となって深刻な問題となっているのです。
こうして空気中に拡散したメチル水銀は、さまざまな経路をたどって海に流れ込み、食物連鎖によって大型魚類や海棲哺乳類(イルカやクジラなど)、水底棲息魚などの体内に高濃度に濃縮された形で残留します。
私たちはそれを食べているわけですから「過去の問題」ではないのです。
大型魚類では暫定規制値を超えるものも流通しています。
メチル水銀は体内へ吸収・蓄積されやすく、人体での半減期は70日程度ですが、脳では7〜20年といわれています。
血液脳関門を比較的容易に通過することから、アルツハイマー病やパーキンソン病など神経障害などへの悪影響も懸念されます。
特に、胎児や乳幼児の神経組織はメチル水銀の影響を受けやすいといわれ、アメリカでは増加する自閉症の原因として、〝石炭火力発電所から排出される水銀〞という報告もあります。
メチル水銀は神経系に障害を与えるとともに代謝酵素を破壊することから、さまざまな代謝異常の病気を引き起こす原因となります。
イタイイタイ病に苦しむ女性(毎日新聞 1971年)
カドミウムについては、かつて「イタイイタイ病」が大きな社会問題となりました。
カドミウムの環境汚染は、亜鉛の精錬やカドミウムを扱う工場の廃棄物などが原因とされ、その地域の水系を通して河川や土壌に汚染が拡がりました。
そして、その水域に生息する魚介類や生産される農産物を通して人的被害をもたらしました。
カドミウムは人体に取り込まれると肝臓や腎臓、筋肉、脂肪組織に蓄積されやすく、体内には30年間残留するといわれています。
そのため、一旦蓄積量が許容量を超えてしまうと、長期間にわたりその悪影響を受け続けることになります。
現在、日本国内においては、イタイイタイ病のような公害による被害はなくなりました。
しかし、カドミウムはウッド合金、顔料、ニッカド電池、自動車のメッキ材料など広い用途に使用されており、それらの廃棄物から汚染が起きています。
土壌中に蓄積されたカドミウムは、土壌がアルカリ性では難溶ですが、酸性になると溶出し、農作物に吸収されます。
日本国内の土壌の大半は中性〜酸性ですから、もともと汚染が拡がりやすいのです。
また、近年では中国などからの大気汚染による酸性雨が日本の土壌をより酸性化し、蓄積されているカドミウムの溶出が問題となる可能性が高まっています。
日本人が摂取する食品からの総カドミウムの9割は、穀類や野菜などの農作物によるもので、その中でも5割が主食の米から摂取されています。
ちなみに、カドミウムは「耐容摂取量」が決められています。
国内基準値上限の米飯を1日に1合食べれば耐容摂取量を超えてしまいます。
国内基準値は0.4ppmで、これは韓国、中国、EUの2倍、タイ、オーストラリアの4倍という高い設定となっています。
ある研究によれば、カドミウムは人体において23番目に多い元素で、ヒトの体積の0.1%を占めるといわれています。
このように、米の国内基準値は必ずしも安全といえるレベルではないだけではなく、「米」 以外の農作物については国内基準値すら設けられていないのが現状です。
なお、「骨粗しょう症」の現実的な原因がカドミウムにある可能性は非常に高いと主張する研究者もいます。
ベトナム戦争で枯葉剤を散布する米軍機
ダイオキシン類はベトナム戦争時、アメリカにより散布された猛毒のグリホサートを成分とする枯葉剤(通称 Agent Orange)に含まれていた不純物で、奇形児が産まれてくることからその恐ろしさが知られるようになりました。
これは現在でも「ラウンドアップ」などの除草剤として、先進国の中では日本だけに流通しています。
また、魚を食べる機会の多い日本人は、特に気をつけなければいけない有害物質です。
ダイオキシン類は、塩素を含む物(塩化ビニル樹脂、難燃化された樹脂、漂白剤、薬剤など)を300℃程度の低温で燃焼する際に生成されます。
おもに一般の生活ごみや産業廃棄物の焼却による排ガスとして環境中に放出され、 環境汚染を引き起こします。
過去、日本は世界最大のダイオキシン排出国といわれたことがありました。
現在は公害対策仕様の焼却設備が普及していますのでそのようなことはありません。
しかし、家庭での焼却炉でも生成されますし、タバコの紫煙にも含まれます。
大気に飛散したダイオキシン類は土壌を汚染し、野菜などの農作物を汚染しますが、現実的に問題となるのは食物連鎖によって濃縮されたダイオキシン類を含む魚介類からの摂取です。
特に、水底棲息魚や大型魚類を食べることにより人体に取り込まれます。
ダイオキシン類は脂溶性が高いため、魚介類の脂身や内臓、皮などに多く蓄積されます。
天然マグロの「大トロ」にはかなり高濃度のダイオキシン類を含むことがあります。
同じマグロでも、これが赤身だと10分の1〜20分の1程度になります。
脂肪分あたりのダイオキシン類濃度はほぼ同じということですから、どうしても食べるというのであれば、脂分の多いトロなどよりは、脂分の少ない赤身のほうがマシだということです。
また、ダイオキシン類は肝臓などに溜まりやすく、アン肝、イカのワタには際立って高い値のダイオキシン類が含まれるので要注意です。
日本人が食品から取り込んでいるダイオキシン類は、90%以上が魚介類からとなっています。
ダイオキシン類は糖尿病(すい臓B細胞を損傷)以外にも、発ガン性、生殖毒性、肝毒性、免疫毒性(自己免疫性疾患、クローン病、花粉症、アレルギー疾患など)、ホルモン作用障害(甲状腺ホルモン代謝異常、男性の女性化など)、中枢神経毒性、片頭痛、などなど、さまざまな病気の原因となっています。
ダイオキシン類の体内での半減期は約7.5年と長く、通常は体外への排泄はできないのですが、脂溶性が高いことから「母乳」として排出されます。
そのため、乳児に深刻な被害が及ぶことがあり注意が必要です。
このように、残留性の高い有害物質は食物連鎖の結果として魚介類に多く含まれているのが特徴です。
また、そのほとんどが脂溶性なので脂分とともに存在し、解毒代謝にかかわる肝臓などの内臓に蓄積されやすいことから、魚介類の脂身や内臓は極力食べないことが望ましいといえます。
魚介類の中でもキンメダイやアナゴなどの水底棲息魚、マグロやブリなどの大型魚類、イルカ、クジラ(歯クジラ)などの大型海棲哺乳類、アン肝、ホタテうろ、イカのワタ、カニミソなどの内臓類は嗜好品程度にとどめておいたほうがよいでしょう。
一方、魚介類は不足しがちなEPAやDHAなどオメガ3系脂肪酸の摂取源でもあります。
そこで、食物連鎖の影響の小さい、イワシ、サンマ、サバなどの「小さな青魚」、いわゆる「手先から肘までより小さな魚」を目安にすると、安全・ 健康の両面から最適ではないかと思います。
今回ご紹介した有害物質は、ほとんどが解毒代謝されないにもかかわらず、解毒にかかわる酵素、補酵素、ビタミン、ミネラルなどを大量に消費します。
したがって健康であり続けるためには、これらの有害物質を極力とらないようにすること、腸内環境を整えて腸内細菌を健全化することによって、体内で発生する有毒物質の解毒負荷を軽減することが大切です。
健康の第一法則は「非毒3原則」ですね。
「毒を入れない」「毒を体内で作らない」そして「毒を体内に溜め込まない」です。
しかしながら、これらの毒物を完全にシャットアウトするのは不可能に近いとの指摘もあります。
そして現代人の食事に対する欲求は、「美味しいかどうか」です。
やはり食欲には勝てませんし、どうしても感情が優先します。
しかしもう一方の「理性」には、「健康に良いかどうか」を植え付けておく必要があります。
欲求に勝てなかったとしても、理性によるブレーキが働き、食べる量や回数に好影響を与えます。
では「食べてしまったら」、どうすればいいのでしょうか?
脂溶性の有害物質を体外に排出する唯一の方法は「断食」による「ケトーシス」です。
弊社のお客さまならよくご存知だと思いますが、
最後にものを食べてからおよそ12時間後に、肝臓や筋肉に貯蔵されたグリコーゲンが完全に消費されます。
すると体は、エネルギー産生の代謝経路を切り替えて(メタボリックスイッチ)、脂肪を燃焼させ「ケトン体」からエネルギーをつくり出します。
この脂肪を燃焼させた時に毒物も溶け出し、最終的に便として排出するのです。
この時に排泄される便が「宿便」の一つです。
以前、「不食の人」として知られる森美智代さんが、「黒くてタールのような便が出た」とおっしゃっていましたが、これが脂肪に蓄積されていたダイオキシンなどの有害物質です。
また、この厄介な重金属や環境ホルモンとキレート(結合)して、体外に排出してくれる「グルタチオン」「イノシトール」「クロロフィル」「クロレラ」「ケルセチン」「エピガロカテキンガレート」「セレン(セレニウム)」「マグネシウム」などの抗酸化物質が重要です。
つまり「玄米」や「野菜」を主体としたPlant baseの食事が大切ということです。
弊社のお客さまには、定期的に「本断食」をされる方が多くいらっしゃいますが、本断食ともなると「専門家の指導」が必須ですし、特に「回復食」の知識が重要になります。
そこで弊社がおすすめしているのが「1日2食の16時間・間欠断食」です。
英語ではIntermittent fastingと言います。
節食・少食は健康の第二法則ですね。
商業的利益が優先する現代において、世の中には「毒物」が溢れており、日常的に体外へ排出(デトックス)する習慣が大切ですね!
現代人の美と健康は「ライフスタイル」の良し悪しにかかっているのです。