健康

Health care

いのちまで人まかせにしないために

健康維持には高額な費用が必要?

2023.07.14

近年注目されている「バイオハック」をご存知でしょうか?

バイオハックとは「体調が悪くなったら病院にかかる」という、言ってみれば受動的な健康づくりではなく、そもそも医者にかかるような状態にならないように、主体的に健康づくりをしていく、シリコンバレーやビバリーヒルズ、ニューヨーク、ロンドンなど欧米都市で注目されているライフスタイルだそうです。

なんだか、カッコいいですね⁉︎

 

Beverly Hills, Year 2018: side view of Bentley Continental GT parked at N Canon Dr.

 

バイオハックの「ハック(Hack)」という単語は、ハイテク、健康、アンチエイジングなどの意味を合わせた流行語で、基本的には、体や心の機能をよくするための行為のことです。

日本では“不正侵入する、乗っ取る、破壊する、叩き斬る”といった悪いイメージが先行していますが、本来のIT分野における意味は“Hack=技術効率の向上”です。

米国では「善意的な技術開発者のHacker」と「悪意的な技術利用者(破壊者)のCracker」を区別しています。

 

よって、バイオハックとは「Bio(生物学)+Hack(効率化)」と解釈できそうです。

 

 

最先端の科学・テクノロジー・生理学・栄養学等、又、人類の歴史・伝統・知恵・慣習をも活用して、

①心身のパフォーマンスの最適化

②健康で幸福な状態(Well-being)

を目指す事と定義されているようです。

さらに、このバイオハックの世界観は、大きく2つのタイプに分類されるそうで、以下のように表現されています。

 

A:人工的なImprovement・バイオハック

最先端の科学やテクノロジー等を用いて、身体と能力を拡張・強化・進化(マイクロチップ体内埋め込み、人工センサー頭蓋骨埋め込み、暗闇視力を増す目薬点眼、自身への遺伝子編集注射等の医療界では前例の無い、一種のサイボーグ化)させる過激なDIYバイオ=トランスヒューマニズム系派

B:自然的なPotential・バイオハック

人間本来の潜在能力を自然な手法で最大限に引き出す為に、最先端の科学やテクノロジーをライフスタイルに有効活用する系派

 

中にはバイオハッキングに20万ドル(約2200万円)を費やす人もいるようですが、どうも高額な費用が必要になるみたいですね。

最先端の科学やテクノロジーを活用するようで、それ自体はとても良いと思うのですが、

健康の維持にそんなに費用が掛かるというのには、ちょっとビックリです。

エリート層やセレブのように、経済的に余裕のある人には良いのかもしれませんね。

 

筆者は、科学的な研究を調べて病気になる原因を突き止め、健康習慣を身につければ簡単に予防できると思うのですが、いかがでしょうか?

 

 

それにしても「排泄」というのは、世の中の嫌われ者ですね。

バイオハックもそうですが、医師や健康コンサルタントと言われる専門家でも排泄の重要性を発言する人はごく僅かです。

やはり、「汚い」「不潔」「恥ずかしい」というイメージが大いに影響しているのでしょうか⁉︎

 

生物は食べた物を、必ず排泄しなければならないわけですが、不人気です。

一方「食べる方」は大人気者です。

以前投稿した「論説」で言及していますが、弊社では〝食べる物〞と〝食べ方〞、そして〝排泄〞が健康の維持・改善における基本因子だと考えています。

 

そういえばあるニュースサイトで、興味深い記事が取りあげられていましたので、ご紹介したいと思います。

URLは文末に記載してあります。

タイトルは、

「近くにコンビニやファストフード店しかない〝食の沼地〞に住むとがんで死ぬ確率が77%も高くなる」

という衝撃的なものです。

良質な食物が手に入らない地域のことを「食の砂漠(フードデザート)」と言いますが、こうした問題に加えて、不健康な食事を提供する店ばかりが軒を連ねる地域は「食の沼地(フードスワンプ)」と呼ばれています。

 

Food Swamp in The City, Shibuya Tokyo

 

調査の結果このような地域の住民は、〝肥満との関係が深いがんでの死亡率が非常に高い〞ことが明らかになったのです。

以下に、記事の一部を引用します。

 

「食の砂漠」という言葉が生まれた1990年代以降、多くの研究によりこの問題の具体像が明らかになってきました。

例えばアメリカの場合、裕福な地区には貧しい地区の3倍のスーパーマーケットがあり、白人が多く住む地区には黒人が多数を占める地区に比べて4倍のスーパーマーケットがあるとのこと。

また、自動車への依存度が高いオーストラリア・西シドニーの郊外の多くは飲食店がなく、あったとしても85%がファストフード店で占められています。

 

健康的な食事に欠かせない生鮮食品を扱うスーパーへのアクセスの悪さが、住人の健康にどのような影響を与えるのかを調べるべく、アメリカ・オーガスタ大学のマルコム・セス・ベベル氏らの研究チームは、全米3142郡の96.7%に相当する3038の郡を対象とした調査を行いました。

研究チームは、都市部では半径1マイル(約1.6km)、農村部では半径10マイル(約16km)以内に健康的な食料が買えるスーパーマーケットがないことを「食料品店アクセスが悪い」と定義し、アクセス性の悪さと地域の所得の低さから「食の砂漠スコア」を算出しました。

また、スーパーマーケットに対するファストフード店とコンビニの割合からは、その地域の「食の沼地スコア」が算出されました。

そして、2010年~2020年の医療データを元に肥満を主な原因とする13種類のがん、いわゆる「肥満関連がん」での死亡率を求め、「食の砂漠/沼地スコア」と照合しました。

 

Child nutrition choice eating unhealthy diet or healthy food as a side view of a fat and normal kid with the stomach made from junk food or health ingredients with 3D illustration elements.

 

この研究の結果、健康的な食べ物を選べる地域に住む人に比べて、「食の沼地」に住む人が肥満関連のがんで死亡する確率は77%も高いということがわかりました。

以下は、結果の詳細をまとめた表です。

食の砂漠スコアが高い地域の人が肥満関連がんで死亡する確率は、スコアが低い地域の1.59倍(上の赤枠)、食の沼地スコアが高い地域では、スコアが低い地域の1.77倍(下の赤枠)でした。

 

肥満関連がんでの死亡率が高い地域は、黒人住民や高齢者の割合が高い傾向がありましたが、これらの要素の影響を調整しても、食の沼地に住む人は死亡率が30%高いという結果になりました。

この研究結果は、

〝食事は本人の努力で変えられる要素のひとつであり、賢い選択さえすればがんのリスクを減らすことが可能である〞

という従来の固定観念を覆すものだと位置づけられています。

 

国立衛生研究所のカリーム・S・ワトソン氏らは研究結果の解説論文の中で、

〝健康的な食品へのアクセスを妨げる困難な問題は、コミュニティへの投資不足や組織的人種差別といった、歴史的および構造的要因に根ざしています〞

と述べました。

 

また、ベベル氏らは、

〝食料品へのアクセスを公平にするためには、単に健康的な食料品店を増やすだけでなく、車を持たない人々でも買い物に行けるよう、歩きやすい地域を作ることが重要です〞

と指摘しました。

 

コンビニやファストフード店で使用される油には「多価不飽和脂肪酸(PUFA)」という植物由来の油が含まれています。

近年、PUFAの危険性を指摘する研究者も多くいます。

もともと日本には植物油を使用する調理法は存在せず、揚げ物や炒め物料理の大半は明治維新後に海外から伝わったものです。

肉類などと同様に、日本人本来の体質・食生活において、植物油は不適切です。

極論すれば、戦後の日本人は、草食動物が油を使って肉食を行っているようなミスマッチな状態なのです。

日本ではガンに限らず、1970年代後半から「パーキンソン病」「リウマチ」「線維筋痛症」「IgA腎症」といった自己免疫疾患が急増していますが、70年代後半は全国各地にコンビニやファストフード店が林立し始めた時期でもあります。

 

いかがですか?

最先端の科学テクノロジー(バイオハック)は大いに結構だと思いますが、まずは「健康的な食べ物」、つまり「生鮮食品(本物の食べ物)」の確保が大切ですね。

と言うと、大半の人が「じゃあ、何を食べたらいいんだ。これじゃあ食べるものがない」と嘆くことになります。

繰り返しになりますが、わたしたちは「本物の食べ物を使ったプラントベースの素食」をお勧めしています。

⚫︎無農薬の生野菜

⚫︎美味しいお米

⚫︎野菜やきのこ類、海藻、魚たっぷりのお味噌汁

余計な料理つくらないため、手間と費用もかかりませんから、厳選された材料にお金をかけて、飽きずに美味しく楽しめます。

もちろん朝食抜きの1日2食で、食べ過ぎないことです。

 

Rice and Miso soup , Japanese Food

 

そして「排泄」の問題ですが、

ファストフード店やコンビニで大量に販売されている「ソフトドリンク(清涼飲料水)」は、腸と腸内細菌(マイクロバイオーム)に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

何故なのでしょうか?

問題は「人工甘味料」です。

人工甘味料には、以下のようなものがあります。

⚫︎アスパルテーム

⚫︎スクラロース

⚫︎アセスルファムカリウム

⚫︎サッカリンナトリウム

⚫︎ネオテーム

⚫︎アドバンテーム

これらの人工甘味料は、ほとんど全ての清涼飲料水に使われています。

憶えておくと良いと思いますよ!

 

Artificial sweetener aspartame is harmful to health

 

権威ある科学雑誌『Nature』に掲載されたイスラエルの研究チームの動物実験では、人工甘味料は糖尿病や肥満など生活習慣病のリスクを増大させ、代謝に関わる腸内細菌のバランスを崩して血糖値が下がりにくい状態にする作用があると、報告されています。

また2022年には学術誌『Cell』で、同様の実験を人間で行なった報告があり、人工甘味料は人間の腸に棲む細菌の働きを妨げるだけでなく、食後に血糖値を下げにくくする可能性があると報告されています。

糖尿病、心血管疾患、慢性腎臓病が心配ですね。

その他、人工甘味料の一種、スクラロースが炎症性の腸の病気である「クローン病」を悪化させる、人工甘味料の摂取量が多い人は、ガンのリスクが僅かに高まる可能性も示唆されています。

これらは、アメリカ国立健康栄養研究所、フランス国立保健医学研究所がそれぞれ発表したものです。

 

 Various of soft drinks, soda and juice fruits are sale on the refrigerator cooler shelf in a hypermarket.

 

市販のソフトドリンクには、人工甘味料だけでなくさまざまな化学合成された添加物が加えられています。

「無添加」と記載された食品ですら、全面的には信頼できません。

「野菜成分100%ジュース」が人気を博していますが、これらは海外で安価に濃縮した原料を輸入しています。

しかし、野菜を濃縮還元した際にほとんどの栄養素が失われており、長期間店頭に陳列するために、増粘多糖類という表示義務が存在しない保存剤に近い成分が加えられていたり、食品添加物として酸化防止剤(アスコルビン酸)などが加えられたりしています。

農薬の種類も不明で、キャリーオーバーという詐欺のような制度によって、特定の添加物を混ぜ合わせると、新たな成分と見なされて表示義務の適用外になります。

 

Diabetes. Tired of diabetes, high sugar, disease. Diabetic supplies on a blue background. Diabetic lifestyle

 

食品業界は、栄養学の研究者に多くの研究資金を提供していますから、その研究結果が大きく影響されていると指摘されています。

つまり、「危険性を指摘する論文」もあれば、「安全性を証明する論文」の双方があるわけです。

となると、国は認可を取り下げません。

それどころか、あれよあれよという間に1500種以上もの食品添加物(化学合成)が認可されています。

これは他国に比して異常です。

 

自分の健康は、自分で管理する以外にありませんね。

バイオハックに頼らなくても、高額な費用を掛けず、自分で出来ることは沢山ありますよ!

 

Peter Singer speaks at TED2013 – The Young, The Wise, The Undiscovered, Session 12 – A Ripple Effect, February 25 – March 1, 2013, Long Beach, California, Photo: James Duncan Davidson/TED

 

物質的な私益だけを追求することが規範となっている社会では、

倫理的な立場への移行は多くの人々が思っているより以上に根本的な変化をもたらすものである 

 

ピーター・シンガー(Peter Singer)

オーストラリア・メルボルン出身の哲学者、倫理学者。

 


 

References

1. Association of Food Deserts and Food Swamps With Obesity-Related Cancer Mortality in the US | Lifestyle Behaviors | JAMA Oncology | JAMA Network

https://doi.org/10.1001%2Fjamaoncol.2023.0634

2. ‘Food Swamps’: Scientists Explain The Health Risks of Living Inside Them : ScienceAlert

https://www.sciencealert.com/food-swamps-scientists-explain-the-health-risks-of-living-inside-them

3. A Critical Need to Examine the Lack of Access to Healthy Quality Foods and Its Association With Cancer Mortality—A Clarion Call for Multilevel Research and Interventions.

Karriem S. Watson, DHSc, MS, MPH1; Angela Odoms-Young, PhD2

Author Affiliations

JAMA Oncol. Published online May 4, 2023. doi:10.1001/jamaoncol.2023.0593

https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/article-abstract/2804695

https://gigazine.net/news/20230708-food-swamps-health-risks/

ピーター・シンガー『私たちはどう生きるべきか(How are we to live?)』山内友三郎 翻訳 筑摩書房

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