健康
Health care
いのちまで人まかせにしないために
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いのちまで人まかせにしないために
2023.03.31
現在の人類進化学は、ダーウィンやハクスレー、ヘッケルの考え方を基礎に発展してきたもので、すでに150年以上の歴史があります。
しかし進化論にも矛盾があり、これを否定する学者も少なくありません。
一方で、人類進化学を塗り替えるような学説もまた存在しないようです。
人間はどのようにして誕生し、今日に至ったのでしょうか?
真実が知りたいですよね!
一応、有力とされる人類の進化の歴史は以下のようなものです。
人類の歴史がどのようなものであったとしても、わたしたちの祖先が、今日のように「最小限に運動して」「最大限に食べる」といったライフスタイルは、どの時代においてもありませんでした。
わたしたちの祖先は、飢餓と闘い、常に食べ物を求め、大地を走り回り、山に登り、海や川で命をかけた大冒険を強いられていたのです。
ところが今日の状況はどうでしょうか?
世界的にみて、人々の食行動は大きく変化しました。
生理学的な理由もないまま、食事の回数は増えています。
お腹が空いてもいない状態でも、時間がくれば食べ、1日の大半を座ったままで過ごしています。
また間食の回数だけでなく、スナック菓子などのジャンクフード(超加工食品)の消費量も急増しています。
わたしたちの祖先は、1日に3回食事を摂り、いつでも間食ができるという「贅沢」が許されていませんでした。
1923年まで冷蔵庫は存在すらしていませんでしたし、食器棚を開けても甘いお菓子や塩気のきいたお煎餅を見つけることはできなかったのです。
世の中には減量・痩身を謳う様々なダイエット法がありますが、ダイエット業界の「医学的事実」はよく変わります。
「摂取カロリーを減らす」、「いやカロリーではなく、摂取する脂肪の量で体重が決まる」そして現在は「肥満の原因は炭水化物だ」となっています。
代謝を理解するのは、なかなか厄介ですね。
ダイエットプログラムは、それぞれにその効果(減量や痩身)を謳います。
人気の高い4つのダイエット法、アトキンス、オーニッシュ、ウェイト・ウォッチャーズ、ゾーンの中から1つを無作為に割り当てられた160人の成人を対象に12ヶ月間実施した研究では、ダイエット法ごとに優劣が大きく異なることはなかったと報告されています。
どのダイエット法であれ、しっかり実践した人は体重が減ったし、どのダイエット法も、しっかり守れば効果が上がったのです。[2]
しかし、単に体重を減らすだけでは健康的とは言えません。
「どのようにすれば、あと5kg体重を落とせますか?」ではなくて、「どうしたら生活習慣病の発症を防ぎ、より長く健康的な人生を送ることができますか?」を考えなければいけません。
様々なダイエットプログラムに惑わされず、世界一簡単で健康にも効果的なダイエット法があります。
それは「ゆっくり時間をかけて食べること」です。
今すぐできますよね!
これまでに報告されているデータから判断すると、1日を通じて少量の食事・軽食を何回も摂るようなことは避けた方が良さそうです。
絶え間なく間食することで、インスリン・IGF-1経路が活性化された状態、FOXO(Forkhead box Oの略称で飢餓ストレス応答因子)の働きが抑制された状態がつづき、細胞のダメージが蓄積していきます。[2]
重要なのは腹8分目の「少しお腹が空いたくらいが丁度いい」ということです。
これが健康にとって好ましい状態なのです。
空腹感は、胃で産生される「グレリン」と呼ばれるホルモンによって、脳の視床下部にある神経細胞が活性化されることで生じますが、このグレリンには炎症作用を抑制する作用があります。[3]
食事に時間をかけて、ゆっくり食べることで、満腹感をより早く感じることができます。
これは「痩せたり、体重を減らす」ための一つのダイエット法なのです。
もちろん健康を維持するのにも役立ちます。
簡単ですよね!
一方、早食いの人は「たくさん食べたぞ」と感じる前に、エネルギーを過剰に摂取してしまいがちで、早食いの人は肥満になる傾向にあります。
日本で行われた研究では、食事を摂るスピードが肥満の発症やメタボリックシンドロームの発病率と関連しているという結果が報告されています。[4]
この研究では、食事を摂る速度によって「ゆっくり」「ふつう」「はやい」という3群に分けて解析したところ、それぞれの分類におけるメタボリックシンドロームの発症率が2.3%、6.5%、11.6%だったと示されています。
「早食い」の人たちは「遅食い」の人たちに比べて、発症率が5倍以上高いことがわかります。
さらに早食いは、血中中性脂肪濃度の上昇やHDLコレステロール濃度の低下とも関連していることが報告されています。[5]
もしかしたら、わたしたちの祖先も空腹感を克服して健康を維持するために、「ゆっくり」と噛んで食べてたのかもしれませんね!
References