健康
Health care
いのちまで人まかせにしないために
Health care
いのちまで人まかせにしないために
2023.02.17
リウマチという症例は非常に広義に使われています。
五十肩とか筋肉痛、腰痛症、変形性関節症など、いわゆるリウマチ性疾患のすべてを指しています。
しかし、狭義には、主として「慢性関節リウマチ」を指し、この病気の患者が最も多いようです。
元来、リウマチとはギリシャ語で「流れる」という意味で、ギリシャ人はリウマチという病気は何か悪い毒素が体内を流れていて、関節について障害を起こし、そこに痛みが起こると考えていたようです。
つまり、リウマチとは「流魔」なのです。
リウマチはギリシャ時代の昔から人類を苦しめる古い病気ですが、現代医学において、その原因はいまだに不明です。
そのため治療法と予防法がなく、難治の疾病とされています。
近年、膠原病(こうげんびょう)という言葉が使われるようになりましたが、関節リウマチ、全身性エリトマトーデス、硬皮症、皮膚筋炎、多発性動脈炎が指定されています。
リウマチというのは運動器のこわばりとか痛みとかいう臨床症状からつけた病名で、膠原病というのは病理学者が顕微鏡で調べた結果つけた病名で、これは膠原線維に変化のある病気という意味です。
元来、細胞と細胞との間に壁のように詰まっていて、細胞と細胞とをつなぐ組織として結合組織があります。
この結合組織には膠原線維とか、網状線維というようないろいろの線維が入っています。
膠原病は、1942年アメリカの病理学者であるポール・クレンペラー(1887-1964)によって初めて命名された疾患群で、英語ではcollagen diseaseやAutoimmune diseaseと呼ばれ、膠原線維の変化(医学的にはフィブリノイド変性という)している病気を発見して、これに膠原病とネーミングしたわけです。
しかし、その後の研究によると、膠原病では膠原線維に変化があるだけでなく、結合組織全部に、変化があるということがわかってきています。
運動器、すなわち、関節や筋肉などには結合組織(膠原質・コラーゲン)がたくさん含まれて、その結合組織に病変が起こるので、リウマチは膠原病に含まれることになります。
西医学健康法では、結合組織(膠原質)の病変は「ビタミンC」と『グローミュー」とに密接な関係があると考え、独得の体質改造法によって、膠原病を改善し、予防することができます。
コラーゲンを体内で産生するのには、ビタミンCが不可欠です。
【西医学健康法による予防と手当法】
渡辺医師は次のようにアドバイスしています。
リウマチは体内に余分な老廃物(蓚酸とカルシウムが結合した蓚酸石灰)がたまって起こります。
溶かして流し去ることが治療の根本です。
生野菜や生水を十分とり、全身の血液循環をよくする毛管運動が最も効果的です。
特に毛管運動は毎日の疲労が全部解消し、心臓も丈夫になります。
関節リウマチの根本原因は、体内の過剰な「蓚酸(しゅうさん)」によるものですから、①朝食の害(1日3食は食べ過ぎ)②生水と生食の不足③動物性脂肪やタンパク質の過剰摂取による、高濃度血液ひいては蓚酸過剰となって、これが関節その他に堆積するため関節炎が引き起こされます。
南カリフォルニア大学長寿研究所のヴァルテル・ロンゴとアメリカ国立衛生研究所の研究者マーク・マットソンによる2014年の論文では、
断食によってケトン体が生成されることがわかった。
ケトン体は、ストレス耐性、脂肪分解、オートファジーのような代謝経路と細胞プロセスにおける強力な変化を促す。
この変化を医療にも応用できる。
てんかんの発作やそれに伴う脳障害の抑制、関節リウマチの改善などに、承認薬と同等の効果がある。
と述べ、西医学による断食療法の効果を裏づけています。[1]
さらにまた、重要なことは血液循環が不良であって、これら余分な蓚酸石灰が堆積することになります。
蓚酸はとかくカルシウムと結合して蓚酸カルシウムになって、腎臓結石になったり膀胱結石になったり、関節に溜まって関節リウマチになったり、生殖器に溜まって性能不能に陥ったり、耳に溜まって耳が遠くなったり、血管に溜まって血管を硬化させたりする曲者です。
生の野菜には、生きた「有機蓚酸」を豊富に含んでおり、結石を溶解させるのに有効なのです。
さらに、生野菜に豊富に含まれる「マグネシウム」は、カルシウムを溶解させますから加えて有効なのです。
また「流水は腐らず」の原理通り、血液循環が良好であれば蓚酸石灰も流し去ります。
このために、毛管運動や裸療法、温冷浴が卓効を表しますが、とくに毛管運動が重要になります。
リウマチからくる手足の激痛と心臓の痛みが治っただけでなく、手足の冷えも解消した53歳、サービス業の男性。
大学病院に入院しても根本的な治療法がないと言われ、ステロイドホルモンの投与での対症療法による副作用(不眠、胃痛、胃潰瘍、胸痛、動悸など)で、全身ボロボロの状態から、渡辺医師の指導で健康法を実践。
とくに毛菅運動はベッドの上で一日7〜8回繰り返したところ、10日を過ぎたころから足の痛みが嘘のようにとれてきたそうです。
渡辺医院(東京都中野区)での29日間の入院生活が終った時には、一人で電車を乗り継いで自宅まで帰ることができ、翌日には植木の枝おろしの脚立に上るなど、周りが驚く以上に、御自身が信じられなかったと言います。
その半月後からは会社に出勤、今日まで公休以外一日も休まない程、体調良好の日々をおくっています。
毛菅運動は、渡辺医師が紹介されたいわば内科的治療のほか、手足の負傷にも有効です。
手足に負傷した時は、ただちに血が飛ばないように軽く包帯をして、頭上高く挙げて微振動すれば出血も止まり、傷もなおり、その間消毒も縫うことも必要ないのです。
切り落とした手指、足指を毛管運動で癒着全治させた例もあります。
西医学健康法基本六則の一つ、毛管運動は、どうしてこのような現代医学の常識を超える効果をあげるのでしょうか。
それは毛管運動によって毛細血管の70%が集まっている手足を微振動させ、全身の血液循環を活性化し、心臓や脳の機能を高めるからです。
昔からよく「病気は血のめぐりが悪いと起こる」と言われます。
確かに血液循環が悪いと体のすみずみまで酸素や栄養が行き渡らず、老廃物の交換、新陳代謝がうまくいきません。
そしてそれは、肝臓、腎臓、胃腸などの内臓、および脳、心臓、血管系の機能低下につながっていきます。
いいかえれば、全身の血液循環がよいということは、健康な体づくりへの出発点でもあるわけです。
毛菅運動のレッスン動画はこちらからご覧いただけます。
西式健康法では、そうした血液循環の原動力は、一般に思い込まれている心臓ではなく、体の末端の毛細血管網にあると考えています。
毛細血管は、動脈系、静脈系の血管を結び、網の目のように全身に張りめぐらされています。
私たちの体内には、直径0.005ミリほど、およそ五一億本の、長さ約10万キロメートル(地球を2周半するのと同じくらいの長さ)にもおよぶ毛細血管があり、全身の60兆の細胞に酸素と栄養を送っています。
その毛細血管の7割、約35億本が手足に集中しているのです。
したがって、血液循環をよくするには、手足の筋肉にまとわりついている無数の毛細血管の流れをよくしてやればよいわけです。
毛管運動の最大の効果もそこにあります。
両手両足を上にあげて微振動させると毛細血管の機能が高まり、血液循環が活発化するのです。
このような説明と医師の指導のもとでのさまざまな治験例をあげても、病気は薬や注射、手術などで治すものだと思い込んでいる現代医学信奉者には、なかなか理解できないようです。
「こんな単純な動きだけで、全身の血液循環がよくなる筈はない」とか、「補助的な身体の運動であって病気の治癒とは関係ない」などと決めつけて、無関心を決めこむ医師がほとんどです。
しかし「無関心」は「無知」の現われでもあります。
「健康」の知識がない医師は、次のような毛細血管の巧妙な仕組みを知らないのでしょう。
図に示したように、小動脈と小静脈を結ぶ毛細血管にはグローミュー(動静脈吻合、神経血管球)というバイバスがついています。
これは毛細血管一本につき必ず一本ついているものですが、老齢化するとその働きが悪くなり、また糖尿病の場合は溶けてなくなったり、動脈硬化の場合は硬化して役に立たなくなるなど、生活習慣病にはグローミューの障害があるのです。
毛管運動を行なうと、毛細血管の周りの細胞が刺激され、毛細血管が収縮し、血液は小静脈に流れ込みます。
そして大静脈を経て心臓に戻ります。
一方、毛細血管が収縮すると、小動脈の血液はグローミューを通って直接小静脈に流れ込むのです。
つまり、血液は小動脈 ➡︎ 毛細血管 ➡︎ 小静脈の循環だけでなく、毛細血管以外にグローューを通っても循環するわけです。
毛管運動は、ルージェ氏細胞に物理的刺激を与えてこの毛細血管とグローミューの共同作業である「毛細管現象」を促すものです。
朝晩、2〜3分の毛管運動と生野菜の摂取、ビタミンCの補給などを45日間続ければ、グローミューを新たに生成することもでき、必ず体調がよい方向に変化していきます。
まとめ
❶ 朝食を廃止して「1日2食主義」の実践
❷ 生水(1日2リットル)
❸ 生菜食─有機生野菜5種類を泥状汁(青汁)としたものを摂る
❹ マグネシウムを多く含む食材、ミネラルウォーター、サプリメントの摂取
❺ 毛管運動や温冷浴、裸療法は蓚酸の排除、一酸化炭素の解消に効果がある(特に毛菅運動に重点を置く)
❻ 体内で有害物質をつくり出す便秘(腸内異常醗酵)を解消する
❼ 食事はつとめて肉類などの「動物性タンパク質」「動物性脂肪」を避け、植物性食品主体にする
❽ 白砂糖(糖分・炭水化物)の過剰摂取は、蓚酸過剰を招き、酸性体質を作るので要注意
❾ 重症の場合は、西医学の断食療法や純生食療法を実践する
References
1. Valter D. Longo and Mark P. Mattson, “Fasting: Molecular Mechanisms and Clinical Applications,” Cell Metabolism 19, no.2 (February 4, 2014): 181-92.
渡辺正『自分でわかる病気の原因・症状・手当法』光和堂