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⒋ 米国畜産品と抗生物質・肥育ホルモン剤

2025.05.23

抗生物質・肥育ホルモン剤の濫用

 

ほぼすべての米国産鶏肉や牛肉には家畜を太らせる目的で、抗生物質がペトリ皿(シャーレ)の細菌を殺せるだけの量が含まれています。

それが腸内の善玉菌を殺していることは疑う余地がありません。

抗生物質が家畜を太らせるメカニズムは、マイクロバイオームの変化で、おそらく人間も同じだろうと考えられています。

脂肪を蓄え、体重を増やす、フィルミクテス門の腸内細菌です。

見方を変えれば、抗生物質は内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)であり、食物を通じて接触すると、体内の性ホルモンに似た作用をして、混乱を誘発します。

David Kessler

米国食品医薬品局(FDA)の元長官のデイヴィッド・ケスラー(David Kessler)博士は、二〇一三年の『ニューヨーク・タイムズ』の特集に次のように記しています。

なぜ、政治家たちは80%の抗生物質がどのように使われているかを調査したがらないのか?

答えが怖いからといって難しい問題を避けられるものではない…。

国民の健康維持に使われるべき薬品が、安い食肉を生産するために使われている実態を、政治家たちは国民に知らせる義務がある。

余談ですが、一九九〇年代に、「タバコの外箱に警告文」が表示されるようになったのは、このケスラー博士の功績です。

さらに米国産牛肉の99%には、牛の生育を早め、飼育コストを下げる目的で「肥育ホルモン剤」として女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)が投与されています。

一九七〇〜一九八〇年代に、そうした肉を食べた幼い女の子の乳房が異常に膨らんだり、月経が起きるなどの異常な性発育がつづ出しました。

それ以来EUでは一九八八年に肥育ホルモンの使用が、一九八九年には肥育ホルモンを使った肉の輸入が全面禁止となっています。

その後EUでは、乳ガン死亡率が20%以上減ったといいます。

今日、米国産牛肉を無邪気に食べるのは日本人だけなのです。

行き場を失った米国の畜産品は、日本になだれ込んできています。

そしてその結果、かつては豊かだったわたしたちの善玉菌は衰退し、体の抵抗力は弱まり、免疫機能さえ低下させています。

農薬・化学肥料大国、日本

どうやら〝日本の野菜は安全〞だと思っているのは、わたしたち日本人だけのようです。

家畜糞尿の未完熟の堆肥や化学肥料を使うと「硝酸態窒素」という極めて有害な成分が野菜に残留してしまいます。

今から60年ほど前、米国で母親が裏漉ししたホウレン草を離乳食として赤ちゃんに与えたところ、口から泡を吹き、顔が紫色に変色し30分もたたないうちに息絶えてしまうという悲しい出来事がありました。

これは「ブルーベビー症候群」といわれています。

硝酸態窒素はヒトの体内に入ると亜硝酸態窒素という有害物質に変わり、血液中のヘモグロビンの活動を阻害、酸欠を引き起こし、最悪の場合死に至ります。

また、発ガン性物質のもとになったり、糖尿病を誘発すると言われています。

ヨーロッパでは硝酸態窒素に対して厳しい規制があり、EUの基準値はおよそ3000㏙と定められています。

この基準値を超えた野菜は「汚染野菜」として扱われ、市場に出回ることはありません。

ところが日本にはその基準がなく野放しで、農林水産省は不問としています。

ある調査では、スーパーで売っている葉物野菜に1万㏙以上の硝酸態窒素が含まれ、上位値はとても公表できるレベルのものではなかったという結果を報告しています。

この数値は、EUの基準ではれっきとした「汚染野菜」です。

近年では、虫が亜硝酸態窒素の入っている野菜を主に食べてくれることを発見し、農薬も化学肥料も一切使わない完全無農薬、無化学肥料で見事な野菜を栽培している農家もあらわれてきていますが、有機栽培の農家は5%以下、無農薬で野菜をつくっている農家は0・2%です。

ほとんどの日本の農業は農薬の使用量も多く、二〇一〇年までのデータによると、多い順に中国、日本、韓国、オランダ、イタリア、フランスの順で、単位面積当たりの農薬使用量は、米国の7倍もあります。

日本で使用されている農薬で問題視されているのが、「ラウンドアップ(Roundup)」です。

ラウンドアップはベトナム戦争で使われた「枯葉剤(エージェント・オレンジ)」を作った米国・モンサント社が一九七四年に発売した除草剤で、猛毒を含むグリホサートを主成分としています。

モンサント社は米国ミズーリ州本社の多国籍バイオ化学メーカー、除草剤ラウンドアップが主力商品で、遺伝子組換え(GMO)種子の世界シェア90%で、世界の食料市場をほぼ独占している巨大なグローバル企業です。

ラウンドアップと遺伝子組換え種子はパッケージで販売されます。

GMO食品とは、動物や昆虫、ウイルス、細菌からの遺伝子を組み込むことでタンパク質の構造を変え、害虫や農薬などに強くした作物や、それから作った食品のことです。

GMO食品を食べることは、基本的に抗生物質を食べるのと同じだと考えた方がよさそうです。

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