マグネシウムセラピー
Magnesium Therapy ®
奇蹟のスーパー栄養素
Magnesium Therapy ®
奇蹟のスーパー栄養素
2024.11.29
かつて、急性感染症は治療法のない恐ろしい病気でした。
抗生物質が登場する前は、単純な産褥熱で女性が亡くなり、たちの悪い肺病にかかれば命の保証はありませんでした。
連鎖球菌による咽頭炎が心臓麻痺につながり、傷の化膿が原因で手足が切断されました。
そうしたことが当たり前だった時代があったとは、いまでは想像することさえ難しいのではないでしょうか。
とはいえ、こんにちわたしたちが直面している慢性疾患の急増ぶりを見れば、事態は少しも変わっていないことがわかります。
急性感染症から慢性疾患に病気の種類が変わっただけなのです。
前述の通り、急性感染症は、抗生物質による化学療法によってほぼ克服されつつあります。
病原菌という病原が明確な急性疾患には、ひとつの病気はひとつの原因で説明でき、ひとつの原因はひとつの薬で治療できるので、その原因を探せばいいという製薬会社の戦略が有効だったわけです。
ところが、いま増えつつある慢性疾患という病気(生理機能の不具合)は、複雑な代謝ネットワークにおける単一のステップの変質に原因があるわけではありません。
私たちが慢性と呼ぶ病気や状態はむしろ、さまざまな原因によってもたらされたもので、それぞれが独自の症状あるいは症状群を示します。
そして開発された薬剤は主症状—病気の根本原因ではなく病気による影響—のみを治療するものであるため、薬剤でどれほど頻繁に叩こうと、どれほど多種類の薬剤で叩こうと、慢性疾患を本当に克服することはできません。
いつまでも居座ったり、ぶり返したりします。
それどころか、しだいに悪化します。
治療しても健康を取り戻すことはできず、むしろ障害がひどくなり、生活の質(QOL)が低下するのです。
そして慢性疾患はますますありふれたものになりつつあり、しかもかつてない速さで増えています。
1985年から 2010年までの四半世紀で、糖尿病、心疾患、ガン、慢性閉塞性肺疾患と診断される人の数が劇的に増えました。
脳卒中やうつ病も増えていますし、多くの人が骨粗鬆症による骨量減少、筋力の低下、腎臓や肝臓の病気、加齢黄斑変性や老眼に悩まされるようになっています。
子どものADHDや自閉症、成人の認知症(アルツハイマー病やパーキンソン病)の発生率も驚くほど増加しています。
そして欧米では減少傾向にあるガンは、ここ日本だけが急増傾向を維持しています。
慢性疾患は今後20年で世界経済に47兆ドル(約7167兆9465億円)のコストをもたらし、世界中で感染症の2倍の死者を出す勢いです。
これは一国の経済を破綻に追い込みかねない額です。
そして医療費をつぎこめばつぎこむほど、成果は遠のいています。
さて、わたしたちの驚異的な身体は、生命の最小単位である数十兆個の細胞から成り立っています。
基礎的なレベルでは、細胞は脂質、タンパク質、酵素、DNA、アミノ酸など、多種多様なバイオ分子から構成されています。
簡単に概要を示すと、次のように図示できます。
バイオ分子が酸化によって電子を失うと、それらは通常の化学反応性や生物学的機能のすべてまたは大部分を失います。
細胞内の酸化バイオ分子の量が細胞壁内で正常な細胞機能を妨害し始めると、その細胞は病気と見なされます。
機能不全の細胞の数が正常な組織または臓器の機能を損なうのに十分な場合、損傷した細胞の場所、方法、範囲、種類に応じて、通常は診断が行われます。
これを次のように表すことができます。
一つひとつの細胞にはミトコンドリアと呼ばれるエネルギー産生工場が数百から1000個以上あり、酸素と栄養素を使ってATP(アデノシン三リン酸)と呼ばれるエネルギー通貨を合成しています。
この工場からATP以外に出ているのがフリーラジカルや活性酸素です。
これらは工場から放出される排ガスのようなもので、必要以上の量になると非常に有害です。
すべての物質は原子からできています。
原子は原子核と電子からできていて、原子核の周りを電子が回っています。
原子が結合して安定した形が分子で、分子の中の電子は2個で1組になっていますが、なかには電子が1個だけの分子があります。
このように不安定な電子を持つ分子をフリーラジカルといいます。
そしてフリーラジカルは、安定するために他の分子から電子を奪おうとします。
一方、活性酸素は酸素が変化したもので、フリーラジカルと同じように他の分子から電子を奪おうとする性質を持っています。
このように電子を奪う反応を「酸化」と呼ぶのです。
もちろん、身体にはこれらを撃退するための仕組み「抗酸化作用」があり、抗酸化物質が自らの電子を提供することで酸化を防ぎます。
しかし、不摂生な生活や加齢により、その作用が低下して活性酸素の発生が抗酸化作用より常に優位な状態になると、いわゆる「酸化ストレス」 になります。
すべての病原体、毒素、および毒物は、直接的または間接的に、影響を受けた細胞内での酸化ストレス(IOS : Intensity Oxidative Stress)の増加を促進します。
これは、バイオ分子が酸化されるにつれて、細胞の膜にあるカルシウムチャネルを通じて細胞内にカルシウムが増加することによっても引き起こされます。
そして「炎症」とは、からだに負荷がかかったときに生じる反応のことで、「熱くなる」「赤くなる」「腫れる」「痛みを伴う」「組織の機能不全」を炎症の5徴候と呼びます。
炎症には急性と慢性の2つあり、一定期間が過ぎれば治まるはずの炎症が低レベルで長期間持続して慢性化した状態が慢性炎症です。
自覚しにくいため病態が進みやすく、老化との関わりが深いことがわかっています。
限界を超えて分裂しなくなった老化細胞は加齢とともに体内に蓄積されますが、そこからは炎症作用や発がん促進作用のあるさまざまな物質が分泌されていることがわかっています。
このため老化細胞が増えると慢性炎症になりやすく、さらに細胞の老化が進んで細胞が構成する組織や器官も衰えていくことになります。
細胞は老化すると分裂を止めて老化細胞となり、動かなくなります。
これは細胞分裂を繰り返すうちに損傷DNAの転写エラーが起きていびつな細胞が誕生し、それが体内で増殖し続けるのを防ぐ、ガン抑制システムだと考えられています。
しかし、その一方で老化細胞が体内に居座り続け、それが蓄積していくと厄介な問題が起こります。
蓄積した老化細胞からガン促進作用や炎症作用のある物質がまき散らされ、慢性的な組織損傷を引き起こし、ガン、肝臓や肺の線維化、動脈硬化、糖尿病などに関係する炎症環境を生み出します。
それが結果的に、老化やガンなど様々な病態につながると考えられているのです。
現代の標準医学は確かに多くの驚くべき、かつ有益な成果を生み出してきました。
わたしたちは、すべての標準的医療パラダイムに対して否定的な見解を示す意図はありません。
標準的な方法や介入の中には、適切な役割を果たすものも確かに存在します。
しかし、多くの標準的医療提供者が用いるアプローチには重大な限界があります。
なぜなら、これらは病気の根本原因を治療することができず、主に病気の影響である症状の抑制や排除に焦点を当てているからです。
症状はもちろん病気の現れ(影響)ですが、それ自体が病気ではありません。
症状を抑えることは、病気の細胞内に存在する細胞の病理を解決することにはならないのです。
さて、病気は一見、実体のある固定したもののように見えます。
しかし、そのような姿の病気は実在せず、わたしたちが思い描く病気は虚像にすぎません。
心身の慢性的な不調を病気と捉えるのは妄想にほかならないのです。
その妄想は、ゲノミクス(ゲノムと遺伝子の研究分野)という発展し続ける科学によってすでに打ち砕かれています。
20世紀最後の10年と21世紀初頭の十数年に相次いだゲノミクス上の画期的な発見によって、明らかになったことがあります。
それは、心疾患といっても人によって異なり、2型糖尿病を患う人にひとりとして同じ人はおらず、同じ関節リウマチあるいはアルツハイマーと診断された人たちもまったく同一というわけではないという事実です。
こうしたものは病気というより、個人の「生理機能の不具合」なのです。
その原因はさまざまであり、人が一人ひとり違うように、必要な対処法も異なります。
したがって、共通の徴候や症状をひとくくりにして何らかの「病気」と呼べば、適切な薬を見つけるのに便利かもしれませんが、そのようなやり方では、実際に不調をもたらしている原因に対処することはできません。
標準的医療提供者の主なツールは、医薬品(維持薬)、外科手術、化学療法、放射線療法です。
カルシウムチャネルブロッカーとして知られる特定のクラスの処方薬を除けば、これらの治療法は根本的な問題には対処しておらず、病気の影響、つまり症状にアプローチしているのです。
標準的な治療アプローチが適切な栄養、焦点を絞ったサプリメント、そして身体の適切なケアと組み合わされることで、分子生物学レベルでの健康とウェルネスのいくらかの回復が得られることもあります。
しかし、そのような改善は、医療治療のおかげではなく、その治療に反して起こる(自然良能)ことが多いのです。
いくつかの例外を除き、維持薬は病気の症状に狙いを定めています。
ほとんどの薬は、酸化された生体分子の根本的な問題に対処できないだけでなく、直接的または間接的に、より多くの酸化された生体分子を生成することがよくあります。
これは、薬が役に立たないという意味ではありませんが、ほとんどの場合、一時的な症状緩和しか提供できず、それ自体が他の健康問題を引き起こす可能性があります。
ただし、より多くの生体分子の酸化を生成しない場合でも、根本的な病気のプロセスが進行し、悪化し続けることを「黙認」しています。
多くの外科的介入は有益であり、いくつかは必要です。
しかし、外科手術は酸化したバイオ分子による病理を改善することはありません。
酸化ストレス(IOS)を引き起こしている条件が対処されない限り、外科手術は一時的な解決策に過ぎません。
化学療法と放射線療法の主な目的は、病気のある細胞に十分な酸化ストレスを生じさせて、それらを死滅させることです。
しかし、これらの治療法によって引き起こされる酸化ストレスは、病気のある細胞に限定されることはありません。
むしろ、健康な細胞にも影響を及ぼし、体内の病気のある細胞の数をさらに増加させてしまいます。
このパラドックスの行きつく先は誰の目にも明らかです。
いまのやり方では問題を解決することはできません。
現行の治療モデルは急性疾患を治すために考えられたものです。
不調をもたらす単一の原因、つまり微生物を特定し、それに効く単一の手段、つまり抗生物質を開発した結果、急性疾患のほとんどが克服されています。
この治療モデルの成功を受け、あらゆる病気に対して、その特効薬となる薬の探索が試みられるに至りました。
しかし探索は失敗に終わり、別のパラダイムが求められています。
慢性疾患というこの新しい疫病を診断し治療するための、「新しい原因療法モデル」が必要とされているのです。
考え方を180度変えることは容易ではなく、既得権益を護るために新しいやり方を中傷する人々はどこにでもいます。
しかしいまやエビデンス(証拠)は出揃い、現行のやり方が失敗であることは、医療に関心のあるどんな人の目にも明らかです。
いまこそ、多くの人々の無益な苦しみを終わらせる力を秘めた新しい考え方への転換を図るべきです。
基本的に、持続的な健康とウェルネスは分子細胞生物学レベルで始まります。
病理の根本的な原因が解決されない限り、患者は最適な健康を達成することはできません。
機能性医学などの原因医学(Root cause Medicine)の研究者の見解では、酸化ストレスの増加がすべての病気の原因であり、影響を受けた臓器や組織で拡散するという結論に至っています。
そして、実際にはそれが病気そのものであるとされています。
もしそれが事実であり、その立場を支持するエビデンス(証拠)が豊富にあるのであれば、医療従事者は酸化ストレスの原因を制限し、抗酸化物質、ホルモン、その他の介入を通じて酸化したバイオ分子を治療(電子供与による還元)するために、利用可能な手段をすべて用いるべきです。
酸化ストレスの主要な原因が細胞内カルシウムの過剰であることを示す多くの文献がトーマス E. レビー博士の著作『Death by Calcium(カルシウムによる死)』(邦訳未刊)で詳しく説明されています。
本書では、そのカルシウム過剰によるミトコンドリアの石灰化に対する自然な解毒剤としてのマグネシウムの有効性を明らかにし、日々の暮らしへの役立て方などを、トーマスE. レビー博士と彼の同僚であるキャロリン・ディーン(Carolyn Dean)医学博士・自然医博やミルドレッド・シーリグ(Mildred Seelig)博士、東洋医学とパストラル医療(病人やその家族の心のケアを専門にすること)のマーク・サーカス(Mark Sircus)博士、デューク大学の神経外科医ノーマン・シーリー(Clyde Norman Shealy)博士、自然療法医のサラ・マイヒル(Sarah Myhil)医師(博士)など、その他多くのマグネシウム研究および臨床における第一人者の論考をもとに解説していきます。
References
1 “DEATH by Calcium-Proof of the toxic effects of dairy and calcium supplements” by Thomas E. Levy, MD, JD, MedFox Publishing, LLC
2 “The Disease Delusion-Conquering the Causes of Chronic Illness for a Healthier, Longer, and Happier Life” by Jeffrey S. Bland